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新章Ⅰ「忌み子と騎士のゆくところ」
39.ぐつぐつ★
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雨と風、波と雷。酔った騎士たちの笑い声。そういう激しい物音は壁と暗闇の先にあった。闇は幾重に折り重なった柔らかい帳となって二人を守った。帳がかすかにめくれたところにランプがあり、木箱のなめらかな角や、蔵の青く塗られた壁を鮮やかに映し出す。
差し出されるまま、ルカはジェイルの指を食んだ。関節に沿って舌を這わせ、長い指を頬張る。唾液を掻き出そうと動く指を受け入れながらジェイルを見つめる。自分がどんなに淫らな顔をしているかはジェイルの目の細まり方から知れた。
口の中で人差し指と中指が開く。
「ふ、はぁ……」
上唇と下唇が離れ、そこからとろとろと唾液が垂れた。顎から胸に落ち、乳輪をわずかにかすめる。苦しげに眉を寄せるルカに、ジェイルは「噛んでみろ」と言った。
「ん……んむ……」
「もっと」
ルカは噛んだ。ジェイルが嬉しそうなのを見て、二本の指にさらに歯を立てる。
「あぁ……」
満足げな声に、ルカはびっくりして顎の力をゆるめた。噛んだところをペロペロと舐めるルカに、ジェイルは苦笑した。「指がな、たくさんある気がする」と言う。噛まれると自分の輪郭がはっきりして気持ちいいらしい。
彼が落下月の影響を抑えるためにどういった経過を経たのか、ルカは知らなかった。しかしそう言われてみると、ジェイルの背後にある暗闇が彼の輪郭を大きくゆがませているように見えた。
「……ジェイルさま」
「ん、」
「来て……」
ルカは自分の体の上に彼を導いた。ねだるように唇を寄せ、両手で彼の背をさする。気のせいかもしれないが手の触れたところから、なにか変形していたものがひっこんでいくように感じた。ルカは腕のみならず、脚でも彼に組み付いた。
「ルカ……」
ジェイルがゴクッと喉を鳴らす。目と目で見かわすほんの少しの間に、彼の腰はゆるやかに前後していた。ルカは自分の濡れた股に彼の太い性器を感じた。ルカの勃たないそれをすりつぶすほどに硬さを増し、口づけが深くなる。
唾液をまとったジェイルの指が、腰に触れる。ルカはもだえた。後穴に触れられるのは久しぶりだった。
「あぁあん……」
「おまえは、本当にここが弱いな……」
浮いた尻を揉みしだき、汗ばんだ谷間を指でなぞる。ジェイルは耳元で笑った。
「知ってるか。ここに尻尾の付け根がある」
尾てい骨のことだとすぐにわかった。修道院でひとを癒す技を身に着ける時、骨や筋肉についても教わる。だがジェイルが「おまえはよがると、すぐにここが動く」と言ったのには耳を疑った。
「俺がここに触る時、犬や猫みたいにぴこぴこ動いて指を誘ってくる」
「そ……っ、そんなわけ……」
「現に動いてる」
「んぁあっ」
ジェイルがパンと手をあてがうと、確かに骨の先が動くのがわかる。刺激を求めてぐりぐり小さな円を描いている。
「ひぅ……う、く、……んっ」
「あの女に気づかれなくて良かったな」
「あぁあ、そこ、だめ……!」
「だめだと? 股をこんなにグショグショにしているくせに」
ルカの性器は小さく、ジェイルの手は大きかった。ジェイルは指四本を尻に回したままでも、親指が性器に届く。そのまま中指で後穴を深々と犯す。
「ふぅ……うぅっ、んーっ」
沈黙していた性器がぴくっぴくっと反応を示す。ルカは勃起しないよりも恥ずかしかった。男にも女にもなりきらない体が、快楽をむさぼろうとする。腰が揺れる。女神の守りから勝手に抜け出そうとする。ジェイルは言った。
「……ルカ。おまえの体はな、自覚している以上に柔らかいんだよ」
「あぁ、あぁ」
胸を指の間に挟んでひっぱられる。左右の手に支配され、ルカの体は追いつめられる。
「胸は膨らんできた。ケツは指で感じる。女に襲われて勃たなくなったのだって、そういうことだろう。傷つかないからって不変なわけじゃない。それがどれほど危ういかわかってんのか……?」
「あぁーっ」
後穴に押し入ってきた男根を、ルカは腰の奥で締め付けた。空洞がぴったりと埋まる。多幸感は湧き水のように深いところから来た。腰を打ち付けられるたびに頭の箍が外れる。ばらばらになり、ジェイルが求めるかたちへと組み合わさる。
(溶けてしまう……)
ルカのかすんだ目は、暗闇にきらきらと光るものを見た。ジェイルの汗だ。熱を持って赤くなる古傷と、ルカのとろけた顔を大写しにする黒い瞳が目の前にあった。
「もう……俺以外に触らせるなよ……」
「ん……あぁん……」
甘い囁きにルカはびくびくと感じた。身も心も甘く責め立てられ、淫らな声が口からとめどなくあふれる。
「あうぅ……うぅ……んっ、ジェイル……ジェイル……!」
「うん……」
「あんっ、あ、あ、すき、しゅひれひゅ……んぅ……んっ、んっ、ジェイルさま、も……っ」
「……っ、当たり前だろう」
荒々しい責めをルカは胸を反らして受け入れた。蔵の壁を乱れ打つ雨が二人の声を遠くかすませる。しかしルカには、ジェイルが「俺には、おまえだけだ」と切ない声を漏らすのが聞こえた。
ルカはそれが、とても嬉しかった。(ジェイル様は私だけなんだ……!)と思うと、心の巾着の口を結ぶように胸がきゅうっと締まる。口づけが甘い。ジェイルの腰が持ち上がるのを感じた。ルカは絡ませた脚ごとひっぱられ、頭が下がる。しかし射精してもらいたくて膝は緩めなかった。開いた腰を左右に揺すぶり、ジェイルの性器を締め付ける。
「こ……のっ」
角度のついた鋭い突きを、ルカは無防備に受けた。射精する間、ジェイルはルカを固く抱いて離さなかった。精液を全体に塗り付けるかのように腰だけを小刻みに振り、ルカの小さな体を押しつぶす。
「ア……ッ!」
ひときわ高く甘い声が上がった時、ルカは股の間に精液をかけられていた。内も外もジェイルの精にまみれる。たっぷりと重い体液を受けて、ルカの性器はわずかに反応したようだった。だがそれもすぐにわからなくなる。ジェイルは射精してなお興奮したようにルカを求めた。
差し出されるまま、ルカはジェイルの指を食んだ。関節に沿って舌を這わせ、長い指を頬張る。唾液を掻き出そうと動く指を受け入れながらジェイルを見つめる。自分がどんなに淫らな顔をしているかはジェイルの目の細まり方から知れた。
口の中で人差し指と中指が開く。
「ふ、はぁ……」
上唇と下唇が離れ、そこからとろとろと唾液が垂れた。顎から胸に落ち、乳輪をわずかにかすめる。苦しげに眉を寄せるルカに、ジェイルは「噛んでみろ」と言った。
「ん……んむ……」
「もっと」
ルカは噛んだ。ジェイルが嬉しそうなのを見て、二本の指にさらに歯を立てる。
「あぁ……」
満足げな声に、ルカはびっくりして顎の力をゆるめた。噛んだところをペロペロと舐めるルカに、ジェイルは苦笑した。「指がな、たくさんある気がする」と言う。噛まれると自分の輪郭がはっきりして気持ちいいらしい。
彼が落下月の影響を抑えるためにどういった経過を経たのか、ルカは知らなかった。しかしそう言われてみると、ジェイルの背後にある暗闇が彼の輪郭を大きくゆがませているように見えた。
「……ジェイルさま」
「ん、」
「来て……」
ルカは自分の体の上に彼を導いた。ねだるように唇を寄せ、両手で彼の背をさする。気のせいかもしれないが手の触れたところから、なにか変形していたものがひっこんでいくように感じた。ルカは腕のみならず、脚でも彼に組み付いた。
「ルカ……」
ジェイルがゴクッと喉を鳴らす。目と目で見かわすほんの少しの間に、彼の腰はゆるやかに前後していた。ルカは自分の濡れた股に彼の太い性器を感じた。ルカの勃たないそれをすりつぶすほどに硬さを増し、口づけが深くなる。
唾液をまとったジェイルの指が、腰に触れる。ルカはもだえた。後穴に触れられるのは久しぶりだった。
「あぁあん……」
「おまえは、本当にここが弱いな……」
浮いた尻を揉みしだき、汗ばんだ谷間を指でなぞる。ジェイルは耳元で笑った。
「知ってるか。ここに尻尾の付け根がある」
尾てい骨のことだとすぐにわかった。修道院でひとを癒す技を身に着ける時、骨や筋肉についても教わる。だがジェイルが「おまえはよがると、すぐにここが動く」と言ったのには耳を疑った。
「俺がここに触る時、犬や猫みたいにぴこぴこ動いて指を誘ってくる」
「そ……っ、そんなわけ……」
「現に動いてる」
「んぁあっ」
ジェイルがパンと手をあてがうと、確かに骨の先が動くのがわかる。刺激を求めてぐりぐり小さな円を描いている。
「ひぅ……う、く、……んっ」
「あの女に気づかれなくて良かったな」
「あぁあ、そこ、だめ……!」
「だめだと? 股をこんなにグショグショにしているくせに」
ルカの性器は小さく、ジェイルの手は大きかった。ジェイルは指四本を尻に回したままでも、親指が性器に届く。そのまま中指で後穴を深々と犯す。
「ふぅ……うぅっ、んーっ」
沈黙していた性器がぴくっぴくっと反応を示す。ルカは勃起しないよりも恥ずかしかった。男にも女にもなりきらない体が、快楽をむさぼろうとする。腰が揺れる。女神の守りから勝手に抜け出そうとする。ジェイルは言った。
「……ルカ。おまえの体はな、自覚している以上に柔らかいんだよ」
「あぁ、あぁ」
胸を指の間に挟んでひっぱられる。左右の手に支配され、ルカの体は追いつめられる。
「胸は膨らんできた。ケツは指で感じる。女に襲われて勃たなくなったのだって、そういうことだろう。傷つかないからって不変なわけじゃない。それがどれほど危ういかわかってんのか……?」
「あぁーっ」
後穴に押し入ってきた男根を、ルカは腰の奥で締め付けた。空洞がぴったりと埋まる。多幸感は湧き水のように深いところから来た。腰を打ち付けられるたびに頭の箍が外れる。ばらばらになり、ジェイルが求めるかたちへと組み合わさる。
(溶けてしまう……)
ルカのかすんだ目は、暗闇にきらきらと光るものを見た。ジェイルの汗だ。熱を持って赤くなる古傷と、ルカのとろけた顔を大写しにする黒い瞳が目の前にあった。
「もう……俺以外に触らせるなよ……」
「ん……あぁん……」
甘い囁きにルカはびくびくと感じた。身も心も甘く責め立てられ、淫らな声が口からとめどなくあふれる。
「あうぅ……うぅ……んっ、ジェイル……ジェイル……!」
「うん……」
「あんっ、あ、あ、すき、しゅひれひゅ……んぅ……んっ、んっ、ジェイルさま、も……っ」
「……っ、当たり前だろう」
荒々しい責めをルカは胸を反らして受け入れた。蔵の壁を乱れ打つ雨が二人の声を遠くかすませる。しかしルカには、ジェイルが「俺には、おまえだけだ」と切ない声を漏らすのが聞こえた。
ルカはそれが、とても嬉しかった。(ジェイル様は私だけなんだ……!)と思うと、心の巾着の口を結ぶように胸がきゅうっと締まる。口づけが甘い。ジェイルの腰が持ち上がるのを感じた。ルカは絡ませた脚ごとひっぱられ、頭が下がる。しかし射精してもらいたくて膝は緩めなかった。開いた腰を左右に揺すぶり、ジェイルの性器を締め付ける。
「こ……のっ」
角度のついた鋭い突きを、ルカは無防備に受けた。射精する間、ジェイルはルカを固く抱いて離さなかった。精液を全体に塗り付けるかのように腰だけを小刻みに振り、ルカの小さな体を押しつぶす。
「ア……ッ!」
ひときわ高く甘い声が上がった時、ルカは股の間に精液をかけられていた。内も外もジェイルの精にまみれる。たっぷりと重い体液を受けて、ルカの性器はわずかに反応したようだった。だがそれもすぐにわからなくなる。ジェイルは射精してなお興奮したようにルカを求めた。
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