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新章Ⅰ「忌み子と騎士のゆくところ」
1.落下月
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子供の頃、ルカはいつも母と共にいた。純白の城に、緑の民とその血をひく忌み子。王である父の後ろ盾があってさえ異物の母子を、周囲は扱いかねたに違いない。
ひとびとの思いを知ることもなく、幼いルカはひたすらに幸福だった。目を覚ますといつも母がいる。求めれば抱きしめてくれ、なんくれとなく世話を焼いてくれる。
本来ならば乳母や侍女が負うはずの役割を、母・ウルスラは当然のように一手に担っていた。緑の民だから、なのだろうか。たくましいひとだった。自分とは違う、大地の色をした肌がルカは大好きだった。深緑の巻き毛も、くるんとカールした長い睫毛も生命力に満ち溢れていた。
その日も、ルカは眩しいほど白い部屋に母と二人でいた。母の膝に座り、右手の小指を見せてもらう。
ルテニアは女神アルカディアの小指の爪が落ちたかたちだと言われている。女王の爪にはルテニア王国を模した飾りが施されていた。
「真ん中が、シュテマ……?」
「はい。私たちが今いるところ」
爪の中央を飾る白いストーンに、ルカは細いため息をついた。探検してもし尽せないほど広い王城が、朝と夕に鐘の鳴る大聖堂が、この小石の中に詰まっている気がした。
付け根の赤い半円が深紅領ジェミナ。爪先の左右は青と黒で塗分けられている。それぞれ濃紺領ダイバと、漆黒領イグナスと呼ばれていた。そして四つの領域すべてに接する黄色い三角が雄黄領ラウム。
ルカはそう父から教わっていた。ところが母はラウムを指さした時、首を横に振った。
「そこは落下月」
「え?」
「落下月。私たちの、緑の月があるところ」
「でも、黄色……」
母の緑の瞳にジッと見つめられ、ルカはたじろいだ。自分よりもずっと深い色をしたその目はどこか悲しげに見えた。母が手を握りこんだので小指の爪はこぶしの中に隠れてしまった。
「ルカ、いい子ね」
抱きしめられた母の胸は甘い花の香りがした。
「いつかあなたにも見せてあげたい。私たちの、すばらしいふるさと」
すばらしいふるさと。母の声をルカは今も憶えている。
王弟アドルファスが兄に反旗を翻したのは、その少し後のことだった。父と母を殺されてなおルカは死ねなかった。王家と緑の民という混ざるはずのない血が混ざって生まれた肌は尋常ならざる再生能力を持ち、傷つけられても傷つくことがない。
生きているだけで疎まれる。死ぬこともできない。修道院に送られ、女神アルカディアに祈りを捧げながらルカは死ぬことを夢見ていた。乳と蜜が流れ、すべての涙が拭われる場所。女神の教えにある死後の世界は、母の語った『すばらしいふるさと』そのものだった。
◇◇◇
「ルカ」
耳元で名前を呼ばれ、ルカは薄く目を開けた。独特な振動と青く染まった視界に自分が幌馬車に揺られていることを思い出す。雨はまだ降り続いているようだ。荷台をすっぽりと覆う幌はいっそう青く見えた。
寝ぼけまなこのルカに、ジェイルは優しかった。
「そろそろ騎士団本部に着くらしい。そこからは徒歩だと」
「ん……」
「ふ、眠いか」
「うん……」
子供の頃の夢を見たせいだろうか、言葉が幼くなっていると自分でもわかる。二人きりでいるのではない。そばには雄黄の騎士たちが何人も乗り合わせている。(しっかりしないと)と頭の片隅で思うのだが、ジェイルの声がなんだか嬉しそうで(まぁ、いっか……)と思考が溶けていく。
ルカは乳飲み子のようにジェイルに抱かれていた。頬を預ける彼の胸は温かくて、雨を受けた幌のそばは涼しくて、眠気を誘う。幌がぼつっぼつっという音と共にたわみ、雨粒を弾く。ぬかるんだ街道を車輪がゆっくりと噛む。臼をひくような振動が響く。
ニャンヤンの祭りのあと、ルカとジェイルは雄黄の騎士たちと共にセイボリーを発った。
タジボルグ帝国を目指す旅の途中、立ち寄ったセイボリーの町で、ひょんなことから伝説の勇士「トーチカ」の名を借りることになった。歓楽街を焼かんとする女騎士アガタの企みをルカはジェイルと共に防ぎ、祭りは無事に執り行われたのである。
任務を失敗したアガタは、自分の失態を打ち消すために大胆な提案を持ち掛けてきた。雄黄領ラウムの領主ベルマインの元へ、ルカたちを連れていきたいと言うのだ。決して悪い話ではない、会って交渉すればタジボルグ帝国行きの船を手配してくれるだろう、と。
ルカは危険を承知で提案を受けた。
急ぐ旅だ。先王アドルファスが女神の神器『鮮緑の雷筒』を明け渡したことで、すでに王家の威光は失墜した。早く取り戻さなければ、各領は分裂を免れないだろう。
とはいえ、昨日まで敵対していた黄色い騎士たちと同じ馬車に乗るのは少し奇妙だった。彼らに手出しする気配がないとわかってからも、ジェイルはルカを宝物のように抱いたまま離さなかった。
ルカがこうして無防備でいられるのも、ジェイルのおかげだ。彼が騎士として、恋人としてそばにいてくれることを修道士のルカは(女神様のお導きだ)と確信している。たとえ彼が『女神なんているわけねーだろ、バーカ』と言ってはばからない不信心者であるとしても。
(でも……ジェイル様もいつかは女神様を信じてくださるはずで……そのためにも、私は……)
その時、ガクンと幌馬車が止まった。
「ぅわっ」
顔を上げるのと幌が開くのが同時だった。青一色に染まっていた視界に色が戻ってくる。
「起きたか」
「……!」
ジェイルに無表情に見下ろされ、ルカは赤面した。夢うつつに身を預けていたたくましい胸が、肉感を持って肌に迫ってくる。新月のように黒い瞳に見つめられると、動悸がますます激しくなる。順に降りていく騎士たちの足音がいっそう恥ずかしい。
(わ、私は人前だというのに、こんな、赤ん坊みたいに抱かれて……!?)
慌てて立ち上がった瞬間、怒られる。
「急に立つな!」
「え、あ。」
足が痺れていた。バランスを崩したルカを、ジェイルは舌打ちしながら受け止めた。
「何やってんだ。鈍くさい」
「あ、ご、ごめんなさい」
先ほどまで優しく流れていた時間はどこへ行ってしまったのだろう。離れようとするとジェイルはますます怒った。
「だから俺より先に行くなっ」
「えっと……でも、あの……きゃあっ」
ルカは肩へ担がれてしまった。
(み、みんな見てるのに……)
髪と瞳の色を隠す頭巾を今ほどありがたく感じたことはない。情けなくて申し訳なくて、ルカはジェイルにしがみついた。
「ジェイル様、ごめんなさい。ごめんなさい」
「やかましい。いちいち謝るな」
また怒らせてしまった。頭巾の下で目を潤ませるルカを、ジェイルはストンと地面に下ろした。
「……ありがとうと言え」
「えっ」
「俺がいて良かっただろうが。あぁ?」
「……!?」
顎を掴まれながらお礼を強要される。しかしただ感謝されたがっているとも思えなかった。喋ろうとすると親指で唇をふさいでくるのだ。こんな恐喝はない、とルカは思った。物欲しげな瞳が自分に何を求めているのか言葉にせずともわかる。ルカがおずおずと指を吸うと、その眼差しがいっそう強くなる。
「仲睦まじいこと」
急に真横に立たれて、ルカは飛び上がった。
「あ、アガタさま……」
白い顔に張り付けたような笑みを浮かべているのは女騎士のアガタだった。周りを見回してみると、他の騎士たちはすでに数名に分かれて移動を開始している。
「長旅で、お足元も悪くて、さぞお疲れでしょう。兵舎で休んでいただけたらと思うのですが、なにぶん狭苦しいところです。かえってお目汚しになるかと」
「いえ、そんな……」
「御託はいい。とっととベルマインの元へ連れていけ」
アガタは薄く笑った。任務を失敗した彼女にとって、ルカとジェイルは領主に捧げる献上品だ。一刻も早く向かいたいに違いない。二人は先を示すアガタに従った。黄色くけぶった空、黄色く煤けた大地。そこに降り注ぐ雨はいかにも細く弱弱しかった。
ひとびとの思いを知ることもなく、幼いルカはひたすらに幸福だった。目を覚ますといつも母がいる。求めれば抱きしめてくれ、なんくれとなく世話を焼いてくれる。
本来ならば乳母や侍女が負うはずの役割を、母・ウルスラは当然のように一手に担っていた。緑の民だから、なのだろうか。たくましいひとだった。自分とは違う、大地の色をした肌がルカは大好きだった。深緑の巻き毛も、くるんとカールした長い睫毛も生命力に満ち溢れていた。
その日も、ルカは眩しいほど白い部屋に母と二人でいた。母の膝に座り、右手の小指を見せてもらう。
ルテニアは女神アルカディアの小指の爪が落ちたかたちだと言われている。女王の爪にはルテニア王国を模した飾りが施されていた。
「真ん中が、シュテマ……?」
「はい。私たちが今いるところ」
爪の中央を飾る白いストーンに、ルカは細いため息をついた。探検してもし尽せないほど広い王城が、朝と夕に鐘の鳴る大聖堂が、この小石の中に詰まっている気がした。
付け根の赤い半円が深紅領ジェミナ。爪先の左右は青と黒で塗分けられている。それぞれ濃紺領ダイバと、漆黒領イグナスと呼ばれていた。そして四つの領域すべてに接する黄色い三角が雄黄領ラウム。
ルカはそう父から教わっていた。ところが母はラウムを指さした時、首を横に振った。
「そこは落下月」
「え?」
「落下月。私たちの、緑の月があるところ」
「でも、黄色……」
母の緑の瞳にジッと見つめられ、ルカはたじろいだ。自分よりもずっと深い色をしたその目はどこか悲しげに見えた。母が手を握りこんだので小指の爪はこぶしの中に隠れてしまった。
「ルカ、いい子ね」
抱きしめられた母の胸は甘い花の香りがした。
「いつかあなたにも見せてあげたい。私たちの、すばらしいふるさと」
すばらしいふるさと。母の声をルカは今も憶えている。
王弟アドルファスが兄に反旗を翻したのは、その少し後のことだった。父と母を殺されてなおルカは死ねなかった。王家と緑の民という混ざるはずのない血が混ざって生まれた肌は尋常ならざる再生能力を持ち、傷つけられても傷つくことがない。
生きているだけで疎まれる。死ぬこともできない。修道院に送られ、女神アルカディアに祈りを捧げながらルカは死ぬことを夢見ていた。乳と蜜が流れ、すべての涙が拭われる場所。女神の教えにある死後の世界は、母の語った『すばらしいふるさと』そのものだった。
◇◇◇
「ルカ」
耳元で名前を呼ばれ、ルカは薄く目を開けた。独特な振動と青く染まった視界に自分が幌馬車に揺られていることを思い出す。雨はまだ降り続いているようだ。荷台をすっぽりと覆う幌はいっそう青く見えた。
寝ぼけまなこのルカに、ジェイルは優しかった。
「そろそろ騎士団本部に着くらしい。そこからは徒歩だと」
「ん……」
「ふ、眠いか」
「うん……」
子供の頃の夢を見たせいだろうか、言葉が幼くなっていると自分でもわかる。二人きりでいるのではない。そばには雄黄の騎士たちが何人も乗り合わせている。(しっかりしないと)と頭の片隅で思うのだが、ジェイルの声がなんだか嬉しそうで(まぁ、いっか……)と思考が溶けていく。
ルカは乳飲み子のようにジェイルに抱かれていた。頬を預ける彼の胸は温かくて、雨を受けた幌のそばは涼しくて、眠気を誘う。幌がぼつっぼつっという音と共にたわみ、雨粒を弾く。ぬかるんだ街道を車輪がゆっくりと噛む。臼をひくような振動が響く。
ニャンヤンの祭りのあと、ルカとジェイルは雄黄の騎士たちと共にセイボリーを発った。
タジボルグ帝国を目指す旅の途中、立ち寄ったセイボリーの町で、ひょんなことから伝説の勇士「トーチカ」の名を借りることになった。歓楽街を焼かんとする女騎士アガタの企みをルカはジェイルと共に防ぎ、祭りは無事に執り行われたのである。
任務を失敗したアガタは、自分の失態を打ち消すために大胆な提案を持ち掛けてきた。雄黄領ラウムの領主ベルマインの元へ、ルカたちを連れていきたいと言うのだ。決して悪い話ではない、会って交渉すればタジボルグ帝国行きの船を手配してくれるだろう、と。
ルカは危険を承知で提案を受けた。
急ぐ旅だ。先王アドルファスが女神の神器『鮮緑の雷筒』を明け渡したことで、すでに王家の威光は失墜した。早く取り戻さなければ、各領は分裂を免れないだろう。
とはいえ、昨日まで敵対していた黄色い騎士たちと同じ馬車に乗るのは少し奇妙だった。彼らに手出しする気配がないとわかってからも、ジェイルはルカを宝物のように抱いたまま離さなかった。
ルカがこうして無防備でいられるのも、ジェイルのおかげだ。彼が騎士として、恋人としてそばにいてくれることを修道士のルカは(女神様のお導きだ)と確信している。たとえ彼が『女神なんているわけねーだろ、バーカ』と言ってはばからない不信心者であるとしても。
(でも……ジェイル様もいつかは女神様を信じてくださるはずで……そのためにも、私は……)
その時、ガクンと幌馬車が止まった。
「ぅわっ」
顔を上げるのと幌が開くのが同時だった。青一色に染まっていた視界に色が戻ってくる。
「起きたか」
「……!」
ジェイルに無表情に見下ろされ、ルカは赤面した。夢うつつに身を預けていたたくましい胸が、肉感を持って肌に迫ってくる。新月のように黒い瞳に見つめられると、動悸がますます激しくなる。順に降りていく騎士たちの足音がいっそう恥ずかしい。
(わ、私は人前だというのに、こんな、赤ん坊みたいに抱かれて……!?)
慌てて立ち上がった瞬間、怒られる。
「急に立つな!」
「え、あ。」
足が痺れていた。バランスを崩したルカを、ジェイルは舌打ちしながら受け止めた。
「何やってんだ。鈍くさい」
「あ、ご、ごめんなさい」
先ほどまで優しく流れていた時間はどこへ行ってしまったのだろう。離れようとするとジェイルはますます怒った。
「だから俺より先に行くなっ」
「えっと……でも、あの……きゃあっ」
ルカは肩へ担がれてしまった。
(み、みんな見てるのに……)
髪と瞳の色を隠す頭巾を今ほどありがたく感じたことはない。情けなくて申し訳なくて、ルカはジェイルにしがみついた。
「ジェイル様、ごめんなさい。ごめんなさい」
「やかましい。いちいち謝るな」
また怒らせてしまった。頭巾の下で目を潤ませるルカを、ジェイルはストンと地面に下ろした。
「……ありがとうと言え」
「えっ」
「俺がいて良かっただろうが。あぁ?」
「……!?」
顎を掴まれながらお礼を強要される。しかしただ感謝されたがっているとも思えなかった。喋ろうとすると親指で唇をふさいでくるのだ。こんな恐喝はない、とルカは思った。物欲しげな瞳が自分に何を求めているのか言葉にせずともわかる。ルカがおずおずと指を吸うと、その眼差しがいっそう強くなる。
「仲睦まじいこと」
急に真横に立たれて、ルカは飛び上がった。
「あ、アガタさま……」
白い顔に張り付けたような笑みを浮かべているのは女騎士のアガタだった。周りを見回してみると、他の騎士たちはすでに数名に分かれて移動を開始している。
「長旅で、お足元も悪くて、さぞお疲れでしょう。兵舎で休んでいただけたらと思うのですが、なにぶん狭苦しいところです。かえってお目汚しになるかと」
「いえ、そんな……」
「御託はいい。とっととベルマインの元へ連れていけ」
アガタは薄く笑った。任務を失敗した彼女にとって、ルカとジェイルは領主に捧げる献上品だ。一刻も早く向かいたいに違いない。二人は先を示すアガタに従った。黄色くけぶった空、黄色く煤けた大地。そこに降り注ぐ雨はいかにも細く弱弱しかった。
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