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間章「ニャンヤンのお祭り」
31.いけません
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部下の騎士と合流したアガタは歓楽街へ向かっていた。
まだ汗のひかない部下は、自分がどれほど恐ろしい目に遭ったかを説明した。
「私たちはアガタ様の指示に従い、二人一組で行動していました。これまで捕らえてきた悪党どもの情報をもとに、不法が行われそうな場所を見張っていたのです」
彼は先に捕らえていた詐欺師、ニヌバから違法賭博を行っている酒場の情報を聞き出していた。この現場を押さえられれば大きな手柄である。ところが、酒場へ向かう道すがら、彼と組むもう一人の騎士が姿を消してしまった。
歓楽街の暗い隘路だ。とはいえ道筋はわかりきっている。仕方なく来た道を曲がり角まで戻り、やれやれと彼は思った。家と家の間の細い路地から、雄黄の騎士の証である黄色い帯が覗いていた。
――しようのないやつだ。脅かし返してやる。
彼はわざと大きな声で『ああ、まったくどこにもいない! 困ったなあ!』などと言いながら路地に近づいた。深い暗闇を覗き込んだ時だった。ドゴッと後頭部を固いもので殴打されたのは。
『獲物を狙う犬ほど狩りやすいものはないな。隙だらけだ』
『ぐっ……!』
土に両ひざをついた彼は、股の間に酒瓶を落とされて悲鳴を上げた。ぷぅんと立ち上る酒の臭いに、二日前の火事を思い出す。三日月の下で聞いたのは、確かにこの声ではなかったか。
『アガタに伝えろ。性悪の女神を試す代償は、そう安くないと』
その男の顔に深々と刻まれた傷痕を思い出し、騎士は「あれは死霊のたぐいです!」と叫んだ。
「アガタ様、私たちは手を出してはならぬ者に触れてしまったのではないでしょうか。ここは引き返すべきでは」
「静かに」
先を歩いていたアガタが、歓楽街の入り口で立ち止まる。そこにたむろするごろつきたちが、騎士たちをぎろりと睨み据えた。みな臨戦態勢で、手に木槌や石やこん棒を持っている。
「黄色い雌犬! その荷車を置いていけ」
「……いいでしょう」
「アガタ様!」
アガタは騎士を荷台から離れさせ、男たちがジリジリと近づいてくるに任せた。そして、彼らが退けなくなるほど距離を詰めるまで待ってから、言った。
「おまえたちはこれの中身を知りながら、そのように無防備に近づくのですか」
「なんだと」
「おまえたちの想像通り、この木箱には金属製の玉が入っています。しかし玉の中身は鈴ではない。代わりに油と白い農薬が詰めてある。おまえたちのようなごろつきに、この意味はわからないでしょうが」
「放っておけ、この雌犬の言葉に耳を貸すな!」
「爆発しますよ」
言うと同時に、アガタは荷車の底を力強く蹴り上げた。
「うわあああああッ」
バラバラと降ってくる木箱の雨に、男たちは頭を抱えて伏せる。騎士たちはそれぞれに木箱を受け止め、男たちを散らした。アガタは早口に言った。
「おのおの箱を開け、緩衝材をよけなさい。ここにザルもあります。私たちは修道士たちに倣い、この地のそこかしこに玉を撒くのです。ただし玉に火を点け、その場から離れるという手間がありますが」
「ま、まだ、私たちの仲間がどこかで倒れているかもしれないのに」
アガタは怯える部下の頬を張った。
「ならば貴様が仲間の分の玉を持て。もし見つけたら手柄を分けてやれるように」
ふと、顎を跳ね上げた彼女は、屋根の上に白いひとの姿を見ていた。眩しい日差しを受けるそのひとの顔は見えない。ただ輝く白銀の髪と、破けた修道服を風になびかせていた。
「忌み子」
「トーチカだ!」
同時にふたつの声が上がり、アガタは部下たちに「散れ!」と指図した。彼女はザルを持たなかった。玉をふたつ懐へ入れると、石を振りかぶってくる男をかわし、銀髪の忌み子を追う。
アガタが追うほど、高いところにいる彼の修道服ははだけ、白い背中は露わになった。風の抵抗を受けた破れ目は深く裂けて、素裸も同然になる。
「待ちなさい! 止まれ!」
アガタは積んであるタルを足場に、忌み子のいる高所へと上った。忌み子は身軽だが、足が速いわけではない。
しかしアガタは屋根の上の猫につまづいた。
猫はそこらじゅう寝ていたが、なぜか忌み子の足元は妨げない。このくだらない妨害に、アガタは笑い出した。
「掛け金の下りた蔵を抜け出したうえ、畜生を味方につける、いったい何者なのですか、あなたは!」
そう、結局のところくだらない時間稼ぎだった。渡れる屋根が尽きると、忌み子はコの字型の建物の中庭へ舞い降りた。飛んで追うアガタを振り向き、彼は名乗った。
「……私はルカ。修道士です」
「面白い。銀の髪も緑の瞳も気持ち悪いが、もろ肌脱いで屋根を渡る修道士は、面白い」
「アガタ様。どうあっても、お気持ちは変わりませんか」
ルカの言葉に、アガタはいよいよ笑った。
「あなたは修道士らしく説教するために、この汚らわしい場所へ私をおびき寄せたのですか」
そこは揉み屋と別棟をつなぐ小道だった。ルカは首を振った。
「『話をさせてください』と私がお願いしたのを憶えていますか。あなたは許してくださらなかったけれど、女神様は私の我が儘を聞き届けてくださいました」
「話はもうついています。蔵を抜け出したあなたは、こうして再び私の前にいる。私は今日、あなたの首に縄をかけ、領主様のもとへ曳いていきます。この地を焼いたあとに」
「焼いてはなりません。あなたはそんなことをすべきではない」
「いいえ。私はそのためにこの呪わしいセイボリーへ戻ってきました」
「あなたがここにいるのは女神様を知るためです」
アガタは無言でルカの顔を殴り、裸の腹に膝を入れた。ルカはアガタの黄色い帯に縋り「いけません」とか細い声で叫んだ。股を蹴られると、その声もあげられなくなった。しかしルカはアガタに食いついていた。アガタは吐き捨てた。
「よくも私にそんなデタラメを言えたものですね」
「だめです、いけません」
「どうやら私はあなたを見誤っていたようだ。肌のみならず心も傷つかない化け物だったとは。万人に虐げられてなお女神を妄信するというなら、あなたはただの愚かで惰弱な狂信者だ」
「いけません! ジェイルやめてっ、おねがい、このひとを傷つけないで!」
しかし距離を詰めるジェイルはルカの言葉に従わなかった。怒り狂った彼の拳は、ふりむいたアガタの頬へ的確に食い込んだ。その膂力の凄まじさたるや、アガタを錐揉み回転させて揉み屋の壁に叩きつけるほどだった。
まだ汗のひかない部下は、自分がどれほど恐ろしい目に遭ったかを説明した。
「私たちはアガタ様の指示に従い、二人一組で行動していました。これまで捕らえてきた悪党どもの情報をもとに、不法が行われそうな場所を見張っていたのです」
彼は先に捕らえていた詐欺師、ニヌバから違法賭博を行っている酒場の情報を聞き出していた。この現場を押さえられれば大きな手柄である。ところが、酒場へ向かう道すがら、彼と組むもう一人の騎士が姿を消してしまった。
歓楽街の暗い隘路だ。とはいえ道筋はわかりきっている。仕方なく来た道を曲がり角まで戻り、やれやれと彼は思った。家と家の間の細い路地から、雄黄の騎士の証である黄色い帯が覗いていた。
――しようのないやつだ。脅かし返してやる。
彼はわざと大きな声で『ああ、まったくどこにもいない! 困ったなあ!』などと言いながら路地に近づいた。深い暗闇を覗き込んだ時だった。ドゴッと後頭部を固いもので殴打されたのは。
『獲物を狙う犬ほど狩りやすいものはないな。隙だらけだ』
『ぐっ……!』
土に両ひざをついた彼は、股の間に酒瓶を落とされて悲鳴を上げた。ぷぅんと立ち上る酒の臭いに、二日前の火事を思い出す。三日月の下で聞いたのは、確かにこの声ではなかったか。
『アガタに伝えろ。性悪の女神を試す代償は、そう安くないと』
その男の顔に深々と刻まれた傷痕を思い出し、騎士は「あれは死霊のたぐいです!」と叫んだ。
「アガタ様、私たちは手を出してはならぬ者に触れてしまったのではないでしょうか。ここは引き返すべきでは」
「静かに」
先を歩いていたアガタが、歓楽街の入り口で立ち止まる。そこにたむろするごろつきたちが、騎士たちをぎろりと睨み据えた。みな臨戦態勢で、手に木槌や石やこん棒を持っている。
「黄色い雌犬! その荷車を置いていけ」
「……いいでしょう」
「アガタ様!」
アガタは騎士を荷台から離れさせ、男たちがジリジリと近づいてくるに任せた。そして、彼らが退けなくなるほど距離を詰めるまで待ってから、言った。
「おまえたちはこれの中身を知りながら、そのように無防備に近づくのですか」
「なんだと」
「おまえたちの想像通り、この木箱には金属製の玉が入っています。しかし玉の中身は鈴ではない。代わりに油と白い農薬が詰めてある。おまえたちのようなごろつきに、この意味はわからないでしょうが」
「放っておけ、この雌犬の言葉に耳を貸すな!」
「爆発しますよ」
言うと同時に、アガタは荷車の底を力強く蹴り上げた。
「うわあああああッ」
バラバラと降ってくる木箱の雨に、男たちは頭を抱えて伏せる。騎士たちはそれぞれに木箱を受け止め、男たちを散らした。アガタは早口に言った。
「おのおの箱を開け、緩衝材をよけなさい。ここにザルもあります。私たちは修道士たちに倣い、この地のそこかしこに玉を撒くのです。ただし玉に火を点け、その場から離れるという手間がありますが」
「ま、まだ、私たちの仲間がどこかで倒れているかもしれないのに」
アガタは怯える部下の頬を張った。
「ならば貴様が仲間の分の玉を持て。もし見つけたら手柄を分けてやれるように」
ふと、顎を跳ね上げた彼女は、屋根の上に白いひとの姿を見ていた。眩しい日差しを受けるそのひとの顔は見えない。ただ輝く白銀の髪と、破けた修道服を風になびかせていた。
「忌み子」
「トーチカだ!」
同時にふたつの声が上がり、アガタは部下たちに「散れ!」と指図した。彼女はザルを持たなかった。玉をふたつ懐へ入れると、石を振りかぶってくる男をかわし、銀髪の忌み子を追う。
アガタが追うほど、高いところにいる彼の修道服ははだけ、白い背中は露わになった。風の抵抗を受けた破れ目は深く裂けて、素裸も同然になる。
「待ちなさい! 止まれ!」
アガタは積んであるタルを足場に、忌み子のいる高所へと上った。忌み子は身軽だが、足が速いわけではない。
しかしアガタは屋根の上の猫につまづいた。
猫はそこらじゅう寝ていたが、なぜか忌み子の足元は妨げない。このくだらない妨害に、アガタは笑い出した。
「掛け金の下りた蔵を抜け出したうえ、畜生を味方につける、いったい何者なのですか、あなたは!」
そう、結局のところくだらない時間稼ぎだった。渡れる屋根が尽きると、忌み子はコの字型の建物の中庭へ舞い降りた。飛んで追うアガタを振り向き、彼は名乗った。
「……私はルカ。修道士です」
「面白い。銀の髪も緑の瞳も気持ち悪いが、もろ肌脱いで屋根を渡る修道士は、面白い」
「アガタ様。どうあっても、お気持ちは変わりませんか」
ルカの言葉に、アガタはいよいよ笑った。
「あなたは修道士らしく説教するために、この汚らわしい場所へ私をおびき寄せたのですか」
そこは揉み屋と別棟をつなぐ小道だった。ルカは首を振った。
「『話をさせてください』と私がお願いしたのを憶えていますか。あなたは許してくださらなかったけれど、女神様は私の我が儘を聞き届けてくださいました」
「話はもうついています。蔵を抜け出したあなたは、こうして再び私の前にいる。私は今日、あなたの首に縄をかけ、領主様のもとへ曳いていきます。この地を焼いたあとに」
「焼いてはなりません。あなたはそんなことをすべきではない」
「いいえ。私はそのためにこの呪わしいセイボリーへ戻ってきました」
「あなたがここにいるのは女神様を知るためです」
アガタは無言でルカの顔を殴り、裸の腹に膝を入れた。ルカはアガタの黄色い帯に縋り「いけません」とか細い声で叫んだ。股を蹴られると、その声もあげられなくなった。しかしルカはアガタに食いついていた。アガタは吐き捨てた。
「よくも私にそんなデタラメを言えたものですね」
「だめです、いけません」
「どうやら私はあなたを見誤っていたようだ。肌のみならず心も傷つかない化け物だったとは。万人に虐げられてなお女神を妄信するというなら、あなたはただの愚かで惰弱な狂信者だ」
「いけません! ジェイルやめてっ、おねがい、このひとを傷つけないで!」
しかし距離を詰めるジェイルはルカの言葉に従わなかった。怒り狂った彼の拳は、ふりむいたアガタの頬へ的確に食い込んだ。その膂力の凄まじさたるや、アガタを錐揉み回転させて揉み屋の壁に叩きつけるほどだった。
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