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ラブラブハッピー番外編
じれじれあまあまゴズメル×リリィ④
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三人の子供たちがお小遣いを出し合って買ってきたお土産は小さな天球儀だった。ピーチブロッサムが見つけたものをローズが一目で気に入り、ジュエルも「これならママたちも喜ぶだろう」とゴーサインを出した。確かに見た目も綺麗だし、子供たちの気持ちも嬉しかったが、ゴズメルとリリィをもっとも喜ばせたのは物ではなく三人のお土産話だった。
「月が本当にデコボコして見えたんだ」
「あたし、星が眩しくてぜんぜん眠れなかったー!」
「それはウソだよ、お姉ちゃんすぐ寝てたもの」
余計なことを言うピーチブロッサムに、ローズの癇癪は爆発寸前。瞬間湯沸かし器のような次女をゴズメルはさっと抱き上げた。
「じゃ、トラブルはなかったようだね?」
「エッ。うん」
「ぼ、ぼく泣いてないよ」
「あんたこそウソつきよ。ママがいなくて寂しいって泣いてたくせに!」
ローズにやりかえされ、ピーチブロッサムの目に涙が浮かぶ。ジュエルは首を縮めてうつむいた。長兄の苦労は察するに余りある。ゴズメルは「おつかれ」と肩を軽く叩いてやった。
おおむね楽しい会だったのは確かなようだ。気を取り直したジュエルは、天文台で教わった星座の話をあれこれと聞かせてくれた。
「……でも、聞くと神話はどれも面白いけど、どの星とどの星をつなぐのかが難しくて……」
「なんでもいいんだと思って、あたし自分の星座を作ったわ!」
「おやまあ。大胆なことをするね」
目立ちたがり屋のローズは、隙あらばひとの話をジャマしようとする。それとなくソファへ移動すると、ローズは嬉しそうに紙と鉛筆を持ってきた。絵に描いて説明してくれるらしい。
「いい? 大きな暗い星とちっちゃな緑の星があってね、そのあいだにいるバラ色の星があたしなのよ!」
「……ふむ」
天文台で何の勉強をしてきたのやら、ローズは星と星座を混同しているらしい。ゴズメルは一応口を挟んだ。
「そういう時は三つの星をつないでローズ座にしたほうがいいんじゃないか?」
「だめよ! こっちの星はそれぞれゴズメルママとリリィママなんだもの」
「オッ……!?」
「だって立派なひとはみんな、神様に星座にしてもらえるんでしょう?」
ゴズメルは言葉に詰まった。『あたしはそんなに立派なひとじゃないよ』と本当のことを教えるべきだろうか。だが、自分によく似た一人娘の眼差しはあまりにも純真だった。ゴズメルはどう考えても立派な人間ではない。しかし、ローズの声には、これまで犯してきた過ちのすべてを帳消しにして、さらに花丸までつけるような明るさがあった。
「……ゴズメルママ?」
ローズが不思議そうに首をかしげる。ジュエルたちが天球儀の話をしているのが聞こえた。
「天球儀は宇宙を外から見ているから、本当の星座とは向きが反対になっているんだ」
「じゃ、僕たち本当はこの中にいるんだ」
「うーん、不思議ねえ」
ゴズメルは頭がぼうっとして、胸がじんとした。宇宙のすべてがゴズメル=リリィ家のリビングに集まっていて、ローズも、リリィも、ゴズメルも、もちろんジュエルとピーチブロッサムも輝かしいひとつの星のように思える。きょとんとしているローズを、ゴズメルは胸に抱きしめた。
「あんたがそんなふうに思ってくれるなら、あたしって、幸せ者だよ……」
その声が聞こえたのだろう。リリィがゴズメルを振り向いた。
「月が本当にデコボコして見えたんだ」
「あたし、星が眩しくてぜんぜん眠れなかったー!」
「それはウソだよ、お姉ちゃんすぐ寝てたもの」
余計なことを言うピーチブロッサムに、ローズの癇癪は爆発寸前。瞬間湯沸かし器のような次女をゴズメルはさっと抱き上げた。
「じゃ、トラブルはなかったようだね?」
「エッ。うん」
「ぼ、ぼく泣いてないよ」
「あんたこそウソつきよ。ママがいなくて寂しいって泣いてたくせに!」
ローズにやりかえされ、ピーチブロッサムの目に涙が浮かぶ。ジュエルは首を縮めてうつむいた。長兄の苦労は察するに余りある。ゴズメルは「おつかれ」と肩を軽く叩いてやった。
おおむね楽しい会だったのは確かなようだ。気を取り直したジュエルは、天文台で教わった星座の話をあれこれと聞かせてくれた。
「……でも、聞くと神話はどれも面白いけど、どの星とどの星をつなぐのかが難しくて……」
「なんでもいいんだと思って、あたし自分の星座を作ったわ!」
「おやまあ。大胆なことをするね」
目立ちたがり屋のローズは、隙あらばひとの話をジャマしようとする。それとなくソファへ移動すると、ローズは嬉しそうに紙と鉛筆を持ってきた。絵に描いて説明してくれるらしい。
「いい? 大きな暗い星とちっちゃな緑の星があってね、そのあいだにいるバラ色の星があたしなのよ!」
「……ふむ」
天文台で何の勉強をしてきたのやら、ローズは星と星座を混同しているらしい。ゴズメルは一応口を挟んだ。
「そういう時は三つの星をつないでローズ座にしたほうがいいんじゃないか?」
「だめよ! こっちの星はそれぞれゴズメルママとリリィママなんだもの」
「オッ……!?」
「だって立派なひとはみんな、神様に星座にしてもらえるんでしょう?」
ゴズメルは言葉に詰まった。『あたしはそんなに立派なひとじゃないよ』と本当のことを教えるべきだろうか。だが、自分によく似た一人娘の眼差しはあまりにも純真だった。ゴズメルはどう考えても立派な人間ではない。しかし、ローズの声には、これまで犯してきた過ちのすべてを帳消しにして、さらに花丸までつけるような明るさがあった。
「……ゴズメルママ?」
ローズが不思議そうに首をかしげる。ジュエルたちが天球儀の話をしているのが聞こえた。
「天球儀は宇宙を外から見ているから、本当の星座とは向きが反対になっているんだ」
「じゃ、僕たち本当はこの中にいるんだ」
「うーん、不思議ねえ」
ゴズメルは頭がぼうっとして、胸がじんとした。宇宙のすべてがゴズメル=リリィ家のリビングに集まっていて、ローズも、リリィも、ゴズメルも、もちろんジュエルとピーチブロッサムも輝かしいひとつの星のように思える。きょとんとしているローズを、ゴズメルは胸に抱きしめた。
「あんたがそんなふうに思ってくれるなら、あたしって、幸せ者だよ……」
その声が聞こえたのだろう。リリィがゴズメルを振り向いた。
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