上 下
103 / 203
急・異種獣人同士で子づくり!?ノァズァークのヒミツ編

72.コンプレックス★

しおりを挟む
 怒りをこめて、叩きつけるようにゴズメルは射精した。

 なんの予告もなく口の中に大量の精液を出されたリリィは、咄嗟に喉を使おうとしたが、「飲むな」という残酷な一言にビクッと肩を震わせた。

「ちんぽ奴隷のつもりがあるなら、口を開いて、舌を出しな」

「んえ、えぅ……」

 従うと、当然のごとく下唇からドロドロと精液が垂れ落ちる。白く泡立ったものがこびりつく舌に、ゴズメルは男性器をあてがい、汚れをふき取るかのように腰を前後させた。

 リリィがしゃぶろうとするたびに「ダメ」と言って口を閉じさせない。リリィは甘ったるい鼻息を漏らしてゴズメルを見上げた。

「なんだい、犬みたいにクンクン鳴いて」

 ゴズメルはわざとらしくリリィの口のはしを亀頭で叩いた。

「ダメなものはダメだよ。あんたに任せたら、またちんぽが精子で汚れちまう……今だってひどい臭いだろ。一晩中あんたのまんこをグチャグチャに掻き混ぜてたんだから」

「ふーっ、ふーっ」

 熱い一夜を思い出してか、リリィの鼻息が荒くなる。ゴズメルが口から男性器を引き抜いても、口の閉じ方を忘れたかのように涎を垂らしている。

 綺麗な顔に浮かぶ卑猥な表情に、ゴズメルの男根はまた勃起しはじめていた。ゴズメルは黒光りする竿でリリィの頬をぺちぺちと叩きながら言った。

「昨日のあんたは、凄い乱れ方だったね。声を出すのを恥ずかしがっているくせに、小ぶりなケツを『もっと叩いて!つねって!』って、振りまくってさ」

「あぅ……うぅ……」

 言葉で辱めると、リリィは身もだえした。ゴズメルの脳裏に媚態が蘇る。

「四つん這いで擬牝台の真似しながら、コリコリに勃起したクリチンポにずっと偽卵をこすりつけてた。あたしにマゾまんこを犯させながら、許可もとらずに何度もイッてたね。そんなにした相手が目が覚めたら大根に変わってたわけだけど、あれはあたしの夢かなんかだった?」

「あぁあ……ごめんなさい、ゴズメル、勝手にぬけだして、ごめんなひゃいぃ……」

 リリィは完全にスイッチが入ってしまったらしい。ゴズメルの両手にすがりついて、男根に詫びるかのように鼻先をすりつけてくる。

 いやらしい記憶をいやらしい行動で上書きしようとしているのだろうか。それとも、もっといじめてほしいというアピールだろうか。

「ゆるして、ゆるひてぇ、擬牝台のくせにお尻をぶたれてイッてごめんなひゃい、リリィは、大事な偽卵でオナニーして無断イきひまひたっ。りりぃは、ごずめぅ専用おまんこなのに、起きてすぐつかえなくて、ごめんなひゃいっ、あん、あんっ」

「……ふ。大した変態女だ」

「あぁあん」

 言葉責めにむせび泣くリリィの右手を、ゴズメルは雑にひっぱって横倒しにした。獲物の皮を剥ぐように服をひんむくと、リリィは恐慌状態に陥ってますます激しく泣く。

 ゴズメルはその口に洗濯に持ってきた枕カバーをねじ込んだ。

「んふぅ、うぅ」

「おら、よがってないで歩けっ、散歩の時間だっ」

「ひううんっ」

 枕カバーを引っ張ると、リリィは食いついた。首輪に繋がれた犬のように四つん這いで歩き出す。

 地下は雨の心配がないため、湯船は露天だ。ほんの少しの距離だが、外気に肌が触れることになる。

 目隠しは形ばかりだ。

 全裸で、四つん這いで、ねじこまれた布は口輪のようで、リリィは発情した雌犬も同然だった。

 白くしっとりとした背中に走る背骨が、被虐の悦びにくねっていた。

 ただの犬なら主人の冷たい眼差しを受けたり、平手で尻をぶたれたりすれば尻尾を丸めて動かなくなるだろう。

「トロトロすんな、ちんぽ奴隷らしく、そのエロいケツ振って歩け」

「くぅん、くううんっ」

 だがリリィはそうされるとかえって興奮する性質だった。

 ゴズメルもひとのことは言えない。裸で手綱を引きながら、短い距離を歩くだけで男性器を力強く勃起させている。

(なんっであたしが、こんな変態じみた真似を……!)

 ゴズメルはイライラしながら広い洗い場にシーツを転がした。さらにリリィの尻をひっぱたいて、濡れたシーツの上に押し倒す。

「むふン、うん、ン」

 リリィはのしかかってくるゴズメルに、涙が止まらないようだった。気持ちいいのか、あるいは許されたいのか、股を開いてゴズメルの機嫌をとろうとする。

 ゴズメルは頭に来て脅しつけた。

「今度あたし以外になびいたら、本気で許さないからな」

 パン生地を伸ばすようにリリィのからだを平たくしながら、ゴズメルは怒っていた。

「あんたみたいな変態マゾ女を、満足させられるのはあたしくらいだっ。あたしそっちのけでオズヌたちとベタベタするなっ。あんたは確かに可愛いし、人気者になる才能があるけど、あくまであたしのだから。あたしだけがあんたを好きにしていいんだからっ」

 枕カバーを口に咥えたまま目を見開くリリィは、本当に子犬そっくりだった。

 ゴズメルは甘えん坊の子犬を叱っているような気がして、自分が情けなくなってきた。口を塞がられたリリィは返事もできないのだ。

「……わかった? オズヌ一家だってクソッタレのミノタウロス族なんだ。あたしのいないとこで変に仲良くするんじゃないよっ」

 リリィはこくっとうなずいた。

 このいじめられ方がよほど気に入ったのだろうか。リリィは待てのできないペットみたいに体をこすりつけてくる。

(まったく奉仕してんのは、どっちだか……)

 ゴズメルは舌打ちしつつ、口の中から枕カバーを引っ張り出してやった。

 リリィはすぐさまゴズメルに抱きついてきた。

「ゴズメル、わたしはあなただけのものよ。ゴズメル……」

 かすれた声で甘くささやかれて、ゴズメルは恥ずかしくなった。

 裸で抱き合うと、互いのからだの硬いところと柔らかいところがぶつかりあう。

 それがとても気持ち良くて、ゴズメルはとても切なかった。

「……どうだかね」

 ゴズメルはリリィの耳たぶを噛みながら言った。

「あんたきっと本当は、あたしよりミノタウロス族のオスと相性がいいんだ。こんなふうに乱暴に髪や胸をひっぱられて、毎日毎日ぶっといチンポで犯してもらえるからね。きっと卵だって山ほど産まされるよ……」

「……かわいそうなゴズメル。そんなふうに思ってしまうの?」

「なにがっ」

 プリプリと怒るゴズメルに、リリィは哀しげにほほえんだ。

「あなたは、ミノタウロス族の強いオスに憧れがあるのね。子どもの頃から嫌な思いをしてきて……本当はこの里で強くなりたかったんでしょう」

 リリィの言葉は探り探りだった。ゴズメルの気持ちを目ではかるようにしながら、ゆっくりと言葉を続ける。

 その態度は、さっきまで犬の真似事をしていたとは信じられないほど思慮深かった。

「……心のどこかに、強くなりたいというコンプレックスがあるんじゃないかしら。そうじゃない自分を、ちゃんとしていないように感じてしまうのでしょう? 違う?」

 きょとんとしているゴズメルに、リリィは「こんなことを言ってごめんなさいね、気を悪くしないでね」と謝った。

 気を悪くする以前の問題で、ゴズメルは当惑していた。そんなことを言われたのは初めてなのだ。

 いや、サディスティックにふるまうのは、そのほうがリリィが喜ぶから。そのはずである。

 だが、そう言われてみるとそんな気もするのが不思議だった。なんというか、焦燥感にも似た、奇妙な義務感がある。手酷くいじめないと、リリィが自分から離れていってしまいそうで。

「……あんたが、カウンセリングもできるなんて知らなかった」

「そんな大そうなことじゃないわ。ただ、医務室ではいろいろと冒険者の相談に乗ることがあるから……」

 リリィは言葉を濁して、ゴズメルをまぶしそうに見上げた。

「あのね、ゴズメル」

「ん……」

「もしもあなたが他のミノタウロス族と同じように単純に強さを誇っていたら、私はきっとこんなにあなたを好きになっていないわ」

 リリィの言い方に、ゴズメルはますます混乱した。

 白くて小さな手のひらが、ゴズメルの頬を包んでいた。

「私は、あなたの複雑なところが好きなの。いつも元気なのに落ち込みやすくて、勇気があるのに怖がりで、まっすぐなのに屈折していて……そんなあなたのそばにいたいし、なんでもしてあげたいと思うのよ。あなたは世界で一番かっこよくて、そのうえ可愛くて、とても素敵なひとだわ」

 ゴズメルは、リリィのからだをリリィ以上に知っていると思っている。

 どこを触れば甘い声で鳴くのか、どんなふうに扱うとよがって、どれくらい痛めつけられるのが好きなのか、体中で試したからだ。

 だが、リリィの気持ちはいつもよくわからない。喜んだかと思えば急に怒って、泣き虫なところもあって・・・。

 かと思えばこんな母親のような包容力でもってゴズメルを包み込んでくる。

「私は確かにぶたれるのが、ちょっと好きよ。でも、それは愛するあなたの手だから。誰よりも優しいあなたが、私だけにそうしてくれるから、とっても感じてしまうのよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】そんなに怖いなら近付かないで下さいませ! と口にした後、隣国の王子様に執着されまして

Rohdea
恋愛
────この自慢の髪が凶器のようで怖いですって!? それなら、近付かないで下さいませ!! 幼い頃から自分は王太子妃になるとばかり信じて生きてきた 凶器のような縦ロールが特徴の侯爵令嬢のミュゼット。 (別名ドリル令嬢) しかし、婚約者に選ばれたのは昔からライバル視していた別の令嬢! 悔しさにその令嬢に絡んでみるも空振りばかり…… 何故か自分と同じ様に王太子妃の座を狙うピンク頭の男爵令嬢といがみ合う毎日を経て分かった事は、 王太子殿下は婚約者を溺愛していて、自分の入る余地はどこにも無いという事だけだった。 そして、ピンク頭が何やら処分を受けて目の前から去った後、 自分に残ったのは、凶器と称されるこの縦ロール頭だけ。 そんな傷心のドリル令嬢、ミュゼットの前に現れたのはなんと…… 留学生の隣国の王子様!? でも、何故か構ってくるこの王子、どうも自国に“ゆるふわ頭”の婚約者がいる様子……? 今度はドリル令嬢 VS ゆるふわ令嬢の戦いが勃発──!? ※そんなに~シリーズ(勝手に命名)の3作目になります。 リクエストがありました、 『そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして』 に出てきて縦ロールを振り回していたドリル令嬢、ミュゼットの話です。 2022.3.3 タグ追加

傍若無人な姉の代わりに働かされていた妹、辺境領地に左遷されたと思ったら待っていたのは王子様でした!? ~無自覚天才錬金術師の辺境街づくり~

日之影ソラ
恋愛
【新作連載スタート!!】 https://ncode.syosetu.com/n1741iq/ https://www.alphapolis.co.jp/novel/516811515/430858199 【小説家になろうで先行公開中】 https://ncode.syosetu.com/n0091ip/ 働かずパーティーに参加したり、男と遊んでばかりいる姉の代わりに宮廷で錬金術師として働き続けていた妹のルミナ。両親も、姉も、婚約者すら頼れない。一人で孤独に耐えながら、日夜働いていた彼女に対して、婚約者から突然の婚約破棄と、辺境への転属を告げられる。 地位も婚約者も失ってさぞ悲しむと期待した彼らが見たのは、あっさりと受け入れて荷造りを始めるルミナの姿で……?

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

悪役令息を引き継いだら、愛が重めの婚約者が付いてきました

ぽんちゃん
BL
 双子が忌み嫌われる国で生まれたアデル・グランデは、辺鄙な田舎でひっそりと暮らしていた。  そして、双子の兄――アダムは、格上の公爵子息と婚約中。  この婚約が白紙になれば、公爵家と共同事業を始めたグランデ侯爵家はおしまいである。  だが、アダムは自身のメイドと愛を育んでいた。  そこでアダムから、人生を入れ替えないかと持ちかけられることに。  両親にも会いたいアデルは、アダム・グランデとして生きていくことを決めた。  しかし、約束の日に会ったアダムは、体はバキバキに鍛えており、肌はこんがりと日に焼けていた。  幼少期は瓜二つだったが、ベッドで生活していた色白で病弱なアデルとは、あまり似ていなかったのだ。  そのため、化粧でなんとか誤魔化したアデルは、アダムになりきり、両親のために王都へ向かった。  アダムとして平和に暮らしたいアデルだが、婚約者のヴィンセントは塩対応。  初めてのデート(アデルにとって)では、いきなり店前に置き去りにされてしまい――!?  同性婚が可能な世界です。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。  ※ 感想欄はネタバレを含みますので、お気をつけください‼︎(><)

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ
ファンタジー
日本の社会人として暮らす|大倉潤《おおくらじゅん》は女神に英雄【ジュン】として18才に若返り異世界に召喚される。 ジュンがチートスキルを持たず、他の転移者はチートスキルを保持している為、転移してすぐにジュンはパーティーを追放された。 ジュンは最弱ジョブの投資家でロクなスキルが無いと絶望するが【経験値投資】スキルは規格外の力を持っていた。 この力でレベルを上げつつ助けたみんなに感謝され、更に超絶美少女が俺の眷属になっていく。 一方俺を追放した勇者パーティーは横暴な態度で味方に嫌われ、素行の悪さから幸運値が下がり、敵にマークされる事で衰退していく。 女神から英雄の役目は世界を救う事で、どんな手を使っても構わないし人格は問わないと聞くが、ジュンは気づく。 あのゆるふわ女神の世界管理に問題があるんじゃね? あの女神の完璧な美貌と笑顔に騙されていたが、あいつの性格はゆるふわJKだ! あいつの管理を変えないと世界が滅びる! ゲームのように普通の動きをしたら駄目だ! ジュンは世界を救う為【深刻な女神力不足】の改善を進める。 念のためR15にしてます。 カクヨムにも先行投稿中

異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!

東導 号
ファンタジー
雑魚モブキャラだって負けない! 俺は絶対!前世より1億倍!幸せになる! 俺、ケン・アキヤマ25歳は、某・ダークサイド企業に勤める貧乏リーマン。 絶対的支配者のようにふるまう超ワンマン社長、コバンザメのような超ごますり部長に、 あごでこきつかわれながら、いつか幸せになりたいと夢見ていた。 社長と部長は、100倍くらい盛りに盛った昔の自分自慢語りをさく裂させ、 1日働きづめで疲れ切った俺に対して、意味のない精神論に終始していた。 そして、ふたり揃って、具体的な施策も提示せず、最後には 「全社員、足で稼げ! 知恵を絞り、営業数字を上げろ!」 と言うばかり。 社員達の先頭を切って戦いへ挑む、重い責任を背負う役職者のはずなのに、 完全に口先だけ、自分の部屋へ閉じこもり『外部の評論家』と化していた。 そんな状況で、社長、部長とも「業務成績、V字回復だ!」 「営業売上の前年比プラス150%目標だ!」とか抜かすから、 何をか言わんや…… そんな過酷な状況に生きる俺は、転職活動をしながら、 超シビアでリアルな地獄の現実から逃避しようと、 ヴァーチャル世界へ癒しを求めていた。 中でも最近は、世界で最高峰とうたわれる恋愛ファンタジーアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』に、はまっていた。 日々の激務の疲れから、ある日、俺は寝落ちし、 ……『寝落ち』から目が覚め、気が付いたら、何と何と!! 16歳の、ど平民少年ロイク・アルシェとなり、 中世西洋風の異世界へ転生していた…… その異世界こそが、熱中していたアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』の世界だった。 もう元の世界には戻れそうもない。 覚悟を決めた俺は、数多のラノベ、アニメ、ゲームで積み重ねたおたく知識。 そして『ステディ・リインカネーション』をやり込んだプレイ経験、攻略知識を使って、 絶対! 前世より1億倍! 幸せになる!  と固く決意。 素晴らしきゲーム世界で、新生活を始めたのである。 カクヨム様でも連載中です!

わたくしは悪役だった

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が、二度目は間違えないように生きるお話。 ざまぁなし、大団円…のはず。 元サヤですのでご注意ください。 ご都合主義のハッピーエンドのSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...