10 / 31
第10話 最近は毎日が充実しています
しおりを挟む
今日僕はヴェーラさんの診療所にお邪魔している。
そして今は必死にネズミに対して治癒魔術の練習をしている。
ちなみにこのネズミの名は『う』
ネズミレースの競走鼠?である。チンチラ並の大きさでこうやって見るとかなりキモイ。
体内魔力を使うのではなく外の魔力を使うという点で多少苦労はしたがすぐに習得は出来た。やっていることは普段とあまり変わらない。患部に綺麗な魔力を通して傷を修復する。普段僕が使っているものより効率は良いが治りが遅い。
「はぁー、私それできるのに2年かかったのよ?ホント才能って恐ろしいわねぇー嫌になっちゃう。」
と今日は僕を膝に乗せお腹を後ろからさすりながら呟く。もう少し上触ってきたらこの肘ぶつけてやろうかな。
そもそも魔術と魔法は似ているが別物。魔法は魔術よりもずっと次元が上のことをしているとのこと。そのため魔法を1度でも使えば感覚的に魔術の習得もできるのだとか。ただ如何せん魔法を使える者は多くはなく、こうして魔術が口伝で習得できるのとは反対に魔法は一部の習得者が技術を秘匿し続けているらしい。
そして生活魔術、主に水を出したり火を出したり清掃など人類を支えている技術の1つだ。僕はサルサがやっているのを見てずっと真似をしようとしていたが僕の魔力の性質のせいで一生できないと思っていた。が、それ以前の問題だった。これも1日でなんなくクリア。
「お腹うっすいわねぇ~、ちゃんと食べてる?それに同居人の冒険者大丈夫なの?サルサって果断のサルサでしょ?」
「何その二つ名。かっこよ。」
「噂によるととにかく決断が早くて冷酷なの。何かあったら直ぐにパーティーを抜けるしダンジョン内で重傷者が出ても一瞬で躊躇わずに切り捨てる。2ヶ月くらい前かしら、臨時でパーティーを組んで深層ダイブしたそうだけど結局サルサだけが無事に帰ってきたって言うじゃない。それもあって冒険者達からは少し煙たがられてるらしいわよ。」
「ふーん。」
「ただ、サルサが所属していたパーティーに問題があったのも事実なのよね。男女関係や取り分。サルサは斥候だから前を張っていて、それなりに危険も伴うはずなのに大体を無傷で切り抜けてしまう。特に若い子達はそれのありがたみに気付けずに取り分で揉めることも多かったらしいわ。結局サルサが抜けたパーティーは全て問題が発覚している。最近の深層ダイブ失敗にしてもダンジョンから血濡れで出てきたサルサを見たって人もいるしね。なんというか運が無いのよね。」
それであんなに傷だらけだったのか。
それにしても果断、かぁ。もし僕が今後何かあって使いものにならなくなったらちゃんと切り捨ててくれるのかな。迷惑はかけたくないし。あとどさくさに紛れて人の頭に自分の頭を乗せるのはやめて欲しい、重い。
「それで?サルサとはどんな生活してるの?」
「どんなって普通ですよ?朝起きて朝食軽く作って一緒に家を出て。家帰ってサルサが帰ってくる前に掃除してご飯作って一緒に食べて。その後ナイフの訓練して水浴びて武器の手入れして一緒に寝る。こんな感じですかね?」
「それあまり普通って言わないわよ。シオくんが全部やってるじゃない。それにしても至れり尽くせりで本当に羨ましいわね。私もシオくんにお世話されたいんだけど。やっぱり家《うち》に来ない?」
「遠慮しておきます。僕にはサルサがいるので。」
「うわぁーんお姉さんフラれちゃった~、ねーそこの男の子~私の事慰めて~」
「なんですかその二重構え、てか離してくださいよっホントにっッ!力強くないッ?頬ずりやめて!ね、ホントにやめて!!そこ手入れるな!!!」
こうして僕は家路に着く。
こういう日診療所はどうしてるのかって?
普通に閉じてるよ?もし患者が来たら?
まぁあれだ。
運がなかったと思ってくれ。
ここは闇医者、そういうこともあるもんだ。
僕の名はシオ。
明日をも知れぬ闇医者さ。
そして今は必死にネズミに対して治癒魔術の練習をしている。
ちなみにこのネズミの名は『う』
ネズミレースの競走鼠?である。チンチラ並の大きさでこうやって見るとかなりキモイ。
体内魔力を使うのではなく外の魔力を使うという点で多少苦労はしたがすぐに習得は出来た。やっていることは普段とあまり変わらない。患部に綺麗な魔力を通して傷を修復する。普段僕が使っているものより効率は良いが治りが遅い。
「はぁー、私それできるのに2年かかったのよ?ホント才能って恐ろしいわねぇー嫌になっちゃう。」
と今日は僕を膝に乗せお腹を後ろからさすりながら呟く。もう少し上触ってきたらこの肘ぶつけてやろうかな。
そもそも魔術と魔法は似ているが別物。魔法は魔術よりもずっと次元が上のことをしているとのこと。そのため魔法を1度でも使えば感覚的に魔術の習得もできるのだとか。ただ如何せん魔法を使える者は多くはなく、こうして魔術が口伝で習得できるのとは反対に魔法は一部の習得者が技術を秘匿し続けているらしい。
そして生活魔術、主に水を出したり火を出したり清掃など人類を支えている技術の1つだ。僕はサルサがやっているのを見てずっと真似をしようとしていたが僕の魔力の性質のせいで一生できないと思っていた。が、それ以前の問題だった。これも1日でなんなくクリア。
「お腹うっすいわねぇ~、ちゃんと食べてる?それに同居人の冒険者大丈夫なの?サルサって果断のサルサでしょ?」
「何その二つ名。かっこよ。」
「噂によるととにかく決断が早くて冷酷なの。何かあったら直ぐにパーティーを抜けるしダンジョン内で重傷者が出ても一瞬で躊躇わずに切り捨てる。2ヶ月くらい前かしら、臨時でパーティーを組んで深層ダイブしたそうだけど結局サルサだけが無事に帰ってきたって言うじゃない。それもあって冒険者達からは少し煙たがられてるらしいわよ。」
「ふーん。」
「ただ、サルサが所属していたパーティーに問題があったのも事実なのよね。男女関係や取り分。サルサは斥候だから前を張っていて、それなりに危険も伴うはずなのに大体を無傷で切り抜けてしまう。特に若い子達はそれのありがたみに気付けずに取り分で揉めることも多かったらしいわ。結局サルサが抜けたパーティーは全て問題が発覚している。最近の深層ダイブ失敗にしてもダンジョンから血濡れで出てきたサルサを見たって人もいるしね。なんというか運が無いのよね。」
それであんなに傷だらけだったのか。
それにしても果断、かぁ。もし僕が今後何かあって使いものにならなくなったらちゃんと切り捨ててくれるのかな。迷惑はかけたくないし。あとどさくさに紛れて人の頭に自分の頭を乗せるのはやめて欲しい、重い。
「それで?サルサとはどんな生活してるの?」
「どんなって普通ですよ?朝起きて朝食軽く作って一緒に家を出て。家帰ってサルサが帰ってくる前に掃除してご飯作って一緒に食べて。その後ナイフの訓練して水浴びて武器の手入れして一緒に寝る。こんな感じですかね?」
「それあまり普通って言わないわよ。シオくんが全部やってるじゃない。それにしても至れり尽くせりで本当に羨ましいわね。私もシオくんにお世話されたいんだけど。やっぱり家《うち》に来ない?」
「遠慮しておきます。僕にはサルサがいるので。」
「うわぁーんお姉さんフラれちゃった~、ねーそこの男の子~私の事慰めて~」
「なんですかその二重構え、てか離してくださいよっホントにっッ!力強くないッ?頬ずりやめて!ね、ホントにやめて!!そこ手入れるな!!!」
こうして僕は家路に着く。
こういう日診療所はどうしてるのかって?
普通に閉じてるよ?もし患者が来たら?
まぁあれだ。
運がなかったと思ってくれ。
ここは闇医者、そういうこともあるもんだ。
僕の名はシオ。
明日をも知れぬ闇医者さ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~
鐘ケ江 しのぶ
ファンタジー
第15回ファンタジー大賞、奨励賞頂きました。
投票していただいた皆さん、ありがとうございます。
励みになりましたので、感想欄は受け付けのままにします。基本的には返信しませんので、ご了承ください。
「あんたいいかげんにせんねっ」
異世界にある大国ディレナスの王子が聖女召喚を行った。呼ばれたのは聖女の称号をもつ華憐と、派手な母親と、華憐の弟と妹。テンプレートのように巻き込まれたのは、聖女華憐に散々迷惑をかけられてきた、水澤一家。
ディレナスの大臣の1人が申し訳ないからと、世話をしてくれるが、絶対にあの華憐が何かやらかすに決まっている。一番の被害者である水澤家長女優衣には、新種のスキルが異世界転移特典のようにあった。『ルーム』だ。
一緒に巻き込まれた両親と弟にもそれぞれスキルがあるが、優衣のスキルだけ異質に思えた。だが、当人はこれでどうにかして、家族と溺愛している愛犬花を守れないかと思う。
まずは、聖女となった華憐から逃げることだ。
聖女召喚に巻き込まれた4人家族+愛犬の、のんびりで、もふもふな生活のつもりが……………
ゆるっと設定、方言がちらほら出ますので、読みにくい解釈しにくい箇所があるかと思いますが、ご了承頂けたら幸いです。
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる