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王都編

第4話 殿下とご対面

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美しいブロンドの髪を靡かせ、白い肌にまるで装飾品のような紅蓮の瞳
まだ若干の丸みがあるのは幼さ故か
もはや造りものの域だ
甘いマスクってこういうのを言うんだろうなぁ
美しいというか妖艶、蠱惑的の方が正しいかもしれない

などと割と失礼なことを考えていると
「そんなに硬くならなくても大丈夫だよ
今日はまだ顔合わせってだけだしね
これから君には僕の使用人に相応しい素敵な人間になってもらうからね!」

思ってたんと違う……

王族って聞いてたからもっと堅苦しいイメージを持ってたけどかなりフランクだ

内心少し困惑していたら突然灯りが消え、顔を隠した数人がなだれ込んできた

「え?もしかして試されてる?」
と思いながら
viżjoni bil-lej暗視を発動させ賊の位置を確認する
そうしてId-dinja ordinarja tiegħi唯の世界を発動させる

するとみるみるうちに周りの動きが止まる
唯の世界というのは簡単に言えば前世の世界と同じ空間である
つまり魔力など初めから存在しない

とりあえず5人の賊を殺……しちゃまずいから1箇所に集める
制限時間は自分で100秒と決めているため無駄な時間など1秒たりともありはしない
今まで実験してきたが人の体勢を変えるのはかなり力がいる
とりあえず4人の男と1人の女を横に倒し重ねる
そうすれば時が動き出しても走り出すことは無いだろう

Id-dinja ordinarja tiegħi唯の世界 解除」

賊たちは時が動き出した途端皆戸惑いを隠せない表情だった
それはそうだ自分たちは今地に足をつけて駆けていたはずなのに横たわっている

Sitt tort六つの咎め

一瞬で賊たちを鎖が絡めとる

「あ、痛かったら言ってねー」
と言った瞬間1人が悲鳴をあげた

「ごめん、締めすぎちゃった」
この魔法はまだ生きた人を拘束したことが無いため出力に不安があるのだ

殿下とオランジェさんは目をまん丸にしている
そりゃそうだ
一瞬で窓を破り展開した賊たちが1秒もしないうちに1箇所に集まり拘束されているのだから

てか顔の造りがいいと変な表情ですら様になるのか………

「え、シズキ今のどうやったの?」

「単純に魔法を使っただけですよ殿下
私は一瞬試されているのかと愚考しましたが殿下のその表情を窺うとそうではないようですね

オランジェさん、どうします?
あ、この鎖は僕の魔力そのものなので基本破られる心配は無いです」

「ただいま衛兵を呼んできます
殿下、シズキ殿から離れないように」

「う、うん分かったよ」

「さて殿下、これが私の力でございます
少しは信用に足りたでしょうか?」

「うん、もちろんだよ
それより僕は一瞬で入ってきた人達を1箇所に集めたのをどうやったのか気になるのだけど」

初めて横に立ったが本当に11歳か?
僕より身長高いんだが??

「それは私めの力の根幹に関わる故どうかご容赦を」

「それに2人だけだったらそんな堅苦しい言葉じゃなくていいよ」

「そうなの?
それじゃ遠慮なく」

「じゃ、改めてよろしくねシズキ
頑張って僕を守ってよ?」

「善処するよ
で、こいつらどうするの?」

未だに賊の1人は力に任せて鎖を引きちぎろうとしているようだがその程度じゃいくらやっても無理だ

「逆にシズキはここから何ができるの?」

「そりゃもちろんこのまま鎖を締め上げて殺すこともできるし、気絶させることもできるよ」

「じゃあ気絶させちゃって」

「拝命しました殿下」

「そんじゃ、設定は900vにしよっか」
さすがに前回1050vで試した際明らかに火傷をしたものがいたのでちょっと抑えにする
「殿下、ちょっと失礼」
賊のナイフを借りて少し指に傷を作り血を垂らす
そして

Xbieki tas-sema Xokk bolt天の網 衝電

しっかり5人全員の意識を奪うことができた

「身体中に金属製の刃物持ってるから当たり前かぁ」
と独り言をこぼしていると

「凄い!今のどうやったの!ねぇ!」
と殿下が子犬のように迫ってきた

「どうって言われてもね……
魔法の糸に雷属性の魔力を流し込んで相手を感電させるってところかな」

「んー、ちょっと何言ってるか分からないんだけど…」

「僕の魔法って他の人と違うらしいから手本にしない方がいいと思うよ?」

そう言っているとオランジェさんが衛兵を連れてきた
てきぱきと指示を出しその場を処理していく

「シズキくん、この鎖は…」

「今解きますね」
Sitt tort六つの咎めを解除した途端賊のうちの1人が殿下に向かって決死のダイブを敢行する

魔法使うまでもないなと判断した僕は男が振り下ろしたナイフをそのまま手で掴んだ
男は
「え?」
という表情を浮かべたのでそのまま足を払い関節技よ要領で肩の間接を外した
なぜか気絶していなかったので1000vに設定して
Xbieki tas-sema Xokk bolt天の網 衝電
多少焦げ臭いため火傷は免れないだろう

「では衛兵さん、よろしくお願いします」
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