29 / 29
メリアドール嬢との会話
しおりを挟む
ルークスはローラント地方に戻っていた。
「ルークス様」
「グレバトスか何か用か?」
「数日後にメリアドール嬢がこちらに来るようです」
「何?用件はわかるか?」
「そ、それがルークス様と婚姻を結びたいと………」
「……それはメリアドール本人がか?」
「先触れの手紙を読む限りはそのように受けとれます」
シーラの姉であるメリアドール嬢とは、ここ数年は会って無いはずだ。しかし、いきなり婚姻とは……。まぁ、ともかく会って見よう。メリアドール嬢となら建設的な意見交換ができそうだ。結局その後は何事もなく当日になった。
「久しぶりね。ルークス、学園の卒業式以来かしら」
「お久しぶりです。メリアドール嬢。そうですねメリアドール嬢が卒業されてからは会ってないですね」
お互いに学園に通っていれば会うことはあるだろうけど、片方が卒業してしまえば交流の機会などそうそうない。
「ん?……あのメリアドール嬢……1人で来たので?」
厳密に言えば護衛と侍女がいる。しかし、それだけだ。
「ええ、そうよ。私の家族はあなたとの婚姻には反対だもの。まぁシーラ以外は放任に近いけどね」
まぁシーラは賛成はしないな。
「まず、私のことを高く評価していただきありがとうございます。しかし、なぜ私と婚姻となったのです?」
「『個人の争いよりも国家が疲弊する方を憂慮する』というセリフはあなたの発言でしょ?」
「それは確かに私の発言ですが、まさかその発言に感動してですか?」
「そのまさかよ。私メリアドールはルークスに婚姻を申し込みに来たのよ」
「あの、さすがに発言ひとつで婚姻は極端なのでは?」
「やっぱり、ルークスあなた変わったわね。昔のあなただったら相手から婚姻を望まれたら調子に乗っていたはずよ」
「……昔の性格は否定できませんけど、やはり言葉だけで婚姻は軽率では?」
「今のあなたなら十分だと考えているのよ。さすがに何も調べてないわけじゃないわよ。あなたがローラント地方に着任してからの日々ぐらいは聞いたわ」
なるほど。特にローラント地方に着任してからは何も隠し事はしていない。行動したことは全て筒抜けだろう。
「………メリアドール嬢の考えはわかりました。しかし、タイミングが悪かったですね」
「?……どういうこと?」
「つい先日にシルヴィア王女と正式に婚約しました。ヴェズーバ国の第三王女シルヴィアとです」
「………」
「さすがに他国とはいえ何の理由もなく王女を側室にはできません。タイミング的にもシルヴィア王女の方がアプローチが早かった。ここでメリアドール嬢からの婚約は側室候補にするしかない状態です」
「私は側室でもかまわないわよ」
「………メリアドール嬢、……あなた自身は本心でしょうが両親とシーラが反対しませんか?」
「…そこを突かれると弱いわね。しかし、それでも説得してみせるわ」
メリアドール嬢は長女らしく、一見おとなしいタイプの女性だ。しかし、芯は相当に強く、一度決心したことはやり遂げる強さを持っている。仮に以前のルークスが相手でも………いや、そしたらルークスはメリアドールの手のひらの上で踊らされるだけだろう。そこまでの包容力はある女性だ。
「そこまで思われていることは光栄ですね。……とはいえ、そちらの家庭のゴタゴタは巻き込まれるのは遠慮したいですね」
ルークスは本心からそう思った。
「ルークス様」
「グレバトスか何か用か?」
「数日後にメリアドール嬢がこちらに来るようです」
「何?用件はわかるか?」
「そ、それがルークス様と婚姻を結びたいと………」
「……それはメリアドール本人がか?」
「先触れの手紙を読む限りはそのように受けとれます」
シーラの姉であるメリアドール嬢とは、ここ数年は会って無いはずだ。しかし、いきなり婚姻とは……。まぁ、ともかく会って見よう。メリアドール嬢となら建設的な意見交換ができそうだ。結局その後は何事もなく当日になった。
「久しぶりね。ルークス、学園の卒業式以来かしら」
「お久しぶりです。メリアドール嬢。そうですねメリアドール嬢が卒業されてからは会ってないですね」
お互いに学園に通っていれば会うことはあるだろうけど、片方が卒業してしまえば交流の機会などそうそうない。
「ん?……あのメリアドール嬢……1人で来たので?」
厳密に言えば護衛と侍女がいる。しかし、それだけだ。
「ええ、そうよ。私の家族はあなたとの婚姻には反対だもの。まぁシーラ以外は放任に近いけどね」
まぁシーラは賛成はしないな。
「まず、私のことを高く評価していただきありがとうございます。しかし、なぜ私と婚姻となったのです?」
「『個人の争いよりも国家が疲弊する方を憂慮する』というセリフはあなたの発言でしょ?」
「それは確かに私の発言ですが、まさかその発言に感動してですか?」
「そのまさかよ。私メリアドールはルークスに婚姻を申し込みに来たのよ」
「あの、さすがに発言ひとつで婚姻は極端なのでは?」
「やっぱり、ルークスあなた変わったわね。昔のあなただったら相手から婚姻を望まれたら調子に乗っていたはずよ」
「……昔の性格は否定できませんけど、やはり言葉だけで婚姻は軽率では?」
「今のあなたなら十分だと考えているのよ。さすがに何も調べてないわけじゃないわよ。あなたがローラント地方に着任してからの日々ぐらいは聞いたわ」
なるほど。特にローラント地方に着任してからは何も隠し事はしていない。行動したことは全て筒抜けだろう。
「………メリアドール嬢の考えはわかりました。しかし、タイミングが悪かったですね」
「?……どういうこと?」
「つい先日にシルヴィア王女と正式に婚約しました。ヴェズーバ国の第三王女シルヴィアとです」
「………」
「さすがに他国とはいえ何の理由もなく王女を側室にはできません。タイミング的にもシルヴィア王女の方がアプローチが早かった。ここでメリアドール嬢からの婚約は側室候補にするしかない状態です」
「私は側室でもかまわないわよ」
「………メリアドール嬢、……あなた自身は本心でしょうが両親とシーラが反対しませんか?」
「…そこを突かれると弱いわね。しかし、それでも説得してみせるわ」
メリアドール嬢は長女らしく、一見おとなしいタイプの女性だ。しかし、芯は相当に強く、一度決心したことはやり遂げる強さを持っている。仮に以前のルークスが相手でも………いや、そしたらルークスはメリアドールの手のひらの上で踊らされるだけだろう。そこまでの包容力はある女性だ。
「そこまで思われていることは光栄ですね。……とはいえ、そちらの家庭のゴタゴタは巻き込まれるのは遠慮したいですね」
ルークスは本心からそう思った。
0
お気に入りに追加
7
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる