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第18話
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「水の値段が高い」
ルークスが呟いた。
いや正確には飲料水の値段が高い。水道なんてないから当たり前だが。
川の水は汲んでくれば値段的にはただ同然だが代わりに重労働になる。それにそのまま飲むには危険すぎる。
「それはわかるが、ワインやビールの方が安いとはな。現状ではお茶、水、ビール、ワインの順位で値段がついている」
もちろん。一部の高級品はワインであっても相応の値段はするが。
「というか水が高いというよりはワインが値崩れして安いという方が正確か?まぁ両方とも原因になっていると考える方が自然か」
しかし、値崩れしているならある程度買い占めて保存しておくのもありだな。ある程度しか買わないなら買い占めるとは言わないか。そもそも倉庫というか冷暗所には限りがあるから無制限にはどちらにせよ買えないわけだが。
「とりあえずルビン会長に在庫があるか聞いてみるか」
「ありますよ。ワイン。一応ワイン業者との付き合いもありますから値崩れしてもある程度は買わないと来年から買えない状態になりますから。もちろん値崩れしている分安値で買い取りましたが」
「冷暗所に入る分だけは買うとして、ここ数日で使う分も買うか」
「使う?飲むのではなく?」
ルビン会長が怪訝な表情をした。
「あぁ、ワインを調理に使用しようと思ってな。ちょっとルビン商会のレストランの厨房を借りたい。明日の閉店後でいいか?」
「閉店後でいいならかまいませんが……」
「後は、そうだな売れ残りでいいから牛肉と豚肉と玉葱を用意して欲しい」
「それは今すぐにでも準備できますが……」
「売れ残りでいいんだぞ?まぁ今すぐできるならそうだな。牛肉と豚肉をワインに浸けておいて欲しい」
次の日
調理するからには調味料も欲しかったが胡椒や砂糖を使ったらとんでもない金額になる。今ならワインは水より安い。そこでルークスは牛肉のワイン煮込みを作ることにした。
玉葱を炒めて甘味をつけて、牛肉をワインで煮込むだけの簡単な料理である。
とりあえず、できた牛肉のワイン煮込みはルークスには満足のいくものだった。
「領主様」
「ん?なんだ?」
料理長のカーターが話かけて来た。
「この料理をこのレストランで提供してもよろしいでしょうか?」
「別にいいぞ」
「もちろん、領主様が考えられた料理なので特許料はお支払いいたします。って今なんと?」
「いや、だからメニューに加えたいのだろ?それは許可するよ。特許料は相場通りなら売上の3割か?」
「あっさり許可を出しましたね」
「ルビン会長、焦らしても利益はないからな。というか、逆に流行させて特許料を確保した方が得だろう?」
「なるほど」
「というか別にこの店だけじゃなくてルビン商会の傘下のすべての店舗に許可を出すぞ」
ルークスが呟いた。
いや正確には飲料水の値段が高い。水道なんてないから当たり前だが。
川の水は汲んでくれば値段的にはただ同然だが代わりに重労働になる。それにそのまま飲むには危険すぎる。
「それはわかるが、ワインやビールの方が安いとはな。現状ではお茶、水、ビール、ワインの順位で値段がついている」
もちろん。一部の高級品はワインであっても相応の値段はするが。
「というか水が高いというよりはワインが値崩れして安いという方が正確か?まぁ両方とも原因になっていると考える方が自然か」
しかし、値崩れしているならある程度買い占めて保存しておくのもありだな。ある程度しか買わないなら買い占めるとは言わないか。そもそも倉庫というか冷暗所には限りがあるから無制限にはどちらにせよ買えないわけだが。
「とりあえずルビン会長に在庫があるか聞いてみるか」
「ありますよ。ワイン。一応ワイン業者との付き合いもありますから値崩れしてもある程度は買わないと来年から買えない状態になりますから。もちろん値崩れしている分安値で買い取りましたが」
「冷暗所に入る分だけは買うとして、ここ数日で使う分も買うか」
「使う?飲むのではなく?」
ルビン会長が怪訝な表情をした。
「あぁ、ワインを調理に使用しようと思ってな。ちょっとルビン商会のレストランの厨房を借りたい。明日の閉店後でいいか?」
「閉店後でいいならかまいませんが……」
「後は、そうだな売れ残りでいいから牛肉と豚肉と玉葱を用意して欲しい」
「それは今すぐにでも準備できますが……」
「売れ残りでいいんだぞ?まぁ今すぐできるならそうだな。牛肉と豚肉をワインに浸けておいて欲しい」
次の日
調理するからには調味料も欲しかったが胡椒や砂糖を使ったらとんでもない金額になる。今ならワインは水より安い。そこでルークスは牛肉のワイン煮込みを作ることにした。
玉葱を炒めて甘味をつけて、牛肉をワインで煮込むだけの簡単な料理である。
とりあえず、できた牛肉のワイン煮込みはルークスには満足のいくものだった。
「領主様」
「ん?なんだ?」
料理長のカーターが話かけて来た。
「この料理をこのレストランで提供してもよろしいでしょうか?」
「別にいいぞ」
「もちろん、領主様が考えられた料理なので特許料はお支払いいたします。って今なんと?」
「いや、だからメニューに加えたいのだろ?それは許可するよ。特許料は相場通りなら売上の3割か?」
「あっさり許可を出しましたね」
「ルビン会長、焦らしても利益はないからな。というか、逆に流行させて特許料を確保した方が得だろう?」
「なるほど」
「というか別にこの店だけじゃなくてルビン商会の傘下のすべての店舗に許可を出すぞ」
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