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第12話 王都の政治
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クレートの戦いはルークスの評価を高めた。
特にローラント地方の兵からの人気は相当なものになった。一部からは尊敬の眼差しさえ向けられている。
シドルもネイザルも防衛成功の祝福に来てくれた。
ルークスはこの戦いの最中、黒いマント、黒い鎧を身につけていたため黒将軍と呼ばれるようになっていた。
ルークス自身は黒は少し痩せて見える。というあやふやな知識で身につけていただけなのだが。
工作隊を活用し、長弓《ロングボウ》とクロスボウの両方の弓兵を活躍させ、騎兵に鐙《あぶみ》を提供したルークスはローラント地方軍に歓迎された。
そして、この戦いは当然国王に報告される。自国の戦争だから当たり前だが。
「国王陛下」
「宰相か、この報告を受けてどうする?」
「まさかルークス殿がここまで活躍されるとは……」
「それはわしも同じ気持ちだが……」
「ルークス殿の才能はまだわかりませんが、これだけの活躍をした以上他国に取られるのはまずいですな」
「取られるどころか学園追放での怨みで自分から他国に走る可能性もあるのでは?」
「今のところは大丈夫でしょう。他国に走っても軍の指揮官以上の待遇をするところはないでしょうから。ただルークス殿の気分を損ねることがあればわかりません」
「学園を追放された以上、学園に戻すことはできん」
「いっそのこと、このままローラント地方領主にしてしまっては?」
「何?」
「今現在、ローラント地方は領主がいない状況です。他の貴族達は命惜しさに嫌がっているので、ルークス殿も自分の領土となれば一生懸命に守るでしょう。今回の勝利の褒美としてはいかがですか?」
「他の貴族達は反対しないか?さすがに防衛に一度成功しただけで領主任命は」
「その者にはこう言うのです。ルークス殿は援軍もなく五千の兵で三万のゴルゴダルラ軍の撃退に成功したのですからあなたの領地が六倍の軍で攻撃された場合でも援軍は必要ないですね?と」
「なるほど、命惜しさに引っ込んでる者は反対できないな」
ルークスが防衛に成功との報告は第二王子のエリックの元にも届いた。
「なぜだ?!なぜ?こうなる!」
「あいつは学園の無能者じゃなかったのか?!」
もちろん無能者とはルークスのことである。
学園にいる時までならその評価は正しかった。
「これでは俺が国王に成れるかわからんではないか!あの無能者が失敗した後に俺が大軍を率いて恩を売る計画が、これで使えなくなってしまったではないか!」
仮に今回の計画が全てうまくいったとしても国王に成れる保証などはない。しかし、少なくとも敗戦直後に大軍を率いて駆け付ければ民衆は援軍を頼りにするだろう。
「オーガスはいるか?」
「はっ」
エリック王子は腹心のオーガスを呼んだ。
「元々、今回の策を持ってきたのはお前だったな。この状況は我々にとっていいと言えるのか?」
「いいとは言えないかもしれませんが、悪いとも言えません」
「なぜだ?」
「今回はエリック王子がルークス様を推薦したことになってます」
「それで?」
「見方を変えればエリック王子がルークス様の才能を見出だしたことになります」
「ふむ」
「それにルークス様自身は別に第一王子のバノック派ではありません。アトカーシャ家は中立です。むしろ今のうちに恩を売って我々の味方にすべきかと」
「何?」
「完全に味方になるのは難しいでしょうが、多少援助しておけば敵対するのは避けられます」
「……しかし、迂闊に援助したら学園やラファ嬢と敵対しないか?」
「……そうですな。……なら戦死者の家族と負傷兵に食糧援助を行いましょう。これを非難するようなら兵士全員を敵にまわすようなものなので大丈夫でしょうし、国王陛下も反対はしないでしょう。ローラント地方の兵はエリック王子に恩義を感じるでしょう」
「大軍を動員するつもりだったから食糧には余裕があるな。よしそれでいこう」
特にローラント地方の兵からの人気は相当なものになった。一部からは尊敬の眼差しさえ向けられている。
シドルもネイザルも防衛成功の祝福に来てくれた。
ルークスはこの戦いの最中、黒いマント、黒い鎧を身につけていたため黒将軍と呼ばれるようになっていた。
ルークス自身は黒は少し痩せて見える。というあやふやな知識で身につけていただけなのだが。
工作隊を活用し、長弓《ロングボウ》とクロスボウの両方の弓兵を活躍させ、騎兵に鐙《あぶみ》を提供したルークスはローラント地方軍に歓迎された。
そして、この戦いは当然国王に報告される。自国の戦争だから当たり前だが。
「国王陛下」
「宰相か、この報告を受けてどうする?」
「まさかルークス殿がここまで活躍されるとは……」
「それはわしも同じ気持ちだが……」
「ルークス殿の才能はまだわかりませんが、これだけの活躍をした以上他国に取られるのはまずいですな」
「取られるどころか学園追放での怨みで自分から他国に走る可能性もあるのでは?」
「今のところは大丈夫でしょう。他国に走っても軍の指揮官以上の待遇をするところはないでしょうから。ただルークス殿の気分を損ねることがあればわかりません」
「学園を追放された以上、学園に戻すことはできん」
「いっそのこと、このままローラント地方領主にしてしまっては?」
「何?」
「今現在、ローラント地方は領主がいない状況です。他の貴族達は命惜しさに嫌がっているので、ルークス殿も自分の領土となれば一生懸命に守るでしょう。今回の勝利の褒美としてはいかがですか?」
「他の貴族達は反対しないか?さすがに防衛に一度成功しただけで領主任命は」
「その者にはこう言うのです。ルークス殿は援軍もなく五千の兵で三万のゴルゴダルラ軍の撃退に成功したのですからあなたの領地が六倍の軍で攻撃された場合でも援軍は必要ないですね?と」
「なるほど、命惜しさに引っ込んでる者は反対できないな」
ルークスが防衛に成功との報告は第二王子のエリックの元にも届いた。
「なぜだ?!なぜ?こうなる!」
「あいつは学園の無能者じゃなかったのか?!」
もちろん無能者とはルークスのことである。
学園にいる時までならその評価は正しかった。
「これでは俺が国王に成れるかわからんではないか!あの無能者が失敗した後に俺が大軍を率いて恩を売る計画が、これで使えなくなってしまったではないか!」
仮に今回の計画が全てうまくいったとしても国王に成れる保証などはない。しかし、少なくとも敗戦直後に大軍を率いて駆け付ければ民衆は援軍を頼りにするだろう。
「オーガスはいるか?」
「はっ」
エリック王子は腹心のオーガスを呼んだ。
「元々、今回の策を持ってきたのはお前だったな。この状況は我々にとっていいと言えるのか?」
「いいとは言えないかもしれませんが、悪いとも言えません」
「なぜだ?」
「今回はエリック王子がルークス様を推薦したことになってます」
「それで?」
「見方を変えればエリック王子がルークス様の才能を見出だしたことになります」
「ふむ」
「それにルークス様自身は別に第一王子のバノック派ではありません。アトカーシャ家は中立です。むしろ今のうちに恩を売って我々の味方にすべきかと」
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「完全に味方になるのは難しいでしょうが、多少援助しておけば敵対するのは避けられます」
「……しかし、迂闊に援助したら学園やラファ嬢と敵対しないか?」
「……そうですな。……なら戦死者の家族と負傷兵に食糧援助を行いましょう。これを非難するようなら兵士全員を敵にまわすようなものなので大丈夫でしょうし、国王陛下も反対はしないでしょう。ローラント地方の兵はエリック王子に恩義を感じるでしょう」
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