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第3章 従魔研編

111.事態、進行中

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 ※


 先程よりも小さめの、小会議室的な部屋に、ギルマスと術士が3名、それに従魔術の被験者であるB級冒険者3名、それとゼンとザラが入り、それぞれ適当に席に着いた。

「ゼン君、ザラは……」

 この話では、席を外した方がいい、とレフライアは言いかけたのだろう。

「いえ、彼女はもう、俺の実質的な相方(パートナー)になったので、今は、やっている仕事をなるべく見せて共有したいんです」

「実質的な相方(パートナー)、というのは?」

「昨夜、婚約しました」

 それまでの、緊張し、張り詰めていた空気が一転して弛緩し、お祝いムードな雰囲気になってしまった。

 その中でカーチャだけが、強いショックを受けた顔をしている。

「それは、おめでとう。でもその……婚約は、ザラ、一人なのかしら?」

 まるで何でもお見通し、みたいな風にレフライアは笑顔で尋ねて来る。

「いえ、旅団のサリサと一緒に、です」

 こんな場所で報告する事になるとは、ゼンも思わなかった。ザラを待たせた方が良かっただろうか?なるべく知ってもらいたい、というのは本心なのだが。

「そう。じゃあ、二重におめでとう。ゴウセルの方にはまだ?」

「はい。今日、二人を連れて報告に……。こちらに招待した方がいいかな。まだ一度も中を見てもらていないし……」

「じゃあ、私の方から、ゴウセルと、貴方の屋敷の方に伝言を出しておくわ。お客2名行きます、と」

 つまり、自分も行くつもりらしい。

「ギルマス。いい加減、本題に戻した方がよいかと」

 フードを目深に被った、術士っぽい一人が言う。

 彼女は、レフライアの秘書のファナだった。この恰好には、何か意味があるのだろうか?

「ああ、そうね。ごめんなさい。話をする前に、貴方達、被験者3人に質問があります。

 上級冒険者限定の店、高級娼館ゲヘナ、高級酒場パンデモニウム、高級カジノ・コキュートス。

 この3つの店に、行った事がある者は、正直に言って欲しい。娼館がどうの、という問題ではない。これは、真剣な調査なので、正確な答えが必要なのです」

 ギルマス・レフライアの真面目な顔付で、これが冗談でも何でもないのは誰にでも分かる。

 3人の中でただ一人、男のマークが手を上げる。

「俺は、3軒とも行った事があります。ゲヘナは月一、パムは週三ぐらい、コキュは、誘われたら行くぐらいで、月に、1,2回ぐらいです」

 パンデモニウムはパム、コキュートスはコキュと略しているようだ。

「ゲヘナは、娼館としては利用が少ない気がするのだけど?」

「俺は、別に馴染みの店があるんです。ゲヘナは、リーダーが入れあげている娘がいて、それに頼まれているから、なるべく客になってくれ、と言われて仕方なく」

 次に、オルガが手を上げる。

「私は、パムに月二、コキュにも月三ぐらい?どれも、付き合い上仕方なく行ってます。余り好きじゃないんです。行った後、かすかに頭痛がする事が多くて」

 おずおずと、カーチャも手を上げ答える。

「私は、パムに月一、迷宮探索とかで、大きな成果があった時の打ち上げに使うらしくて、それで。私も、オルガさんと同様に好きではないです。頭痛もします」

「二人は、娼館とか使わないの?男娼もいる筈だけど?」

 ギルマスは必要なので、突っ込んだ話も聞く。

「エルフは、そういう欲望が薄いんです。わざわざ店で買う事はないです。普通に、何処でもその気になれば、男を引っ掛ける事ぐらい訳ないんで」

 オルガは余裕綽々に答える。

「わ、私も、一応ハーフ・エルフですので、そんなに欲は、強くないです。お店とかに行くつもりはありません。

 その3店は、上級専用をうたっているだけあって、かなり料金が割高ですから、私は、行く人の気が知れません」

 カーチャは、顔を赤らめ、何故かゼンの方を気にしながらも、はっきりとした口調で答えた。

「ふむ。私が選んだだけあって、汚染度の低い冒険者が、被験者になったみたいね。一番行ってるのはマークだけど、どう?」

 言われた術士の一人が、何か魔具らしき物を、マークに向け、ついているメーターの様なものを見る。それから、残り二人にも同様にそれを向ける。

「マークは危険域からは充分下がっています。他二人は文句なく安全域です」

「そう。やっぱり、カーチャからの報告にあった、従魔の、主人を守る自浄作用が働いてる、と見るべきね。マークは危険域でもおかしくない筈だから。

 一応、三人には治癒術をかけて」

 魔具を持っていない方の術士が、杖をかかげ、三人に向けて術を使う。

「『精神浄化(マインド・ピュアフィケイション)』

 清浄な光が、三人を優しく包みこんだ。

「三人とも、数値が下がりました」

「従魔持ちの治療は、意外と早く終わりそうね」

 レフライアは、術士達と阿吽の呼吸で打ち合わせをするが、まだ何の説明もされていない被験者の三人は、気が気ではない。

 危険だの言われ、治癒術まで使われたのだ。

 自分達が正常ではないと言われたも同然の行為に、三人の不安は限界だった。

 レフライアもそれは分かっている。これからが説明の本番なのだ。

「落ち着いて、よく聞きなさい。これは、私達フェルズの住人は、何となく、それが常識になって、当り前だと流していた事が、実は敵対勢力による工作で、そうさせられていた、という、驚くべき事実なの。

 私達がこれに気づけたのは、外から来た冒険者であるゼン君が、そこに深い疑問を持ち、上級冒険者専用の店が、それに使われているのでは、と思いついてくれたからこそ、調査が始まったのよ。

 ここの系列の店は、他にも何店かあるけど、そちらはダミーで、この3店のみで、その工作が行われていると分かったから」

「……問題の、その工作の内容は、何なのですか?」

 オルガが、問題の核心を恐る恐る問う。

「店に設置された魔具による精神操作(マインド・コントロール)。自尊心(プライド)と競争心の拡大、他人への不信。これが、本当に少しづつ、何かに影響されてだ、などと自覚出来ないぐらいにわずかな数値で上げられていたのよ。

 ギルドも、これは個性の範囲内かと見過ごしてしまっていたの。

 貴方達は、ここで、仲間達とは隔離され、ゼン君の話を聞いて、少しは疑問に思っていたのではないかしら?

 自分達が、何故にこうも競争心を煽られ、他人を信じられずに、変な自尊心(プライド)ばかりが大きく膨れ上がっていたか。そうなっていた、自分達の異常性に」

 三人は、言葉もなく、大きな衝撃を受け、うなだれていた。

 自覚が大いにあるのだ。

 最初はゼンの事を、心の中ではあざけり、表面上だけは大人しく従っているフリをしていた。

 それが、従魔を得てから、だろう。

 彼の従魔の専門知識と、冒険者としての強さや見識の深さに、素直に凄い、と思えるようになり、他の被験者の冒険者とも、従魔持ちの仲間として、いつしか仲良く言葉を交わせるようになっていた。

「あ、な、なら、従魔でこの精神操作(マインド・コントロール)から抜け出せる、治療効果があるなら、むしろ早く上級冒険者に従魔を与えるべきじゃないんですか?」

 カーチャがドモリながらも、従魔術の公開延期に疑問を投げかける。

「うん、言いたい事は分かるけど、事はそう単純じゃないの。

 まず、これだけ大掛かりな組織が、フェルズの中で活動している、という事は、恐らく冒険者の何割かも、その組織に与していると見るべき。

 その見極めと、組織の壊滅。敵を一掃しなければ、この新技術を、みすみす相手側に渡す事になりかねないのよ」

 また三人は大きな衝撃を受ける。自分達、冒険者に、敵側の者がいる、と言われたのだ。

 もしかしたら、自分のパーティーにも?

「これは、かなり長期的な展望で、静かに深く根付いている、厄介な案件なの。

 恐らく、冒険者だけじゃない、一般人の中にも、これらに協力している、“草”のような者がいると思われているの」

 “草”とは特別任務をおびた密偵の総称で、普段は、完全にその国の一般人に成りすましているが、いざ事が起きた時には、家族すら斬り捨て、自国の命令を忠実にこなす、危険な敵だ。

 大体は、自己暗示かなにかで、表面上はまったく無害の一般人を演じ、何か敵側のキーワードを聞いたり、見たりした所で暗示が解け、本来の人格に戻る。

 魔術等でも、判別は困難で、普通に暮らしている風で、どこかに連絡を取ったり、“草”同士の仲間と打ち合わせるのを見つけるぐらいしか、“草”と判断する方法がないのだ。

「今フェルズでは、大々的に、外から優秀なスカウト等の、調査専門のチームを呼びよせ、慎重に調査が進められているの。

 調査は、はっきり言って長くかかるわ。相手側に気づかれない様に、少しづつ進めないと、敵に逃げられる恐れもあるし、大々的な反攻を受けるかもしれない」

 ギルマスの目は、攻撃的に、爛々と輝いている。

 自分の統治下で、恐らくはそれよりもずっと前からなのだが、そんな怪しげな工作が、裏側で着々と進行していたのだ。

 前の、『神の信奉者』の強者襲撃よりも、もっと深刻で、根深い問題だ。

「だから、貴方達の処遇も、どうしたらいいのか、困っているのよ。

 本来は、実験が終わって、元のパーティーに戻ってもらうのが普通なんだけど、今、迂闊に従魔術の従魔を持った貴方達を自由にして、相手側に従魔術の技術が、その輪郭だけでも知られるのを避けたい。

 でも、いつまでもここにいさせるのも不自然。従魔術の実験が失敗して、従魔を他に見せない様に封印する約束で、解放するしかないのかしら……」

 また、マークが手を上げる。

「すいません、実は俺、ゼン教官の話を聞いて、上級迷宮のある他の国に行って、クランに参加したい、と思っていたのですが。仲間には置き手紙で知らせて」

「それは、悪くないはね。どこに行くつもりなの?」

 マークの意見は、ギルドにとっては渡りに船だ。

「ルエンザです。隣りの隣りの国ですが、そこのガストという街の近くに上級迷宮があるようなので、そこに行きたいと」

「ガストは丁度いいわ。そこでも従魔の実験がされている所なの。貴方同様の従魔持ちが、そこでは6人いる筈よ。こちら程順調にはいかなかったようだけど。

 貴方が、こちらの従魔研の様子を語ってくれたら、向こうの参考にもなるでしょう。

 こちらの実験が終わるまでの期間、貴方には継続治療を行い、もし足りなければ、向こうでも治療を受ける事になるかもしれないけれど、貴方自身には、それ程問題ないように見られるし、大丈夫でしょう」

 マークの先行きは、トントン拍子に決まった。

「あの……。私は、今のところを脱退して、ゼン教官のクランに参加したいのですが……」

 カーチャが、かなり意外な事を言い出した。

「ゼン君は、従魔や問題の全てを把握しているから、行く先としては申し分ないけど、まだ上級ではないのよ?一つ下の所に行くのは、気にならないのかしら?仲間は納得する?」

「ゼン教官は『流水の弟子』です。上級でも、関係なくそのパーティーに入れたら、と一応冗談でも、言う人は多いんです。仲間は、当然怒るでしょうが、そこはなんとか説得します」

「ゼン君は、それでもいい?」

「とりあえずの避難としては、受け入れても構いませんが、全てが終わった時、もう一度考え直した方がいいかも、と思います……」

 カーチャの思惑がよく分からないので、ゼンとしては、消極的な受け入れと言わざるを得ない。

「ああ、それと似た話で、ニルヴァーナが、ギルドや従魔研との連絡係、仲介役として、エリンを貴方の所に派遣したい、と言っていたのだけど」

「………はあ?よく、意味が分からないのですが」

 ゼンとしては首をかしげるしかない。

「貴方のクランは、これからギルドの公式クランとするつもりなの。クランの見本、として、みたいにね。

 だから、ギルドとの連絡を密としてもらいたいのだけど、貴方自身をこちらに頻繁に呼び寄せるのも良くないので、両方の事情を知った仲介役は、本当に欲しいのよ。

 ニルヴァーナがそれにエリンを指名したのは、彼女が優秀だから、だと思うわ」

「そんな役職、本当にいるんですか?」

 ザラの助手もそうだが、何か役立っているのか、ザラに失礼ながら、疑問に思う。

「結構役に立つと思うわよ。貴方達には、確かに助手的な役目が欲しいと、私は思っていたの。冒険者以外で、ね。給料はこちら持ちで、部屋の料金もちゃんと払うから」

 冒険者以外、と言われると、そこには説得力がある。

 自分を含め、冒険者は戦闘ばかりに特化し過ぎている傾向が、あるはある。

「そういう問題じゃ、ないんですけど……。一応、仲間と相談させて下さい。了解も取らずに、勝手な事はしたくないので。カーチャさんの事も」

「ええ、それは勿論。いずれにしろ、研究期間が終わってからの事よ」

「……そうですね。まだ1週間以上ありますから」

 嫌な予感がする。

 この流れだと、ハルアも小城に住む、とか言い出すのではないだろうか?

「で、残るオルガだけど、どうしようかしら」

「私は、普通にパーティーに戻るよ。フェルズの被験者全員が、別々になるって、何か怪しまれかねないと思う。クロマルは中から出さずにいるわ。

 それに、クロマルとの共鳴効果で、私の風の精霊魔術はわずかばかり威力が上がってるから、それが実験の成果の一部、みたいに言って、適当に納得させるよ」

 オルガは、自分の前のテーブルの上で大人しくしている黒い鷹を優しく撫でる。

「そうね。貴方の言い分には一理あるわ。全員が全員、隠すように違う所に行くのは、怪しまれる要因になりそうね」

 レフライアも、オルガの意見に賛成だった。

「ところで、フォルゲンは、実験が終わったらどうするか、聞いてますか?」

 ゼンは、被験者の最後の一人の行く末も、大いに気になった。

 帰国するなら、まったく問題ないのだが、彼までこちらに……ゼンの所に来る、と言いかねない気がしたのだ。

「確か、レグナード将軍が、即時帰国させて欲しい、と言ってたわよ。今回の不始末のせいだと思うわ」

 それなら安心だ。別にゼンは、獣人族が嫌い、とかそういうのはないが、師匠師匠、と意味不明に言うのが増えるのは、憂鬱でしかないのだ。

 被験者達との話し合いは終わり、それぞれの行く先も一応決まった。




 他がゾロゾロと、その部屋を退室する中、レフライアが手でゼンに来い来い、と手招きしているので、ゼンは仕方なく残り、ギルマスの隣りに移動する。

「何ですか?」

「そんな渋い顔しないの。別に無理難題言う訳じゃないから。

 ただ、ゼン君の住んでる“小城”が楽しみなだけ。だって、私達も住むんだもの」

「……え?クラン参加は聞いてましたけど、一緒に住むのは聞いてませんよ。

 だって、ゴウセルと結婚するんでしょ?どうするんですか?達って、まさか……」

「当然、ゴウセルも一緒に住むのよ。ただし、私は、幻影術の腕輪か何かで別人になるつもりだけど」

 ギルマスの引退自体は、まだ当分先の話だし、ゼン達のクラン予定パーティーが、全てB級に上がるのも先の話だから、クラン活動になるのもまだまだ先の話だ。

 ギルマスは、ゴウセルではない誰かと結婚退職して、フェルズからいなくなる、とする事は聞いていた。

 だから、別人としてクランに参加、というのは予想してたが、一緒に住むつもりだとは思わなかった。

「ゴウセルの屋敷はどうするんですか?商会長が、あの屋敷から出るのはおかしいんじゃないですか?」

「ゴウセルも、商会長を辞任するのよ。この頃、甥にあたる人の指導をしてたでしょ?

 商会長の地位と屋敷は、あの人に譲るの」

 確かに、ゴウセルに紹介されていたし、その存在は知っていたが、商会長を譲るつもりだなんて、ゼンはまるで聞いていなかった。

「引退して、どうするんですか?これから、ドワーフとの取引で、大々的に商会を大きくしていくのだとばかりに、俺は思ってましたよ」

「引退して、とりあえず商会の理事みたいな立場になるの。

 商会は、ほとんどゴウセルの財産だから、それを運用してもらう形になるわ。で、ゴウセルが何をするかは、まだ秘密。うまく行くか分からないから。

 でも、最終的に、私とゴウセルが城に行くのは確定ね。

 その時、料理長や使用人を一部一緒に連れて行くから、子供達の、使用人としての教育係にしたらいいんじゃないかしら?

 料理長は、まだまだ貴方達から習いたい事がたくさんあるって言っていたから、料理長待遇して欲しい訳じゃないのよ」

 料理をする人が増えるのは、確かに助かるし、現役の使用人達が、子供達を教育してくれるのも大助かりだ。

 でも、結局養父母が来て、親子で一緒に、嫁姑同居?になるとは、ゼンも予想していなかった未来だ。

 一体、この先どうなるのか、ゼンでさえ不安に思うのだった……。




*******
オマケ

エ「フフフ……。クスクス……」
ハ「何、笑ってるの?思い出し笑い?随分幸せそうだけど~」
エ「あ、いえ、別に。何もいい事があった訳じゃないのよ」
ハ「ふ~ん。つまり、何かいい事があった、と」
エ「な、なんで分かるの?!ハルア、探偵の素質もあったの?」
ハ「なんかボク、馬鹿にされてるのかな?」
カ「ハルア、あのね。ゴニョゴニョ……」
ハ「え!なにそれ!ズルい!なんで、告白も何もしてないエリンが、ゼンの所で一緒に住む事になるの!?」
エ「え、ギルドの仕事だから、仕方なくよ。私は、別に寮を出たいなんて、思ってないし、ああ面倒だわ」
ハ「浮かれた顔で言われても、何も説得力ないよ」
エ「カ、カーチャさんだって、私より凄いのよ!だって自分から、ゴニョゴニョ……」
ハ「えー!なんで!どうして!?二人とも抜け駆けだよ!」
カ「……私は、あの人に将来性があると思うから、冒険者として、一緒に活動したいだけよ……。ほ、本当よ!」
ハ「うわぁ、こっちも分かりやす過ぎて、ボクどうすりゃいいのさ……」
エ「ハルアはもう、最終日に振られる予定でしょ?」
ハ「なんで振られるの確定してるのさ!」
カ「あ、婚約者がいるからね」
エ「そうそう。私も聞いて、驚いた。一度に二人も、とか……」
ハ「初耳だよ!」
カ「あの話し合いにいなかったから、仕方ないでしょ」
エ「私は、ギルマス経由でニルヴァーナ様から聞いたの。だから、私にはよこしまな考えなんて、ないのよ」
ハ「……ふーん。二人は、それを聞いたのに、ゼンの住むところに行くんだ?」
カ「冒険者として、ね」
エ「ギルドの仕事だから」
ハ「……成程。もう納得した上で、自分達の想いは貫く、と」
カ「……」
エ「……そんな事、一言も言ってないでしょ!」
ハ「分かった。ボクも、どうすればいいか、考えるよ……」
ハルアは一心に、深く深く考えるのでした……。
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