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第3章 従魔研編

107.長い夜(後編)

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 ※


「闘技会は、色々と本当に楽しかった。

 ああいう大規模な会場での競技会、お祭り騒ぎなんて見た事もなかったし、自分が観客として、それを見る機会も当然なかった。だから、全てが新鮮だった」

 闘技会の事を語るゼンには、先程までの暗さはなかった。

 そう。闘技会の思い出は、基本、楽しい事で埋め尽くされている筈だ。女で戦士系ではないサリサにとっては、正直見ていてかなり退屈なところもあった。

 それでも、皆でそれを、ノンビリ貴賓席で見れた事など、サリサにも経験がなく全体的には楽しめたと思う。

 だから、そこでゼンの暗い怒りを生み出すような出来事があったとは、とても思えない。サリサにはまるで心当たりがない、考え付かないのだ。

 しかし、親友のアリシアは、その予想がついたと言う。

 どうも自分が舞台にいたショーの間の出来事のようで、その時、観客席で何かあったのだろうか?戻った時のゼンの様子はまるで普通で、何事かあったとは思えないのだが。

「あの、“精霊ショー”って、精霊魔術士には出来ないの?」

「あ、いえ、やろうと思えばもっと盛大に出来ると思うわ。

 でも、精霊魔術士は、大抵が、どれか属性一つ、多くても二つの特化型になるの。その力は、精霊との親密度で威力や使える術も変わってしまうから。

 それに、精霊術士は精霊を見世物にする、なんてひどい事は出来ない、やらないでしょう。やる発想すらないと思うわ。身内同士の小規模な物ならともかく」

「ひどい事、なの?精霊達も喜んでたように見えたけど」

「うん。した事は、精霊に害をなすようなものじゃなかったから、そう思うかもしれないけど、『見世物』に、と自分の利益を考えている時点で充分ひどい事なの。

 私も、あのショーのお陰で、ゼンがいない時のボス戦で、例の特別な杖を借りて戦ったりしてるし、得た利益は決してゼロじゃないから」

 もしも正体が知られていたら、このフェルズにいる精霊術士全員が、激しい抗議に来てもおかしくないくらいだ。

 結果的には、精霊王(ユグドラシス)に認められているから、そうはならないかもしれないが。

「そうか。じゃあ、あれはもう見れないんだ」

 あの精霊ショーは、凄かった。

 見た目が派手で綺麗とかではなく、それ以上に見ている観客も、精霊達も、そしてサリサと術士達も、全員が楽しそうで、その場にいる全員が熱狂して、共感して楽しく騒いだ、その一体感は、とても特別なものだった。

 その場にいた、誰もがきっと、生涯忘れられない思い出となっただろう。ゼンもその一人だ。

「うん。二度とやるつもりはないわ。でも、仲間内で軽くなら見せるわよ」

 あれは、成り行きと、ギルドの為を思っての緊急処置だ。サリサは芸人ではないし、楽しくなかった、と言ったら嘘になるが、それでもあれで終りだと思っている。

 あれ以来、サリサの周囲に、精霊が寄って来る事がよくある。あの時のショーを覚えている精霊かな、と思っていたが、実際は精霊王(ユグドラシス)の分体(影)が近くにいたせいなのだろう。

「それは、楽しみだね……。うん。前置きは、これくらいにしよう」

 ゼンは、あの時の楽しかった思い出の方で心を落ち着かせていたのだろう。

 先程までの暗さはない。

 だが、真剣で覚悟を決めた、“男”の顔をしている。

 サリサは、一瞬その顔に見惚れてしまった。

(な、何してるの?今はそんな場合じゃないんだから!)

「あの、ショーが終わった時、精霊王(ユグドラシス)が現れたね」

「う、うん。突然で、私も驚いたわ」

「俺には、“あれ”が何なのかは分からなかった。ただ、凄く力の強い、自然界そのもの見たいな、存在の次元の違う、恐ろしい何かだ、としか。

 “あれ”は、サリサと同じぐらいに綺麗で、見劣りしなかった」

 サリサは、急いでその過剰な誉め言葉を否定しようとした。

 その言葉は、サリサが基準で、まるであの麗しき精霊王(ユグドラシス)が、サリサ以下のように表現していたからだ。

 でも出来なかった。

 ゼンからまた、激しい怒りを感じたからだ。

(あの、封印を勝手に解かれた時の事を思い出して、じゃなく?)

「“あれ”はサリサに近づき、目深にかぶったローブをめくって、加護を与えた……。

 “口付け”をしたんだ!」

 センが、まるで魂から毒を吐き出すような嫌悪感とともに叫ぶ!

 いつのまにかゼンは立ち上がり、両の拳を握りしめて、怒りのあまり震えていた。

 そこから吹きあがる怒りと、暗い想念の渦で、サリサは身動きすら出来ずにいた。

「その時分かった。漠然とした、憧れと思い込もうとしていた気持ち。手の届かない星に焦がれる、名状し難い感情が、“恋”なんだと、おれはサリサが“好き”なんだと……。

 自分でも、薄々そうかもと考えていた事が、確信に変わった……。

 だけどそれは、サリサの額に“口付け”した精霊王(ユグドラシス)への、とんでもなく激しい怒りと、どす黒い憎しみ、嫉妬がとめどなく湧き出てしまったからだ!」

 サリサは、ようやくその言葉で、幼い少年が、あの時の行為に何を感じたのか、思ったのかを、本当の意味で、やっと気が付いたのだった。

「俺は、凄く汚い、醜い、汚れきっている!……自分でも知らなかった、こんなにも他の何かを、激しく呪えるなんて!醜くうらやむ事があるなんて!

 分かってる!“あれ”が美しい存在である事は!世界にとって重大な何かだって事は!

 でも、そんな事は関係ない!“あれ”は、サリサの額に……!俺は、出来る事なら、“あれ”を引き裂き、ぶん殴り、その存在をこの世から消滅させたかった!無理だと分かっているのに!自分に何の正当性の欠片もなく、そんな力なんて、微塵もないというのに……!」

 サリサは、その激しい感情の嵐に圧倒され、何も言えなかった。

 ゼンは、いつの間にか自分自身を抱きしめる様に、自分の左右の二の腕を、交錯した手の平で握りしめていたが、余りに強く握りしめている為に、そこから血がにじみ、自分で自分の腕を握り潰してしまいそうで怖かった。

「あの苦しみの時間は、俺にとっては長かったけど、実際には一瞬だったみたいで、俺は、自分の湧き出した醜悪で汚れきったその感情を、心の一番奥底に沈めていた。

 今思うと、あれは、自己保存の本能か何かで、自分にあった余りにも汚いどす黒いものから自分の心を守るために、“それを”隠して、なかった事にして、自分を誤魔化したんだと思う。

 あの時、感覚の鋭い、ラルクさんとライナーさんが、俺の方を振り向いてたけど、その時には俺は、元の俺で、サリサの加護の場面(シーン)は、光り輝く何かがあった、みたいになっていて、ポッカリとその部分の記憶が抜け落ちていた」

 ゼンはやっと、自分の握りしめて置いた手を開き、二の腕が痛む事を不思議そうに見ていた。

「でも、それはちゃんと意識してやった事じゃなかったから、修行の旅の途中の、ふとした事で、それは表面化して、思い出してしまった。

 自分の事なのに、その時、余りの自分の汚さ、醜さに吐いて、熱を出してしまった。

 でも、その頃には精神修行とかもしていたし、何とか耐える事が出来た。

 それから、師匠にお願いして、精神修行を優先してやる事にして、自己暗示とかも出来る様になったから、その忌まわしい“想い”は封印した。

 多少自己流になったから、封印した事実すら忘れてたんだ。その弊害も、多少はあったみたいだけど、それぐらいは、仕方のない事だから」

 ゼンは、椅子に座り直し、力なく笑った。

 今の告白で、全精力を使い切ってしまったかのようだ。

「聞いてて気持ちのいい話じゃなかったでしょ?

 ごめんね。俺も、中々、全部話せる勇気が持てなくて……」

「あ、い、いえ、その、私こそ、無理矢理話を聞き出そうとしてたし、ごめんなさい……」

 アリシアが、『ゼン自身から聞いた方がいい』と言っていた意味も、今はよく分かる。こんな事を、他人が無責任な想像で語っていい話ではなかった。

 予想していたよりも、ずっと重く深刻な話だった。

 なのに、サリサは口元がひくつく。ニヤけそうで、困っていた。

 それもその筈。憎からず想っていた相手が、そんなに深刻な嫉妬をする程に自分を思っていた、と聞いて嬉しくならない訳がない。

「……でも、俺はかなり馬鹿みたいだ。再会してから、サリサとは何回か話してて、迷宮で色んな話もしてたけど、俺は封印して前の想いがないのに、またサリサに惹かれてて、惚れそうになってたなんて……」

「え?え?な、なにそれ、嘘?」

「今更嘘ついてもしようがないでしょ。振られると分かっている相手に、二度惚れとか、間抜け過ぎて言葉もないよ……」

 ゼンはグッタリしながら言う。

「……ちょっと待って。なんで、“振られる”って、確定事項みたいに言ってるの?」

「??それは、俺がサリサに好かれる訳ないから。怒らせてばかりだし」

「あ、で、でもそれは、ゼンが私達の事、信頼してくれてないとか、女の子周囲にはべらせてるとかで……」

「別に、はべらせた覚えはないよ。信頼も、しているつもりで……だから、色々と頼ったりもしたんだけど……。

 ともかく、サリサは、俺に、ザラと対等になって、その想いを分かってやれとか、あの本の作者の事でも、似た様な事を言ってたでしょ?」

「だ、だからなに?」

 何か風向きが悪い方向に吹いているのを、サリサは感じる。

「自分ではない、違う女性の事を、理解してやれ、とか言って、勧めるって事は、少なくとも、自分ではない女性と付き合え、って事で、それはつまり、そういう事でしょ?」

 ゼンは今までの熱情が冷めた顔で、淡々という。

「え?いや?あれ?そうなる?ならないでしょ?」

 確かに、ゼンに言われた事を自分はしているが、それがそう解釈されるとは思わなかった。

 でも、言われてみると、そう誤解されても仕方がないような……。

「……AさんとBさんは親友です。C君はAさんが好きです。Aさんも薄々気づいてますが、ある日、BさんがC君を好きみたいなの。どう思う?とC君に聞いて来ます。

 さて、これらを踏まえると、Aさんは遠回しにC君を振っているとみるべきだと、俺は思うんだけど、違う?」

 ゼンは、従魔研の授業で癖になっている、分かりやすい例題でサリサに説明する。

「……違わない」

「ほら。だから、俺としては、うん。事実上振られているのは分かっているつもりだよ」

「なに、その理解してるよ、みたいな無理した微笑みは!」

「多少の無理は、仕方ないでしょ。失恋で傷心した相手に、余り多くを求めないで欲しい。

 俺としては、出来れば旅団に残りたいけど、無理なら、その先の事はちゃんと考えているから……。よし、一人旅の第二章を………」

 ゼン何やら不吉な話を織り交ぜ、サリサを惑わす。

「待って!待って!色々待って!意味不明な事言わないで!私達の場合は、そんなに単純な話じゃなかったでしょ?!」

「それは、そうかもしれないけど……」

「私、あんたにもう何処にも行くな、って言ったわよね?忘れたの?」

「でもそれは、あくまで冒険者の仲間としてで、恋愛事が絡むと、話は別でしょ?

 男女の友情は存在しないとかって、誰かから聞いたし……」

「~~~!もう!誰なの、こいつにいらん知恵つけさせてるのは!ともかく、一時停止!」

 サリサは、とにもかくにもゼンの勝手に暴走して進めている“振られ話”を止める。

「あ、はい。うん……」

「私だって、こんなのは初めてで、色々混乱してたし、シアはやたら変な事言って、煽って来るし、困ってたの!」

「うん?よく分からないけど、うん」

 ゼンはまるで分かっていないので、ともかく相槌だけ打っている。

「あんたはちゃんと言ってくれたし……いえ、あんなのは、ちゃんとしてないわ!

 ゼンは、私の事どう想っているの?これから先どうしたいの?」

 唐突にアリサは前にした問答と同じような質問をして来る。

「うわ、またこのパターン?あの縄といい、サリサは俺に拷問でもしたいの?」

「拷問言うなぁーっ!!!あれはシアの趣味よ!!

 今から、これまでの事、全部なしで、告白!」

「無茶いうなぁ……。もう聞いたでしょ。俺の、汚く醜い話。俺には、そんな資格すら……」

「あんたは、世間知らずだから知らないの?世界中まわったのに、修行ばっかの剣術馬鹿になってない?

 まず言っておくけど、私は夜空の星でも女神でもなんでもない、この地上にちゃんといる、ド平民、時々狩人している、農民の父と母から生まれた、極普通のありふれた女の子なの!

 魔術が得意なのだって、やたらとガリ勉して、努力して築き上げたものです!

 それと、嫉妬で醜い感情なんて、女性の方がもっと凄いの!実際、恋敵を凄い毒で殺したり、好きな相手と無理心中したり、修羅場な話なんて、世界中ごまんとあるわ!

 いい!嫉妬なんて、人を好きになったら当り前なの!その好きが大きい分、嫉妬も大きくなるの!あんたの周囲の子の、怒り、焼餅を、あんたなら感じているでしょ!」

「あ、うん。それは、まあ。封印なくなったから、その意味もなんとなくは……」

「今は、あんたに特定の相手がいないから、それは普通の怒りや妬み程度で済んでるかもしれないけれど、あんたに特定の、恋人とか出来たら、あの子達の嫉妬も、もっと凄い事になる!

 でもそれは仕方ないの!人を好きになるって、そういう事なんだから!」

「そう……なの?」

 自分のような汚い感情が、彼女達にも生まれるとか、とても信じられない。

「そうなの!あんた、女の子に夢見過ぎ!現実の女なんて、怖いのばっかりなんだから!

 それに、その怒りや嫉妬なんて、成就したらなくなるものなの!

 はい、『告白』!」

 ゼンは、これも通過儀礼の一種なのだろう、ともう諦め半分、サリサの提案に乗ることにした。

 こうしてちゃんと振られれば、諦めもつくだろう。そういう機会を与えてくれたのだ、と。

「…………俺は、サリサが好きだ。全部好きで、嫌いな所なんてもうない。誰にも、渡したくないと思っている。昔も今も、これからも」

 熱烈で直球(ストレート)で、これ以上ないくらいに想いの込められた告白だ。

 サリサは、正直ひるんだが、自分も負けていられない、と自分を鼓舞して挑む。

「……私は、人を好きになった事なんてないの。だから、ずっとこの胸のモヤモヤが何か分からなかった。

 いえ、分かろうとしなかった。シアが横でゴチャゴチャ言ってたけど、この気持ちが“何か”である、と確定してしまったら、私が築き上げて来た、今までの自分が根底から崩れてしまいそうな気がして、怖くて中々認められなかったの。

 だから、色々と、あんたから見たら、チグハグな行動してるように見えたかもしれないけれど、うん。ゼンがちゃんと言ってくれたから、私も言える」

 サリサは、ゼンの目をまっすぐ見据えて言った。

「私も、ゼンが好きよ。あ、愛してる……、と思う。

 私の好きは、再会して、色々あってからだから、その……あんたより弱い?うううん、違う。こいういうのは、年月だけじゃないと思うから、私も負けずに、あんたが好き!

 仲間としてじゃなく、もうずっと、私の傍から離れていかないで欲しい。絶対よ!」

 サリサの渾身の告白で、時が止まった。

 ゼンからの反応がないのだ。

「……?ちょっと、何か言いなさいよ!女の子にここまで言わせておいて、無反応ってどういう仕打ち?」

「え、あ、うん、分かった。これ、夢だ。俺、あんまり自分に都合のいい夢って、見れた事がないんだけど、そうか、これがそうなんだ」

 フラリと椅子から立ち上がり、こちらに歩み寄るゼンを、サリサは溜息をつき迎え打つ。

 近づけて来た顔に平手打ちの強打。

「いったーっ!常時身体強化してるの?叩いた手の方が痛い」

「……え”?」

「魔力込めたから、少しは痛かった?夢から覚めた?」

 サリサは呆れた顔で、両想いになった筈の相手を見る。

「あ、俺、“気”の膜で、身体を包んでるから。でも、確かに響いた。

 ……これ、本当に夢じゃないの?」

「ええ。残念ながら、夢じゃないわよ。感想は?」

「……サリサ、俺なんかを、本当に好きなの?」

「そうよ。なんでかしらね。いつのまにかそうなってたの。

 それより、『なんか』とか言わないで。ゼンの卑下する所は、あんまり好きじゃないわ」

「俺は、サリサの自信満々な所とか好きだよ」

「……結構虚勢をはってるの。戦いで、弱気を見せても仕方ないでしょ。ふぎゃ!」

 急にゼンが抱き着いて来たので、サリサは驚いて変な声を上げた。

「……暖かい。ちゃんと体温感じる。本物だ」

「だからさっきからそう言ってるでしょ。急にそういう事しないで……」

「なんか甘い香りがする。お風呂入った?」

「入ったわよ。あの髪を洗う薬液?の匂いかしらね」

「そうかな。俺はあれに、そんな匂い感じなかった。だから、これはサリサの香りかも」

「~~~!女の子の香りとかかがないでよ!」

「でも、いい香りだし」

「そういう問題じゃないの!」

 サリサを抱きしめているゼンの腕は、決して太いものではないのに、力が強く、サリサは身動きも出来ない。

「ゼン、ちょっと腕緩めて。痛いから」

「あ、うん。ごめん」

 ゼンは一旦身体を離して、改めてサリサを見る。

 火照った顔。うるんだ瞳。つややかな黒髪は、いつも通りに長く、とても綺麗だ。

「手、届いてるでしょ?」

 サリサは挑発的に笑っている。

「そう、だね。伸ばせば届く」

 ゼンは手をそっと伸ばして、サリサの黒髪に恐る恐る触れる。

「なんで、そんなにそっと?」

 サリサは髪に神経でもあるのか、ゼンが髪をそっと撫でるのに合わせてクスクス笑っている。

「いや、触れる前に消えてしまうかと思って……」

「幻でも夢でもないから。私はちゃんとここにいるわ」

 ゼンは、サリサの両肩に手をやって、今度はそっと抱き寄せる。

「……心臓の鼓動を感じる」

「ゼンのも分かる。凄く早い……」

 また身体を離した二人は、見つめ合ってから、吸い込まれる様に唇と唇を重ね合わせていた。

 ……どれぐらいそうしていただろうか。

 サリサの身体からは力が抜け、ゼンはその身体を、そのままベッドに横たえ、覆いかぶさって行った……。


 

*******
オマケ

ミ「…………」
リ「先輩、どうかしましたか?」
ミ「何か、激しく嫌な予感がするですの」
リ「先輩もですか。私も、何か悪寒がします」
ミ「ご主人様の身になにか、ですの?」
リ「……そうなのかもしれませんね」

ゾ「~~~♪」
セ「……」
ボ(ニコニコ)
ガ「無言」
ル「Zzzzzzzz~~ぉ?」

(静かな夜です)
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