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さあ行くわよ
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「さくら寝たね。今夜は行くでしょ?おねえちゃん」
「そうね。本当に寝たか確かめてくるからいちごは先に行っちゃだめよ」
ざくろと名付けられた白猫はドアの隙間からそろりと主人が横たわるベッドに忍び寄る。
寝室とリビングを分けるドアは猫が通れるようにわざわざ少し開けてあるのだ。
ベッドにストンと飛び乗り、仰向けに寝るさくらの胸の谷間に座る。前足で踏み踏みしてみる。閉じられた瞳を縁どる長いまつ毛が少し揺れているのを見ると体の奥から沸き起こる衝動を抑えられずチョイチョイッと前足を出してしまった。
「いたっ・・ん・・・んん・・ざくろ・・ちょ・・とそこから下りて・・」
ざくろがちらりといちごに目をやると金色に光る瞳には非難の色が浮かんでいる。
ざくろを抱きよせると主人はむくりと半身を起こし、そっとベッドから降ろした。
「おねえちゃん!バカなの?」
「し、しかたがなかったのよ。揺れるものを見ると勝手に手がでちゃうのよ!」
「どうしたの?いちごもざくろもこんな時間に珍しくにゃあにゃあ鳴いて。お腹すいた?」
ベッドから降りたさくらはキッチンのちゅーるを入れてある引き出しを開けた。
「んにゃあああ!!!にゃあにゃあにゃあ」
「やっぱりお腹すいてたのね。はい一本ずつ。これでちゃんとねんねしようね」
あくびをしながら再びベッドに潜り込んださくらがすぐに寝息を立て始めたことを確認したざくろは言った。
「さあ、いちご!行くわよ!」
ざくろの目がルビー色に光った。
「そうね。本当に寝たか確かめてくるからいちごは先に行っちゃだめよ」
ざくろと名付けられた白猫はドアの隙間からそろりと主人が横たわるベッドに忍び寄る。
寝室とリビングを分けるドアは猫が通れるようにわざわざ少し開けてあるのだ。
ベッドにストンと飛び乗り、仰向けに寝るさくらの胸の谷間に座る。前足で踏み踏みしてみる。閉じられた瞳を縁どる長いまつ毛が少し揺れているのを見ると体の奥から沸き起こる衝動を抑えられずチョイチョイッと前足を出してしまった。
「いたっ・・ん・・・んん・・ざくろ・・ちょ・・とそこから下りて・・」
ざくろがちらりといちごに目をやると金色に光る瞳には非難の色が浮かんでいる。
ざくろを抱きよせると主人はむくりと半身を起こし、そっとベッドから降ろした。
「おねえちゃん!バカなの?」
「し、しかたがなかったのよ。揺れるものを見ると勝手に手がでちゃうのよ!」
「どうしたの?いちごもざくろもこんな時間に珍しくにゃあにゃあ鳴いて。お腹すいた?」
ベッドから降りたさくらはキッチンのちゅーるを入れてある引き出しを開けた。
「んにゃあああ!!!にゃあにゃあにゃあ」
「やっぱりお腹すいてたのね。はい一本ずつ。これでちゃんとねんねしようね」
あくびをしながら再びベッドに潜り込んださくらがすぐに寝息を立て始めたことを確認したざくろは言った。
「さあ、いちご!行くわよ!」
ざくろの目がルビー色に光った。
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