57 / 138
学園 高等部1年 対抗戦編
51
しおりを挟む
「うぅん……あれ?」
クーリアが目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。
(どこ?ここ…それよりなんで…)
クーリアがベットから体を起こして、何があったのか記憶を整理していると、ガチャとドアが開く音がした。
「クー!起きたのね!」
クーリアの元へと赤い髪をなびかせて駆け寄ってきたのは、サラだった。心做しかその目は少し赤く腫れていた。
「サラ?どうして…」
「覚えてない?あ、いや、思い出さなくていいわ。とりあえず今は休みなさい。疲れてるはずだから。直ぐにクーのお母さん呼んでくるわね」
早口でサラが一気に言い切る。そしてそのままクーリアの質問には答えることなく部屋を出ていってしまった。
「一体なにが…」
「クゥーン?」
突然鳴き声が聞こえ、クーリアが聞こえた方へと目線を向ける。そこには、クーリアのベットに前足をかけるリーヴォの姿があった。
「リーヴォ?」
「アゥ!」
クーリアが名を呼ぶと、ジャンプしてクーリアへと擦り寄ってきた。
「ふふ。くすぐったいよ」
嬉しそうに擦り寄ってくるリーヴォの毛並みを撫でる。すると、何があったのかを徐々に思い出してきた。しかし、リーヴォが拘束具を外した後の記憶がないことに気付く。
「なんでだろう…」
だが、ここに寝かされているということは自分が倒れていたということだろうと考え、記憶が無いのはそこで気絶したからだと結論付けた。
そしてその考えは一部合っていた。実際気絶したのだから。
……ただ、それは拘束具が外れてしばらく経ってからの話だったが。
「クー!!」
記憶の大体の整理が終わったタイミングで、次に部屋へと駆け込んできたのはフィーリヤだった。
「わっ!マ、ママ?」
「良かった。ほんとに良かった…」
泣きながらクーリアの体を抱きしめる。クーリアは何故泣いているのかを理解していたため、フィーリヤを抱きしめ返した。
「大丈夫?体調は?どこも怪我してない?」
ぺたぺたとクーリアの体を触る。
「大丈夫だって」
だが、フィーリヤはまだ信用できないのか体を触り続ける。
「……これ」
するとフィーリヤが、クーリアの手首に目をとめた。その細い手首には、拘束具がつけられていたためか、すこし赤い跡がついてしまっていた。
「大丈夫だよ、これくらい」
「……なんで……あなたがなんでいつも……」
「ママ」
クーリアがフィーリヤの言葉を止める。
「わたしは大丈夫だから。ね?」
「……ごめんなさい。そうね、わたしがうじうじしても仕方ないわね」
顔を上げたフィーリヤの目元は、赤く腫れていた。おそらく今だけでなく、ずっと泣いていたのだろう。
「とりあえずまだ今は寝て、休みなさい」
フィーリヤがクーリアの頭を撫でる。
「うん…」
「起きたら、その子のこと、聞かせてね」
クーリアはまだリーヴォについてフィーリヤに話していなかった。なぜなら、誘拐されなければ学園の後に話そうと思っていたからだ。
「おやすみ」
「……おやすみなさい」
クーリアはフィーリヤに撫でられ、その気持ちよさから、すぐに意識を手放した。
クーリアが目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った。
(どこ?ここ…それよりなんで…)
クーリアがベットから体を起こして、何があったのか記憶を整理していると、ガチャとドアが開く音がした。
「クー!起きたのね!」
クーリアの元へと赤い髪をなびかせて駆け寄ってきたのは、サラだった。心做しかその目は少し赤く腫れていた。
「サラ?どうして…」
「覚えてない?あ、いや、思い出さなくていいわ。とりあえず今は休みなさい。疲れてるはずだから。直ぐにクーのお母さん呼んでくるわね」
早口でサラが一気に言い切る。そしてそのままクーリアの質問には答えることなく部屋を出ていってしまった。
「一体なにが…」
「クゥーン?」
突然鳴き声が聞こえ、クーリアが聞こえた方へと目線を向ける。そこには、クーリアのベットに前足をかけるリーヴォの姿があった。
「リーヴォ?」
「アゥ!」
クーリアが名を呼ぶと、ジャンプしてクーリアへと擦り寄ってきた。
「ふふ。くすぐったいよ」
嬉しそうに擦り寄ってくるリーヴォの毛並みを撫でる。すると、何があったのかを徐々に思い出してきた。しかし、リーヴォが拘束具を外した後の記憶がないことに気付く。
「なんでだろう…」
だが、ここに寝かされているということは自分が倒れていたということだろうと考え、記憶が無いのはそこで気絶したからだと結論付けた。
そしてその考えは一部合っていた。実際気絶したのだから。
……ただ、それは拘束具が外れてしばらく経ってからの話だったが。
「クー!!」
記憶の大体の整理が終わったタイミングで、次に部屋へと駆け込んできたのはフィーリヤだった。
「わっ!マ、ママ?」
「良かった。ほんとに良かった…」
泣きながらクーリアの体を抱きしめる。クーリアは何故泣いているのかを理解していたため、フィーリヤを抱きしめ返した。
「大丈夫?体調は?どこも怪我してない?」
ぺたぺたとクーリアの体を触る。
「大丈夫だって」
だが、フィーリヤはまだ信用できないのか体を触り続ける。
「……これ」
するとフィーリヤが、クーリアの手首に目をとめた。その細い手首には、拘束具がつけられていたためか、すこし赤い跡がついてしまっていた。
「大丈夫だよ、これくらい」
「……なんで……あなたがなんでいつも……」
「ママ」
クーリアがフィーリヤの言葉を止める。
「わたしは大丈夫だから。ね?」
「……ごめんなさい。そうね、わたしがうじうじしても仕方ないわね」
顔を上げたフィーリヤの目元は、赤く腫れていた。おそらく今だけでなく、ずっと泣いていたのだろう。
「とりあえずまだ今は寝て、休みなさい」
フィーリヤがクーリアの頭を撫でる。
「うん…」
「起きたら、その子のこと、聞かせてね」
クーリアはまだリーヴォについてフィーリヤに話していなかった。なぜなら、誘拐されなければ学園の後に話そうと思っていたからだ。
「おやすみ」
「……おやすみなさい」
クーリアはフィーリヤに撫でられ、その気持ちよさから、すぐに意識を手放した。
0
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説
とんでもないモノを招いてしまった~聖女は召喚した世界で遊ぶ~
こもろう
ファンタジー
ストルト王国が国内に発生する瘴気を浄化させるために異世界から聖女を召喚した。
召喚されたのは二人の少女。一人は朗らかな美少女。もう一人は陰気な不細工少女。
美少女にのみ浄化の力があったため、不細工な方の少女は王宮から追い出してしまう。
そして美少女を懐柔しようとするが……
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる