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学園 高等部1年 対抗戦編

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 模擬戦を終え、クーリア達は汗を流すためお風呂に入っていた。

「ほんとどうして勝てないのよぉ…」
「サラだって頑張ってるよ。2属性の並列なんてできるようになってるし」
「それでも勝てなかったもん…」

 そんな落ち込むサラの様子を見て、クーリアがくすくすと笑い出した。

「なんで笑うの?!」
「ごめんごめん。だってサラが可愛かったから」

 そう言われて、サラの顔が赤く火照った。

「…クーの意地悪」
「なんでそうなるの!?」

 騒がしくなりつつも、お風呂から出るときには、サラの顔に笑顔が戻っていた。


「あ、そうだ。クー、ちょっと言わないといけないことがあるんだけど…」
「なぁに?」
「…お父様が帰ってくるって」

 その言葉を聞いた瞬間、クーリアの顔から表情が抜け落ちた。

「帰る」
「いやだから待って!?ちゃんと仲直りしよ!?」
「いーやー!帰る!」

 サラがクーリアの腕を掴み、逃がすまいとする。

「そこまで嫌うことないでしょう!?って言われただけ……あ」

 サラが手で口を押さえた。
 ……そう。いまでもそれをクーリアは根に持っているのだ。何気なく言った「小さい」という言葉を…

「………」
「ご、ごめん…で、でも、お父様に悪気は無かったんだよ?」
「………分かってる」

 クーリアも分かっているのだ。だが、ここまで来てしまい、許す機会を失ってしまっていたのだ。

「じゃあ…」
「…うん。会うよ」

 その言葉を聞き、サラが隠れてガッツポーズをした。まだ会うと言っただけなのに、気が早い。





「ここよ。大丈夫?」

 サラがある部屋の扉の前で立ち止まる。

「大丈夫…うん」

 まるで自分に言い聞かせるように呟いた。
 そしてサラが扉を開き───





「すいませんでした!」
「すまなかった!」

 お互いの声が重なった。もちろんその声はクーリアと……サラの父親の声だ。
 2人して同時に謝り、頭を下げていた。

「………」

 しばらく沈黙が訪れる。
 その沈黙を破ったのは……クーリアだった。

「すいませんでした…いつまでも避けて…」
「いやいいのだ。こちらに非があったのだから…」

 そしてまたしても2人して頭を下げる。これではいつまでも進みそうにない。

「はいはい。じゃあこれで仲直りはおしまい」

 その様子をみかねて、サラがパンパンと手を叩き、いつまでも続きそうな謝り合いを終了させた。

「クー、もういいでしょ?」
「うん……」

 もとより怒る気持ちなどとうの昔に無くなっていた。今ではそんなことに怒った恥ずかしさがあるだけだ。

「…世間話でも、しないか?」
「…はい。喜んで」
 
 クーリアがサラの父親の顔をみて、笑みを浮かべながら答えた。
 それを見てサラは安堵していた……が、

「ほう。サラがそんなことを…」
「はい。それに私の悪口を言っていた男子を蹴り飛ばしたり…」
「もうやめてぇーーー!!」

 クーリアに、色々と父親に隠していたこと、またはクーリアにバレていないと思っていたことが、実は気づかれていたことなどを暴露され 、サラは羞恥心で燃え尽きたのだった…。


 
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