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最終章 決戦

第146話 新たなる敵

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 開けた穴から抜け、もう1つのダンジョンへと降り立つ。

「…ひとまず見てみよう」

 本来ならば気配察知は敵の種類も分かるのだが、このダンジョン、何故か分からない。まぁ、そもそも敵が未知の存在過ぎるからかもしれないけれど。

 とりあえず気配察知を頼りに進む。すると、ズズズ…と地面を引きずる音が聞こえ始めた。

「…明らか違う」

 パラサイ・カラモスは足(触手)で歩いているから、こんな音は響かない。
 幸い一体だけで行動している反応を見つけたので、角から覗き見る。

「………虫?」

 見えたのは、少し黒ずんた白の胴体。まるで……そう、芋虫みたいな。
 ひとまず鑑定っ!

 ウッドワーム:木を主食とする虫型魔物。強力な溶解液を口から噴射し、攻撃する。

 ……うん?普通?

「いや普通な訳ないでしょ」

 思わず自分に突っ込む。ただでさえこのダンジョンが普通じゃないもん。出でくる魔物も、普通なわけが無い。

「……正攻法は、恐らく聖火で燃やすことなんだろうなぁ」

 少し黒ずんた体が本来の色ではないのなら、あの虫…ウッドワームもアレに侵されたのだろう。ならば、聖火でなければ倒せなそうだ。

 とりあえず動きを見たいので角から出る。あちらは後ろを向いていたので、コチラには気付いていない。
 牽制として氷の矢を打ち出す。しかし、氷の矢は柔らかい体の弾力に弾かれてしまった。ま、まさか弾かれるとは……けれど元より牽制の為で倒すつもりがなかったので、別にいいかと思い直す。ウッドワームは氷の矢が当たった事で、やっとこちらの存在に気付いたようだ。
 振り向いたウッドワームの顔には目のようなものは見当たらず、大きな丸い口が正面にあるだけだった。見えてる?それ。

 ギシャァァァァ!!

「うわっ!?」

 いきなり金切り声を上げたかと思うと、口から黄色い液体を吐き出した。咄嗟に転がって交わすと、地面へと落ちた黄色い液体がジュワァァァと白い煙を上げる。こわっ!?

「…説明にあった溶解液ってこれか!?」

 続けざまに溶解液を吐き出してくる為、いちいち驚く暇もなかった。
 幸いと言っていいのか、動きは遅い。溶解液をかわしながら一気に近付き、上から翡翠を突き刺して口を地面に縫い付ける。

「…キモチワルイ」

 口を地面に縫い付けてもなお、逃れようとうねうねと体を動かしてくる。さっさと目の前から消したいので聖火を燃え上がらせた。

 ギシャァァァァ!!

 燃やされる苦痛からか、一段と高い鳴き声を上げて暴れだす。けれど、翡翠は抜かない。すると次第に動きが鈍くなっていき……とうとう、動かなくなった。それを確認し、翡翠を抜く。

「…うぇ。気持ち悪かった」
『……そう思ってるのに私突き刺したんだね』

 拗ねたような声で翡翠がそう言う。いや、それ以外に方法無いじゃない?あなた武器なんだし。

『…まぁ、そうなんだけどぉ』
「なによ?」
『…洗って?』

 確かに翡翠の刀身には先程のウッドワームの体液と思しき液体が付着していた。聖火で燃えなかったようだ。私もこのままでは嫌なので、翡翠の要望通り水を魔法で出し、丁寧に洗い流した。

「…でも翡翠。まだまだいるからよろしくね」

 そう。洗ったはいいが、まだまだウッドワームの反応は残っているのだ。

『…後で研ぎを要求』
「はいはい」

 翡翠自体は神器なので刃を研ぐという作業は本来必要ない。自動で修復されるからね。けれど、どうやら研ぐという行為は翡翠にとって気持ちいいらしい。例えるなら…頭を撫でられる感じ?なので時たま研ぎを要求されることがあったり。

 翡翠の要望を聞きつつ、気配察知を展開。
 ……なんか、増えてない?先程よりも明らかに反応する数が増えている気が…

「……気の所為じゃないっぽい」

 いきなり現れた反応が2つほど。さらにポツポツとバラバラの場所から現れていく。
 ……いや、無理ゲーじゃないか?これ。無限に増えていく敵を倒すって…

『何か理由があるんじゃない?いくらここが歪んだ場所だったとしても、何も無い場所から無限に湧き続けることはないと思うし』
「……そう、だね」

 一般的にダンジョンの魔物は無限に湧くけれど、そもそもここまでの速さで増えはしない。なら、この世界樹のダンジョンの仕組みに干渉しているがあるはず。

「ひとまず、増えてる場所に向かってみよっか」
『うん』








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