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第6章 王都編
第136話 魅了はお断り!
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とりあえずズリズリと男を引きずり、木に括り付ける。念の為もう一度身体検査……うん、自爆の魔道具はあれだけみたいだね。
「ねぇ、フィリア?」
「…やらないよ」
「……楽よ?」
マリアが言っているのは……魅了のことだ。確かにそっちの方が手っ取り早く自供させられそうなんだけどさぁ…いい歳したオッサンと目を合わせ続けるって、どんな拷問よ!
「まぁ確かに気持ちは分かるけどね…」
「………」
そ、そんな困ったような顔してもやらないんだからねっ!
「う、うぅ…」
しばらくすると男がうめき声をあげながら目を覚ました。
「なっ…!お、お前たちはなんだっ!」
「うーん…ハンターかな」
「そこはそんな真面目に答えなくていいわよ……」
え、聞かれたから答えたんだけど。
「お、お前は…」
男がマリアを見て目を見開く。あぁ…確かに有名だものね。
「さて。ここで一体何をしようとしていたのか、洗いざらい吐いて貰いましょうか」
「だ、誰が話すかっ!せ、せ聖女のお前に!」
まぁ、そうなるよね。
今までのローブ男たちの行動から言って、多分スタンピードを引き起こそうとしていたのだろうというのは、予想がつく。でも、たった1人だけというのはどうもおかしい。
なぜなら、前に村で見た時は魔法陣を数人が囲むようにしてスタンピードを引き起こしていたからだ。校外学習の時も同じ感じだったし。まぁ、数年前の話だから、魔物の召喚方法が変わっていても不思議はないんだけど。
……いや待てよ。気配察知じゃなくて、世界地図と鑑定を併用した『サーチ』を使えば……
「……いた」
なるほどね。確かに気配察知では分からないや、これは。
「ねぇねぇ」
「どうしたの?」
「他にいた」
「……え、どこに?」
「あっち側だけど……話は聞けないね」
「……なるほど。生き残りはこれだけなのね」
そう。他にも5人ほど居たようなんだけど……もうすでに事切れていた。だから気配察知では見つからなかった。あれは生きてないと反応しないからね。
1人だけではなかったんだけれど、結局話を聞けるのはこの男だけだね。
「う、嘘だっ!」
「信じなくてもいいわ。で、話す気にはなった?」
「だっ、誰が…」
モゾモゾと身動ぎする男。
「これ探してる?」
「なっ…!」
やっぱり探していたのは、自爆の魔道具だった。今までもそうだったけど、こいつらは絶対こういう道具を使う覚悟があるみたいだ。じゃなかったら、探そうとなんてしないだろうしね。
「まぁ、話さなくても大方予想つくけどね。多分、スタンピードを起こして王都を襲おうとしていたんじゃない?」
「な、何故それを…」
「あら、図星ね」
やっぱりそうだったんだね。エルザからの事前連絡がなかったから、今回は気付けてよかった。
ーごめんね…色々と仕事があってー
いいよ別に。こいつらのせいで、エルザが忙しくなってるのは分かるから。
ーほんとごめん…ー
「とりあえずこれを付けておこうかしら」
収納からマリアが奴隷の首輪を取り出し、男にはめた。一応読心眼を使って情報を得ようとしてみたけど、なぜか上手く見えなかった。多分前に言っていた呪いの効果で、妨害みたいなのがあるんだろう。
「さて。私はこいつをリーナのところへ連れていくけど、フィリアはどうする?」
「……ひとまずここの整理とかしてから戻るよ。ギルドで達成報告もしなくちゃだし」
「分かったわ。じゃあね」
男と共にマリアの姿が掻き消える。リーナの家に直接転移したんだろう。
「さぁってと…いるよね」
『もっちろん!』
ひょっこりと、可愛らしい女の子が森の奥から現れた。ドライアドだ。さっきから見られてる気がしてたんだよ…
「ごめんね、壊して。すぐ治すから」
『それは有難いんだけど、ひとつ頼まれてくれないかな?』
「どうしたの?」
ドライアドが人間に頼み事をするなんて珍しい。ドライアドのほうが圧倒的に力を持つからね。頼む必要が無い。
『そもそもあなたを人間と呼んでいいのか…』
「ん?」
『ううん、なんでもない。とりあえずこっちに来てくれる?』
「…どれくらいかかる?」
『うーん…どれくらいか分からないけど、時間無い?』
「そういう訳では無いんだけど……ここの片付けが」
『あぁ…多分日暮れまでには終わるから、大丈夫だと思うよ。後で私も手伝うから』
「あ、ほんとに?じゃあいく」
『ありがとう、こっちね』
そう言って森の奥へと進んでいくドライアド。私は黙ってその後ろをついて行った。
ーーーーーーー
「ふぅ…」
リーナの家へと転移した。ここにくるのも久しぶりな気がするわ。前に来た時はそんなに余裕がなかったからかしらね。
「あら、マリアじゃない。どうしたの?」
直ぐに家…いや、屋敷からリーナが出てきた。
「ちょっとこれを見つけたのよ」
こちらに来る前に気絶させておいた男を突き出す。
「この男…もしかして」
「ええ。ちょっと騒ぎを起こそうとしててね。まぁ、事前に防げたけれど」
「そうだったの。そのことについて詳しく話を聞きたいけれど、まずはこいつからかしら」
「ええ。前に家に襲撃に来た奴らよりも話が聞けるかもしれないからね」
フィリアの魅了を使えば早い気もするけれど、無理にやらせたくは無いもの。昔ながらの、尋問でお話しましょうかしらね。
「ねぇ、フィリア?」
「…やらないよ」
「……楽よ?」
マリアが言っているのは……魅了のことだ。確かにそっちの方が手っ取り早く自供させられそうなんだけどさぁ…いい歳したオッサンと目を合わせ続けるって、どんな拷問よ!
「まぁ確かに気持ちは分かるけどね…」
「………」
そ、そんな困ったような顔してもやらないんだからねっ!
「う、うぅ…」
しばらくすると男がうめき声をあげながら目を覚ました。
「なっ…!お、お前たちはなんだっ!」
「うーん…ハンターかな」
「そこはそんな真面目に答えなくていいわよ……」
え、聞かれたから答えたんだけど。
「お、お前は…」
男がマリアを見て目を見開く。あぁ…確かに有名だものね。
「さて。ここで一体何をしようとしていたのか、洗いざらい吐いて貰いましょうか」
「だ、誰が話すかっ!せ、せ聖女のお前に!」
まぁ、そうなるよね。
今までのローブ男たちの行動から言って、多分スタンピードを引き起こそうとしていたのだろうというのは、予想がつく。でも、たった1人だけというのはどうもおかしい。
なぜなら、前に村で見た時は魔法陣を数人が囲むようにしてスタンピードを引き起こしていたからだ。校外学習の時も同じ感じだったし。まぁ、数年前の話だから、魔物の召喚方法が変わっていても不思議はないんだけど。
……いや待てよ。気配察知じゃなくて、世界地図と鑑定を併用した『サーチ』を使えば……
「……いた」
なるほどね。確かに気配察知では分からないや、これは。
「ねぇねぇ」
「どうしたの?」
「他にいた」
「……え、どこに?」
「あっち側だけど……話は聞けないね」
「……なるほど。生き残りはこれだけなのね」
そう。他にも5人ほど居たようなんだけど……もうすでに事切れていた。だから気配察知では見つからなかった。あれは生きてないと反応しないからね。
1人だけではなかったんだけれど、結局話を聞けるのはこの男だけだね。
「う、嘘だっ!」
「信じなくてもいいわ。で、話す気にはなった?」
「だっ、誰が…」
モゾモゾと身動ぎする男。
「これ探してる?」
「なっ…!」
やっぱり探していたのは、自爆の魔道具だった。今までもそうだったけど、こいつらは絶対こういう道具を使う覚悟があるみたいだ。じゃなかったら、探そうとなんてしないだろうしね。
「まぁ、話さなくても大方予想つくけどね。多分、スタンピードを起こして王都を襲おうとしていたんじゃない?」
「な、何故それを…」
「あら、図星ね」
やっぱりそうだったんだね。エルザからの事前連絡がなかったから、今回は気付けてよかった。
ーごめんね…色々と仕事があってー
いいよ別に。こいつらのせいで、エルザが忙しくなってるのは分かるから。
ーほんとごめん…ー
「とりあえずこれを付けておこうかしら」
収納からマリアが奴隷の首輪を取り出し、男にはめた。一応読心眼を使って情報を得ようとしてみたけど、なぜか上手く見えなかった。多分前に言っていた呪いの効果で、妨害みたいなのがあるんだろう。
「さて。私はこいつをリーナのところへ連れていくけど、フィリアはどうする?」
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「分かったわ。じゃあね」
男と共にマリアの姿が掻き消える。リーナの家に直接転移したんだろう。
「さぁってと…いるよね」
『もっちろん!』
ひょっこりと、可愛らしい女の子が森の奥から現れた。ドライアドだ。さっきから見られてる気がしてたんだよ…
「ごめんね、壊して。すぐ治すから」
『それは有難いんだけど、ひとつ頼まれてくれないかな?』
「どうしたの?」
ドライアドが人間に頼み事をするなんて珍しい。ドライアドのほうが圧倒的に力を持つからね。頼む必要が無い。
『そもそもあなたを人間と呼んでいいのか…』
「ん?」
『ううん、なんでもない。とりあえずこっちに来てくれる?』
「…どれくらいかかる?」
『うーん…どれくらいか分からないけど、時間無い?』
「そういう訳では無いんだけど……ここの片付けが」
『あぁ…多分日暮れまでには終わるから、大丈夫だと思うよ。後で私も手伝うから』
「あ、ほんとに?じゃあいく」
『ありがとう、こっちね』
そう言って森の奥へと進んでいくドライアド。私は黙ってその後ろをついて行った。
ーーーーーーー
「ふぅ…」
リーナの家へと転移した。ここにくるのも久しぶりな気がするわ。前に来た時はそんなに余裕がなかったからかしらね。
「あら、マリアじゃない。どうしたの?」
直ぐに家…いや、屋敷からリーナが出てきた。
「ちょっとこれを見つけたのよ」
こちらに来る前に気絶させておいた男を突き出す。
「この男…もしかして」
「ええ。ちょっと騒ぎを起こそうとしててね。まぁ、事前に防げたけれど」
「そうだったの。そのことについて詳しく話を聞きたいけれど、まずはこいつからかしら」
「ええ。前に家に襲撃に来た奴らよりも話が聞けるかもしれないからね」
フィリアの魅了を使えば早い気もするけれど、無理にやらせたくは無いもの。昔ながらの、尋問でお話しましょうかしらね。
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