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第5章 村編

第123話 私は被害者だ!

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「うぅ……」
「あら、起きた?」

 耳元で聞き覚えのある声が聞こえた。うっすらと目を開けると……

「……リーナ?」
「ええ、そうよ」

 なんでリーナがいるんだ…?それよりここは……
 天井が目に入るということは寝ている体勢のようなので、ひとまず体を起こす。どうやらベットに寝ていたようだ。

「体調は?」
「あぁ、大丈夫…だが」
「まぁ言いたいことは分かるわよ。ていうか私だって驚いたのよ?」

 うん?どういうことだ?

「だっていきなり私の部屋にロビンが転移してくるんだもの。ビックリしたわ」
「そ、そうだったのか……」

 色々と思い出してきたぞ。確かドライアドに会って聖結晶を貰ったんだよな。で、強制転移させられたんだったな……

「まぁあの子らしいわね」
「……ドライアドの仕業ってよく分かったな」
「付き合いは長いからね」

 それって……いや、聞かないでおこう。リーナの年齢は、な……。

「とりあえず、聖結晶は手に入ったのよね?」
「あぁ……これだ」

 俺はマジックバッグから貰った透明な聖結晶を取り出し、リーナに見せる。

「あら……なかなかお目にかかれないサイズね」
「そうか?」

 俺は掌の上にある聖結晶をコロコロと転がす。俺は実物を見たことがないから、よく分からんな。

「何か言ってた?」
「そうだな……リーナに来て欲しいって言ってたな」
「それだけ?」

 そうだな……確か……

「……あ。フィリアも来てくれとか言ってたな」
「フィリアちゃん?なんで?」
「ああ。俺もなんでか知らん」

 なんでフィリアのことをどうしてドライアドが知ってるんだか……いや、確か聞いたことがある。ドライアドは木の妖精だからこそ、全ての植物から見て、聞くことが出来ると。だったら知っていてもおかしくは無い、か。

「……あぁ、そういうこと。まったくあの子は……」
「どうした?」
「……ドライアドとフィリアちゃん、どうやら前に知り合ってたみたいなのよ」
「そうなのか?というかどうやって知ったんだ?」
「簡易的な言葉しか伝えられないけれど、ドライアドは植物を介して言葉を伝えることができるのよ」

 リーナが指さしたのは部屋の隅にある鉢植え。俺が見るとさわさわと葉が揺れた……気がした。

「で、どうするの?」
「ん?とりあえずマルコムに聖剣を作ってもらうが?」
「違うわよ。フィリアちゃんをどうするの?」

 どうする?なぜフィリアがでてくる?

「……ドライアドがフィリアちゃんを呼んだのでしょう?」
「あぁ、確かに言ってたが?」
「……フィリアちゃん、ドライアドに気に入られてるみたいだから、会ったらしばらく帰れないとおもうわよ?」
「……まじか?」
「ええ。私も……5年くらい?」

 それは困る!フィリアが5年もいなくなるなんて耐えられるか!

「まぁそっちは任せて。会わないという選択肢は残念ながら選べないのだけれど、かかっても数日で帰させるよう説得しとくわ」
「頼む!」
「え、ええ。任せて」

 とりあえずこれで安心か。リーナに任せておけばまず大丈夫だ。早く聖剣を作ってもらって、フィリアに会わないとな!

 ーーーーーーー

『ちゃんと渡しといたわよー』
「良かった…」

 私は背丈が同じくらいの女の子と会話をする。見た目からは想像できないけど、ドライアドだからかなり長く生きてるのよね……。

『ねえねえ。早く来てよ』
「今は無理だよ。でも、あと少ししたら行くから、ね?」
『うー…出来るだけ早くね!』

 そう言って森の奥へと消える。全く……年齢に見合わないほどの子供っぷりよねぇ……。まぁだからこそ、私も気兼ねなく話せる相手なのだけれどね。

「ねぇ、フィリア?」
「なぁにー?」
「……今のってまさか」
「うん、ドライアド」
「……軽くサラッと言うわね。いつ知り合ったのよ」

 うぅん……いつと言われると……いつなんだろう。確か……

「……私が森を壊したとき?」
「それって…フィリアの契約獣のフェンリルと戦ったときの?」
「ううん。そっちじゃなくて……」
「……別のとこでも壊してたのね」

 うっ!マリアの視線が痛い!

「……私が壊したんじゃないからね!?」

 そこは声を大にしていいたい。というか言った。

「じゃあ誰?」
「……ローブ男」
「……自爆?」
「そうそう」

 多分その時から目をつけられていたのだと思う。それからしばらくしてから、いきなり来たのよね。あっちから。

「なんで?」
「……怒られた」
「……は?」

 そ、そんなアホの子を見るような目で見ないで!

「森を壊すなーって…」
「あぁ…」

 ……納得されるのも地味に傷付く。まぁ確かに森けっこう壊してたけどさぁ?大体が私のせいじゃない思うのよ。逆に被害者だと思う。
 けどそんな言い訳は通用せず、森を治すのを手伝わされた。具体的には、魔法でえぐれてしまった地面を直して、ドライアドがくれた種を植え、雨を降らせた。そこまで大変な作業ではなかったのが、幸いだったかな。

「それを大変じゃないって言えるのが凄いわね…」
「そう?」
「考えてもみなさい。確かに難しい魔法ではないでしょうけれど、範囲は?」
「……街一個ぶんか、2個ぶんくらい?」
「そ、そんなに…」

 マリアの顔が引き攣る。え、森の規模としては普通じゃない?

「なに?」
「……いや、そんなに壊してたのねって」
「………………」

 ……聞かなきゃ良かった。


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