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第4章 王都 学園高等部生活編
第100話 真相
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コルギアスの体が蒼い炎に包まれ、焼かれていく。
その様子を見届け、私はマリアの方へと駆け寄る。
「ママ、マルティエナさんは?」
「大丈夫よ。怪我はないわ」
私も見てみる。確かに擦り傷などはあるが、大した怪我ではない。まとわりついていた魔力も消滅している。
「よかった」
「そうね……でも、フィリアも自分の心配しなさい。魔力もう無いでしょ?」
「それは…」
確かに魔力は先程まではほとんど無かった。
でも、マリアから貰った魔力と、自然回復でだいぶ回復している。
……それでも総量の1割も満たないが。
「ロビンも大丈夫よ」
後ろからリーナの声が聞こえた。
「ほんと?」
「ええ。もう目を覚ましたわ」
見てみると、ドノバンさんに支えられながらも立ち上がっていた。まだ休めばいいのに。
「よかった…」
「ええ。でも、まだ終わってないわ」
私たちの目的。それは生徒の救出。それはまだ終わっていない。
「でも、ここはどこなの?」
周りを見渡せば、岩肌が目に入る。明らかに場所が変わっている。
「多分、次元の狭間ね」
次元の狭間…
「おそらくコルギアスを倒したことで、この空間は崩壊する。というか、もう既に崩壊してきている」
ほら、とリーナが指さした先を見る。そこは岩肌が無くなり、見覚えのあるタイルが現れていた。
「それじゃあ、このまま待ってたらいいの?」
「ええ。そうよ」
「フィリアは休みなさい。疲れたでしょう?」
「魔力はもう大丈夫だよ?」
「そっちじゃなくて、精神的に、身体的にってことよ」
正直言うと、どれも疲れていない。魔法で治せてしまうからね。
でも、これは断ることは無理そうなので、有難く休ませてもらおう。
とはいえ眠気もないので、壁際に座り、瞑想することにした。
ーーーーーーー
フィリアが壁際で瞑想を始めた。漏れ出ている魔力は、戦う前とは比べ物にならないほど弱くなっているけれど、回復していっているのか、少しづつ増えている。
「フィリアちゃん、凄いわね」
「ええ。私の娘なのが誇らしいけど……怖くもあるわね」
フィリアには聞こえていない。周りの音すら聞こえないほど、集中している。
膨大な魔力。それを今は全て制御できているとは思う。だけどこれからは?
フィリアはまだ成長するはず。それを今後も制御することができるか不安でしかない。
「大丈夫じゃない?フィリアちゃんはしっかりとその力を分かっているから」
「そう、ね…」
私が信じてあげないと。膨大な魔力を持っていても、女神の使徒であっても、私の娘であることに変わりないのだから。
「うぅ…」
「マルティエナ!?」
マルティエナが目を覚ました。まだ顔色は悪い。
「あ、れ?私…」
「よかった…ほんとによかった…」
マルティエナは状況を理解できないらしい。それも無理はないけど。
「大丈夫?」
「うん…私、確か…」
そこまで言って、口を噤む。見るからに顔色が悪くなる。
「ごめん、な、さい…」
涙を流しながら、謝罪の言葉を出す。
「あなたは悪くないわ」
そう言っても、マルティエナは首を振る。どうして?
「私の、せい、なの」
「なにが?」
「私が…私が…うわぁぁぁ!」
号泣して抱きついてきた。なにが言いたかったの?
とりあえず宥めて落ち着かせる。
「落ち着いて、ゆっくり話して」
「……うん」
私から離れ、マルティエナは大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「この事件。実は、私のせいなの」
はっきりと、私の目を見てそう言った。
「え…どういう、こと?」
頭の中は混乱状態。マルティエナが、元凶…?
「私の国に、世界樹があるのは知ってる?」
「ええ。それはもちろん」
知識として当たり前のものだ。
「それがね…乗っ取られたの」
「乗っ取られた…?」
「うん。正確にはそのダンジョンが、だけど」
世界樹は中がダンジョンとなっており、もっとも難易度が高いダンジョンと呼ばれている。でも、それが乗っ取られた?
「でも。それとどう繋がるの?」
「ここで問題を起こせば、集まってくれるでしょ?」
私はなにも言えなかった。どうして、なにも相談してくれなかったの?
「そんなの…言えばすぐ来たのに」
そう言うと、マルティエナは首を横に振った。
「ダンジョンが乗っ取られたのは、秘密のことなの。だから、呼び寄せて来てもらう訳にはいかなかった」
「つまり、秘密裏に集まって来てもらう必要があった?」
マルティエナは頷いた。
通信の魔道具は、傍受されることがある。だから、1番安全なのは集まって話すこと。でも、話すためだけに集まるには時間がかかる。
だから、緊急事態を起こして急いで集まってもらったってことね。
「でも、それでも生徒を危険な目に遭わせていいとは思わない」
「うん。だから私は生徒を保護する予定だった。怪我させたりするつもりも、ここまで大事にするつもりもなかった」
「じゃあ生徒は無事なの?」
「……分からない」
「どういうこと?」
「……このダンジョンも乗っ取られたの」
この、ダンジョンも?
「誰、なの?」
「分からない。ローブを被っていたから」
「ローブ、ね…」
確かに居たわね。このダンジョンに。
「でもどうやって?」
「それも分からない。でも、それによってダンジョンの構造が変えられてしまった」
「それは…」
ダンジョンの構造を変えることができる人なら、乗っ取るのも簡単だったのかしら。
「目的は?」
「このダンジョンを乗っ取ったのは、六大英雄を消すためって言ってた…」
「消すため…でも、それにしては本気で来てないわよね?」
「うん。それは寸前で私が変えたの。残していたバックドアからでもダンジョンを変えられるようになっていたから。それでみんなを守った」
それが、あの状態だった、という訳ね。
「でも、それなら罠とか無くせなかったの?」
「みんなを疑った訳じゃないけど、やっぱり腕は落ちてるかなって思ったから、その後の戦いのウォーミングアップにって…ごめんなさい」
だからそれぞれ内容が違ってたのね。
「これで、謎は解けた…でも、マルティエナが乗っ取られたのは何故?」
「バックドアを使っていたことがバレて、罠を張られてたの…それで乗っ取られた」
そういうことね。
「理解は出来るけど、その前に話して欲しかった」
「そうだな。相談しても誰も責めはしない」
「うん……ごめんなさい」
でも、だとすると子供たちが危険な状態にあるかもしれない。早くしないと……
その様子を見届け、私はマリアの方へと駆け寄る。
「ママ、マルティエナさんは?」
「大丈夫よ。怪我はないわ」
私も見てみる。確かに擦り傷などはあるが、大した怪我ではない。まとわりついていた魔力も消滅している。
「よかった」
「そうね……でも、フィリアも自分の心配しなさい。魔力もう無いでしょ?」
「それは…」
確かに魔力は先程まではほとんど無かった。
でも、マリアから貰った魔力と、自然回復でだいぶ回復している。
……それでも総量の1割も満たないが。
「ロビンも大丈夫よ」
後ろからリーナの声が聞こえた。
「ほんと?」
「ええ。もう目を覚ましたわ」
見てみると、ドノバンさんに支えられながらも立ち上がっていた。まだ休めばいいのに。
「よかった…」
「ええ。でも、まだ終わってないわ」
私たちの目的。それは生徒の救出。それはまだ終わっていない。
「でも、ここはどこなの?」
周りを見渡せば、岩肌が目に入る。明らかに場所が変わっている。
「多分、次元の狭間ね」
次元の狭間…
「おそらくコルギアスを倒したことで、この空間は崩壊する。というか、もう既に崩壊してきている」
ほら、とリーナが指さした先を見る。そこは岩肌が無くなり、見覚えのあるタイルが現れていた。
「それじゃあ、このまま待ってたらいいの?」
「ええ。そうよ」
「フィリアは休みなさい。疲れたでしょう?」
「魔力はもう大丈夫だよ?」
「そっちじゃなくて、精神的に、身体的にってことよ」
正直言うと、どれも疲れていない。魔法で治せてしまうからね。
でも、これは断ることは無理そうなので、有難く休ませてもらおう。
とはいえ眠気もないので、壁際に座り、瞑想することにした。
ーーーーーーー
フィリアが壁際で瞑想を始めた。漏れ出ている魔力は、戦う前とは比べ物にならないほど弱くなっているけれど、回復していっているのか、少しづつ増えている。
「フィリアちゃん、凄いわね」
「ええ。私の娘なのが誇らしいけど……怖くもあるわね」
フィリアには聞こえていない。周りの音すら聞こえないほど、集中している。
膨大な魔力。それを今は全て制御できているとは思う。だけどこれからは?
フィリアはまだ成長するはず。それを今後も制御することができるか不安でしかない。
「大丈夫じゃない?フィリアちゃんはしっかりとその力を分かっているから」
「そう、ね…」
私が信じてあげないと。膨大な魔力を持っていても、女神の使徒であっても、私の娘であることに変わりないのだから。
「うぅ…」
「マルティエナ!?」
マルティエナが目を覚ました。まだ顔色は悪い。
「あ、れ?私…」
「よかった…ほんとによかった…」
マルティエナは状況を理解できないらしい。それも無理はないけど。
「大丈夫?」
「うん…私、確か…」
そこまで言って、口を噤む。見るからに顔色が悪くなる。
「ごめん、な、さい…」
涙を流しながら、謝罪の言葉を出す。
「あなたは悪くないわ」
そう言っても、マルティエナは首を振る。どうして?
「私の、せい、なの」
「なにが?」
「私が…私が…うわぁぁぁ!」
号泣して抱きついてきた。なにが言いたかったの?
とりあえず宥めて落ち着かせる。
「落ち着いて、ゆっくり話して」
「……うん」
私から離れ、マルティエナは大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
「この事件。実は、私のせいなの」
はっきりと、私の目を見てそう言った。
「え…どういう、こと?」
頭の中は混乱状態。マルティエナが、元凶…?
「私の国に、世界樹があるのは知ってる?」
「ええ。それはもちろん」
知識として当たり前のものだ。
「それがね…乗っ取られたの」
「乗っ取られた…?」
「うん。正確にはそのダンジョンが、だけど」
世界樹は中がダンジョンとなっており、もっとも難易度が高いダンジョンと呼ばれている。でも、それが乗っ取られた?
「でも。それとどう繋がるの?」
「ここで問題を起こせば、集まってくれるでしょ?」
私はなにも言えなかった。どうして、なにも相談してくれなかったの?
「そんなの…言えばすぐ来たのに」
そう言うと、マルティエナは首を横に振った。
「ダンジョンが乗っ取られたのは、秘密のことなの。だから、呼び寄せて来てもらう訳にはいかなかった」
「つまり、秘密裏に集まって来てもらう必要があった?」
マルティエナは頷いた。
通信の魔道具は、傍受されることがある。だから、1番安全なのは集まって話すこと。でも、話すためだけに集まるには時間がかかる。
だから、緊急事態を起こして急いで集まってもらったってことね。
「でも、それでも生徒を危険な目に遭わせていいとは思わない」
「うん。だから私は生徒を保護する予定だった。怪我させたりするつもりも、ここまで大事にするつもりもなかった」
「じゃあ生徒は無事なの?」
「……分からない」
「どういうこと?」
「……このダンジョンも乗っ取られたの」
この、ダンジョンも?
「誰、なの?」
「分からない。ローブを被っていたから」
「ローブ、ね…」
確かに居たわね。このダンジョンに。
「でもどうやって?」
「それも分からない。でも、それによってダンジョンの構造が変えられてしまった」
「それは…」
ダンジョンの構造を変えることができる人なら、乗っ取るのも簡単だったのかしら。
「目的は?」
「このダンジョンを乗っ取ったのは、六大英雄を消すためって言ってた…」
「消すため…でも、それにしては本気で来てないわよね?」
「うん。それは寸前で私が変えたの。残していたバックドアからでもダンジョンを変えられるようになっていたから。それでみんなを守った」
それが、あの状態だった、という訳ね。
「でも、それなら罠とか無くせなかったの?」
「みんなを疑った訳じゃないけど、やっぱり腕は落ちてるかなって思ったから、その後の戦いのウォーミングアップにって…ごめんなさい」
だからそれぞれ内容が違ってたのね。
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「バックドアを使っていたことがバレて、罠を張られてたの…それで乗っ取られた」
そういうことね。
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