転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに

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第4章 王都 学園高等部生活編

第87話 ボス戦パート2

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 コンコンと結界を叩いたのは、なんとエルザだったらしい。実際に叩いたのは、魔法で浮かせたそこら辺の石らしいけど。

 ーとりあえず、男の子達には眠ってもらうねー

 そんなエルザの声が聞こえ、バタバタとロイさん達が倒れていった。もうちょっと穏便に…

 ー怪我はしてない。大丈夫ー

 いやそういう問題じゃないのよ?

 ーまぁまぁ。とにかくよろしくね、お姉ちゃんー

 待て待て待て!!何がよろしくだ!
 そんな私の心の中の叫びも虚しく、勝手に結界が解除された。
 ……そして、なにを頼んだのかを一瞬で理解した。

「はぁ…エルザも面倒事を…」

 結界が解除されたことで、地龍が顕になった。
 ……尻尾が再生していくところの、ね。

 確かにこれは、あの魔剣に取り込まれた男と同じかもしれない。それなら倒すことができるのは、恐らく私だけ。

 ーせいかーいー

 …ちょっとここに降りてこい。1発ぶん殴るから。

 ーえ!?ちょっとそれは…ま、まぁとりあえず、お姉ちゃんなら大丈夫だから!ー

 無責任!?

 ー神様のお墨付きだよ?ー

 いや、あんたが神様っていう実感が…

 ーひど!?ー

 じゃあ神様らしいことしなさい。

 ーもうしたんだけど…ー

 え?なにしたの?

 ーマリアに神託ー

「……は!?」

 ちょっと!神託ってどういうことよ!?なんかさっきからマリアに見られてるとは思ってたけど…

 ーそうそう。多分お姉ちゃんが使徒だって気付いたと思うよ。直接は言ってないけどー

 ……はぁ。まぁ言う手間が省けただけでも良しとするか。
 とにかく、マリアを含めて全員を1箇所にまとめて、そこに外が見えなくなる結界を張れる?ついでに眠らせて。

 ーもっちろん!今?ー

 今。

 ー了解!ー

 張り切ったエルザの声が聞こえたと思ったら、一瞬でマリア達が居なくなった。そして、部屋の隅に少し光る結界が現れた。

 ー出来たよ。じゃあよろしくね。今私はそこに行けないから…ー

「はいはい。分かりましたよ」

 後ろのロイさん達も居なくなっていたから、思う存分やれるね。

 部屋の中央の地龍を見据える。敵がいきなり居なくなったからなのか、地龍が喚き散らしていた。
 うわぁー…目が血走ってるよ。

「さて。じゃあ翡翠、よろしくね」
『任せて!』

 アイテムボックスから翡翠刀を取り出す。鞘から引き抜くと、青白い炎が刀身に纏わりついた。

「やっぱり同じか…」

 この青白い炎が出るってことは、あの魔剣男と同じだということだよね…さっきまでは確信が無かったけど、これを見たら確信できた。

「まずは…」

 一気に近付いて、まずは前足に切り込む。

 グワァァァァァァ!!

「おっと」

 あまり深くない傷だけど、青白い炎が触れたからなのか、かなり痛そうに叫んで暴れだした。

「これは迂闊には近付けないな…」

 とにかく隙を見つけては、切り込んでいこう。

 グワァァァァァァ!

 そんなことを考えて落ち着くのを待っていると、突然地龍が口をがぱっと開けて、そこに魔力が集まっていくのが分かった。
 まさかブレス!?

 グルワァァァ!!

 雄叫びと共に、眩い光が地龍の口から放たれた。

「魔刀術・一刀・両断!」

 魔刀術は刀に魔力を纏わせて使う武闘スキル。魔力があることが前提のスキル。
 その魔力を纏わせた刀を、上から下に真っ直ぐ振り下ろす。すると、そこからブレスが真っ二つに分かれ、私の両側を過ぎ去って行った。まだ試したことが無かったけど、上手くいって良かった…
 ブレスを切られた地龍は、ブレスを放った状態のまま、固まっていた。
 …つまり口をポカーンと開けてた。ちょっと笑える。

「じゃあ…刀術・一刀・我流・零式一戦ぜろしきいっせん

 これは体術と刀術の武闘スキルを合わせた、私オリジナルの武闘スキル。
 一気に零距離まで敵に近付き、1回だけ切り込む。その後すぐにもとの立ち位置へと戻る。つまり、一撃離脱戦法。ダメージは少ないけど、先手を打ったり、隙をつく、又は惑わせて、隙を作れる。

 グルワァ!?

 思った通り、惑わせることができたみたい。切ったのは口の中。かなり痛そう。

「さて。そろそろ…」

 空歩で空中へ1段、2段と飛び上がる。

「刀術・一刀・天翔空破断てんしょうくうはだん!」

 これは高い空中から一気に落ちながら刀を振るう武闘スキル。落下速度により、かなり威力が上がる。本来高く飛び上がるだけだから、そこまで威力は上がらないんだけど、今回は空歩でかなり高いところまで上がったので、威力はかなりのものになる。
 狙うのは…首。

「はぁぁぁあぁ!?」

 ちょっと調子に乗りすぎた…高い!思ったより高い!

「おりぁぁぁ!」

 もうこの際覚悟を決めてやる!

 グルワァ!?

 やっと混乱状態から回復した地龍が、私の姿を探しているみたい。

「上だァァァ!」

 もちろん地龍がそんなこと分かる訳もなく、私はそのまま落下していく。
 そして刀は、迷うことなく地龍の首へと向かっていった。

 ザシュッ!

 グル、ワァァ…

 見事、地龍の首は一刀両断。さすが神器。凄い切れ味だわ。しかも首の太さ刀よりあったんだけど…まぁそこは深く考えないほうがいい気がする。

 首を落とされたことで、流石の地龍も息絶えたらしい。あの男は首落としても生きてたのにねぇ。やっぱりあっちが特殊だったのね。

 ……で、私はというと、

「痛ったぁぁぁぁぁ!?」

 まさか切れてそのまま地面に衝突するとは思わず、顔面からダイブした。
 ……物理無効はこういう時に働いてはくれないらしい。

『主、大丈夫?』
「大丈夫…じゃないかも」

 鼻血まで出てた。絶対今顔ヤバいことになってるよ……

 ーうん、今のお姉ちゃんの顔ヤバいよ。ぷぷ…ー 

 笑うな!!








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