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第4章 王都 学園高等部生活編
第86話 ボス戦
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フィリアに後ろに下がってもらって、生徒を守ってもらう。フィリアなら大丈夫でしょう。
「まさかこのダンジョンで戦うことになるとはな」
「ええ。しかもかなり大きめ。大変ね」
一般的な地龍はここまで大きくはないし…こんなに禍々しい魔力を放出したりもしない。
「これはロビンじゃないと無理かもね」
「あぁ。だろうな」
ロビンが持っているのは聖剣。かつてこの禍々しい魔力と似たようなものを纏った邪龍とは、遭遇したことがあるのよ。その時、ロビンの聖剣でしか倒せなかったのよね。
「とにかくやるか」
ドノバンがまず攻撃を受け止める体勢になる。とりあえずはいつも通りに。
「…マリアの娘、肝座ってるな」
いきなりレビンがそう言ってきた。どういうことかしら?
そう思ってフィリアの方を見ると……食事をとってるわね。
「はぁ…」
あの子はどれだけ私にため息をつかせるのかしら?
まぁフィリアのあの結界は、私から見てもかなりのものだし、心配はないと思うけれど。
「あ、見えなくなった」
フィリアが結界をすりガラスのようにして、外から中の様子が見えなくなった。
「隠そうとするなんて…後でお仕置ね」
「おいおい。程々にしとけよ?」
失礼ね。私をなんだと思ってるのかしら。
「おい!!何してる!」
ドノバンが叫ぶ。その直後、ガギンッという重々しい音が響いた。
「はあぁ!」
マルティエナが身体強化をして殴りかかる。あれは…ちょっと倒す魔物がいなくてイライラしてたから、鬱憤晴らしみたいな感じね。何となくフィリアがチラついたんだけど…フィリアは殴ったりしないものね。マルティエナとは違うわ。
……多分。
「マリア!」
「分かってるわよ…ホーリーチェイン!」
ホーリーチェインは相手を拘束する魔法。光り輝く鎖が地龍の足や尻尾、口に巻き付き、動きを封じる。
「くっ!あまり長くは持たない!」
「分かってるよ!」
ロビンが切り込む。だけど、そこまで深くはない。
グルァァァァァァ!!
「…っ!きゃ!」
無理やり鎖を引きちぎられた。その余波で吹き飛ばされる。
……その瞬間、優しい風が私を包み込んだ。
「この魔力…フィリアね」
のほほんとはしてたけど、ちゃんとこちらの状況を把握してるみたいね。娘に守られるとは、ね…
「まぁ後でお礼は言いましょう」
鎖が引きちぎられたことで、地龍が暴れ出す。
「くっ!連層盾!」
ドノバンの盾が青く光り、薄い膜が何層も重なる。あれは確か、攻撃を受け止める時の衝撃を軽減するための武闘スキルだったはず。
グワァァァァァァ!!
雄叫びを上げ、地龍がその大きな尻尾をドノバンの方へと振り上げる。
「こいやぁ!」
…なんかドノバンの性格が変わってる気がするわ。
地龍が尻尾を振り下ろし、ドンッという凄まじい音が響いた。その直後、パリンッという音が連続して響く。恐らく、薄い膜が割れる音。
「くっ!中々重い…!」
どうやら受け止められたようだけど、間一髪ってところね。
「オラァ!」
ドノバンが受け止めた尻尾に、ロビンが斬りかかった。だけど、岩のように硬い鱗に阻まれ、切断までは至らなかった。どれだけ硬いのよ…
「ロビンどいて!…ボルティックアームズ!!」
リーナがロビンの切り込んだ傷に魔法を叩き込む。それも…フィリアが考えた魔法を。でも、フィリアのようにいくつもの武器を出すのではなく、1本の大剣を創り出していた。多分、武器をひとつに絞ることで、威力を集中させたのね。
「はあぁぁ!!」
リーナの創り出した大剣が、真っ直ぐ尻尾へと振り下ろされ、見事に尻尾を切断した。
グルワァァァァァ!!
余程の痛みだったのか、地龍が転げ回る。
「くっ!魔力が足りない…」
先程のホーリーチェインで大半の魔力を消耗してしまったのよ。回復は早い方たけど、まだ足りない。
「…なぁ!?」
いきなりロビンが叫んだ。
「ちょっと、どうし…」
なんで叫んだのか聞こうと思ったんだけど…その理由は聞かなくても分かったわ。
「尻尾が…」
さっき切ったはずの尻尾が、また生えてきていた。まさにフィリアの言った通り、トカゲね。
「こいつは首を切らないと死なないか…」
ロビンがそう吹くけど、それは難しい。地龍はそもそも硬いけれど、首周りは特に硬くなっている。だから腹とかの柔らかいところを傷付けて、衰弱させるのが攻略法なんだけど…この再生力だと、それも難しいわね。
ーそうかもしれないわねー
「え、誰!?」
周りを見渡してみるけど、私に話しかけてきた人はいなかった。そもそも、聞いたことがない声。
ーあなたの頭に直接話しかけてるのー
直接…?確かにロビン達は気づいてないみたいだけど…
ーそう。フィリアちゃんの母親である、あなたしか聞こえていないー
「…っ!」
どうして…
ーだって私、女神だもの。女神エルザー
「女神…」
ーそう。あなた達ではアレは倒せないー
じゃあどうしたら!
ー落ち着いて。倒す方法はあるー
…それはなに?あなたが本物のエルザかどうかは知らないけれど、この状況を打破できるなら聞かせて。
ーまぁ、本物かどうかは私の使徒から聞けばいいわー
使徒?ここにいるの?
ーいるわよ。それも、ものすごく近くにー
ものすごく近くに…?
ーまぁ詳しいことは本人から聞いて…じゃあよろしくね、お姉ちゃんー
「え?」
お姉ちゃん?
その瞬間、後ろの結界が解除されたのが分かった。
「はぁ…エルザも厄介事を…」
そう言いながら結界から出てきたのは、フィリアだった。後ろにいた生徒は倒れてるけど、眠ってるだけみたい。
フィリアが……使徒?
「まさかこのダンジョンで戦うことになるとはな」
「ええ。しかもかなり大きめ。大変ね」
一般的な地龍はここまで大きくはないし…こんなに禍々しい魔力を放出したりもしない。
「これはロビンじゃないと無理かもね」
「あぁ。だろうな」
ロビンが持っているのは聖剣。かつてこの禍々しい魔力と似たようなものを纏った邪龍とは、遭遇したことがあるのよ。その時、ロビンの聖剣でしか倒せなかったのよね。
「とにかくやるか」
ドノバンがまず攻撃を受け止める体勢になる。とりあえずはいつも通りに。
「…マリアの娘、肝座ってるな」
いきなりレビンがそう言ってきた。どういうことかしら?
そう思ってフィリアの方を見ると……食事をとってるわね。
「はぁ…」
あの子はどれだけ私にため息をつかせるのかしら?
まぁフィリアのあの結界は、私から見てもかなりのものだし、心配はないと思うけれど。
「あ、見えなくなった」
フィリアが結界をすりガラスのようにして、外から中の様子が見えなくなった。
「隠そうとするなんて…後でお仕置ね」
「おいおい。程々にしとけよ?」
失礼ね。私をなんだと思ってるのかしら。
「おい!!何してる!」
ドノバンが叫ぶ。その直後、ガギンッという重々しい音が響いた。
「はあぁ!」
マルティエナが身体強化をして殴りかかる。あれは…ちょっと倒す魔物がいなくてイライラしてたから、鬱憤晴らしみたいな感じね。何となくフィリアがチラついたんだけど…フィリアは殴ったりしないものね。マルティエナとは違うわ。
……多分。
「マリア!」
「分かってるわよ…ホーリーチェイン!」
ホーリーチェインは相手を拘束する魔法。光り輝く鎖が地龍の足や尻尾、口に巻き付き、動きを封じる。
「くっ!あまり長くは持たない!」
「分かってるよ!」
ロビンが切り込む。だけど、そこまで深くはない。
グルァァァァァァ!!
「…っ!きゃ!」
無理やり鎖を引きちぎられた。その余波で吹き飛ばされる。
……その瞬間、優しい風が私を包み込んだ。
「この魔力…フィリアね」
のほほんとはしてたけど、ちゃんとこちらの状況を把握してるみたいね。娘に守られるとは、ね…
「まぁ後でお礼は言いましょう」
鎖が引きちぎられたことで、地龍が暴れ出す。
「くっ!連層盾!」
ドノバンの盾が青く光り、薄い膜が何層も重なる。あれは確か、攻撃を受け止める時の衝撃を軽減するための武闘スキルだったはず。
グワァァァァァァ!!
雄叫びを上げ、地龍がその大きな尻尾をドノバンの方へと振り上げる。
「こいやぁ!」
…なんかドノバンの性格が変わってる気がするわ。
地龍が尻尾を振り下ろし、ドンッという凄まじい音が響いた。その直後、パリンッという音が連続して響く。恐らく、薄い膜が割れる音。
「くっ!中々重い…!」
どうやら受け止められたようだけど、間一髪ってところね。
「オラァ!」
ドノバンが受け止めた尻尾に、ロビンが斬りかかった。だけど、岩のように硬い鱗に阻まれ、切断までは至らなかった。どれだけ硬いのよ…
「ロビンどいて!…ボルティックアームズ!!」
リーナがロビンの切り込んだ傷に魔法を叩き込む。それも…フィリアが考えた魔法を。でも、フィリアのようにいくつもの武器を出すのではなく、1本の大剣を創り出していた。多分、武器をひとつに絞ることで、威力を集中させたのね。
「はあぁぁ!!」
リーナの創り出した大剣が、真っ直ぐ尻尾へと振り下ろされ、見事に尻尾を切断した。
グルワァァァァァ!!
余程の痛みだったのか、地龍が転げ回る。
「くっ!魔力が足りない…」
先程のホーリーチェインで大半の魔力を消耗してしまったのよ。回復は早い方たけど、まだ足りない。
「…なぁ!?」
いきなりロビンが叫んだ。
「ちょっと、どうし…」
なんで叫んだのか聞こうと思ったんだけど…その理由は聞かなくても分かったわ。
「尻尾が…」
さっき切ったはずの尻尾が、また生えてきていた。まさにフィリアの言った通り、トカゲね。
「こいつは首を切らないと死なないか…」
ロビンがそう吹くけど、それは難しい。地龍はそもそも硬いけれど、首周りは特に硬くなっている。だから腹とかの柔らかいところを傷付けて、衰弱させるのが攻略法なんだけど…この再生力だと、それも難しいわね。
ーそうかもしれないわねー
「え、誰!?」
周りを見渡してみるけど、私に話しかけてきた人はいなかった。そもそも、聞いたことがない声。
ーあなたの頭に直接話しかけてるのー
直接…?確かにロビン達は気づいてないみたいだけど…
ーそう。フィリアちゃんの母親である、あなたしか聞こえていないー
「…っ!」
どうして…
ーだって私、女神だもの。女神エルザー
「女神…」
ーそう。あなた達ではアレは倒せないー
じゃあどうしたら!
ー落ち着いて。倒す方法はあるー
…それはなに?あなたが本物のエルザかどうかは知らないけれど、この状況を打破できるなら聞かせて。
ーまぁ、本物かどうかは私の使徒から聞けばいいわー
使徒?ここにいるの?
ーいるわよ。それも、ものすごく近くにー
ものすごく近くに…?
ーまぁ詳しいことは本人から聞いて…じゃあよろしくね、お姉ちゃんー
「え?」
お姉ちゃん?
その瞬間、後ろの結界が解除されたのが分かった。
「はぁ…エルザも厄介事を…」
そう言いながら結界から出てきたのは、フィリアだった。後ろにいた生徒は倒れてるけど、眠ってるだけみたい。
フィリアが……使徒?
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