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第4章 王都 学園高等部生活編
第74話 行方不明事件発生
しおりを挟む次の日。私は起きて直ぐにベルの部屋へと向かう。
「…いない」
部屋にベルの姿はなかった。
昨日ベルは帰ってこなかった。サーチしてみても、王都に反応がない。
「どこにいったの…」
今までは居なくなってもすぐに見つけられた。だからこそ、今回みたいに見つからないってことが、とてつもなく不安にさせた。
私は一旦自分の部屋に戻った。今日は学園がある日。だから制服に着替え、下に降りた。
「おはようございます」
いつものようにセバスチャンさんが迎えてくれた。
「おはようございます。あのベルは…」
「ベル様はあれからお戻りなっておりません。カトリーナ様はその事を調べるため、先程学園へとお向かいになりました」
「そうですか…」
やっぱり帰ってなかった…
「ひとまず、朝食に致しますか?」
「…はい。お願いします」
「かしこまりました」
セバスチャンさんに朝食を用意してもらって、食べ進める。だけど、いつもよりゆっくり。
「大丈夫ですよ。ベル様は」
そんな私の様子から、セバスチャンさんがそう声をかけてくれた。
「…そうですね。ベルは強いですから」
ベルはあれからとても強くなった。だから、大丈夫。大丈夫…
そう自分に言い聞かせながら、食事を食べ終えた。
「じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
いつもは2人で乗る乗り合い馬車に1人で乗り込む。
揺られること少し。学園へと着いた。今日は…
「おえぇー…」
やっぱり酔った。まぁそんなことはどうでもいい。私は早足で教室へと向かった。
教室へと足を踏み入れると、いつもより人が疎らだった。
……………そして、キャサリンもいなかった。
私はいつもの席に1人で座る。キャサリンもサーチして探してみるけど、やっぱり見つからない。本当にどこにいったの…?
「はーい。みんな大事な話があるから席についてねー」
リーナが教室に入ってきた。大事な話ってベルとかのことかな?
「今教室を見ても分かるように、学園で行方不明者が多数でています」
「「「え!?」」」
言われてみて、教室を見渡してみる。すると、クラスの半分ほどしか人がいないことが分かった。え?!ベルだけじゃなかったの?
「今学園が調査しているから、心配しなくていいわ。ただ、この人数で授業しても意味がないから、原因が分かるまでは休講よ」
リーナがそう言うと、喜ぶ者と困惑する者に分かれた。まぁそういう反応になるよね…
「だから今日はここまでよ。あと、学園のダンジョンも今は閉鎖しているから、入れないわよ」
なんで閉鎖しているんだろ?もしかして、今回の事件と関係してるとか?
「さぁ、気を付けて帰ってね」
そう言われていそいそと帰る準備をする人もいれば、リーナのところに行って詳しい話を聞こうとする人もいた。ちなみに私もその1人。
「まだ詳しいことは分かってないの。だからまた今度ね?」
リーナはそう言って、教室を去っていった。
「あ、フィリアちゃん!」
「あ、ペトラちゃん」
なんか話すの久しぶりな気がする。
「フィリアちゃんは無事だったんだね」
「無事って…まぁ確かにそうだけど。でもベルが…」
「私も心配。ミシャちゃんもどこか行っちゃったの」
ミシャちゃんまでか…何か、今まで行方不明になった人達に共通点はないのかな?
「とにかく、先生の報告を待たないとだけど…やっぱり不安。今みんなどうしてるんだろうって」
「そうだね。私もそうだよ」
何も無いことを願うばかりだよ…
ペトラちゃんと別れ、私も教室を後にする。
「あ、フィリアちゃん。ちょっとこっちに」
どうやらリーナに待ち構えられていたらしい。魔法で気配消してたし。
「どうしたの?」
「ひとまず付いてきてくれる?」
「?分かった」
歩き出したリーナの後をついて行く。今まで来たことがない所を通って行く。てか、まだ行ったことないとこあったんだね…
「ここよ」
リーナが立ち止まったのは、少し豪華な扉の前。扉には札が掲げられていて、【学園長室】と書かれていた。
「こ、ここって…」
「そう。レビンの部屋よ」
ですよねー。何故に?
「とにかく、早く入っちゃって」
「は、はーい」
リーナに急かされ、扉を開ける。中はリーナの書斎と同じような感じだった。だけど、本の数とか、部屋の大きさとがが桁違い。ひ、広すぎる…
「お、来たか」
部屋にはレビンさんがいた。まぁレビンさんの部屋なんだから、当たり前か。
「なんか…久しぶりですかね?」
「まぁ確かにな。ほれ、座れ」
レビンさんに勧められるままソファに座る。
「なんでこんな所に?」
「ああ。今回の行方不明事件について話すためだな」
予想はしてたけどね。何となく尋ねただけ。
「それで?何を話すんです?」
「フィリアは前ベルが攫われた時、場所を見つけたろ?」
あ、何となく話が分かった。
「見つけましたけど…今回は分からないですよ?」
「やっぱりそうなのか…」
やっぱり?
「分かってたんですか?」
「まぁな。前は直ぐに助けに行っただろ?今回は行ってないからな」
…ご名答。
「でも、分かってたなら、今回の話の内容は違うんですよね?」
「気づいたか」
いや、普通に気づくでしょ?
「実は今回行方不明になった生徒には、ある共通点があってだな…」
やっぱり共通点はあったんだ。
「その共通点とは?」
「…ダンジョンに入っていることだ」
……はい?だとしたら全員当てはまるんじゃない?
「私もダンジョンに入りましたけど…」
「あー、言い方が悪かったな。正確には、昨日ダンジョンに入った生徒だな」
昨日…私が学園を休んだ日。私が休まなければ…
「フィリアちゃん?そんなに気にしなくていいのよ?」
顔に出てたのか、リーナが心配してくれた。
「…ありがと。でも、もし昨日行ってたらって…」
悔やんでも悔やみきれない。
「昨日は昨日だ。変えられる訳じゃねぇ。だからこそ、今からどうするか考えるんだよ」
……確かにそうだね。過去は変えられない。でも、未来なら変えられる。
「持ち直したな。さて、今回の行方不明をどう解決するかだが…」
「ダンジョンに入るしかないのよね?」
レビンさんの説明をリーナが引き継いた。
「そうだ。だが、何故だか分からないが、職員用の扉が入れないんだ」
「職員用の扉?」
そんなのあったの?
「ああ。秘匿されてるから、知らないのも無理はない。今回の様な事態に備えて創られたものだ。それを使えばダンジョンの最奥まで一気にいける」
なるほど。万が一の保険か。
「でもそれが使えないの?」
「どうやら中からロックされててな…だから、1から攻略しねぇといけねぇ。生徒用のダンジョンだから、もしもの事はないと思うが…」
「職員用の扉が使えないっていう前代未聞のことがあったから、今回は六大英雄全員で挑むことになるわ」
わぁお。オールスターだね。
「私は?」
「危険だから連れて行きたくない…けど、どうせついてくるでしょうし、一緒に行きましょう」
ばれてーら。まぁそれはそれで有難いかな。
「今日行くの?」
「いや、明日だな」
「だから、今からゆっくりと屋敷で休んでおきましょうか」
「はーい」
その後、明日な予定とかを話して、学園長室を後にした。
…………………待っててね。ベル。キャサリン。他のみんなも、必ず助けるから!!
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