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第4章 王都 学園高等部生活編

第71話 見つかっちゃいました

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魔物の大軍に突っ込んでから、どれくらい経っただろうか?

「ああ!もう!」

さっきから魔物を手当り次第に切り刻んでいるが、一向に減った気がしない。

グギギィ!!

「うっさい!」

半ばヤケになりつつ、ゴブリンの首をはねる。

「どんだけいんのよ!」

魔法で殲滅するという方法はあるけど、以前森を破壊したばかりだしね…しかも近くにはリーナもいる。迂闊には使えない。

「刀術・二刀・血風独楽けっぷうごま!」

一体一体斬るのが面倒になったので、独楽のように回って切り刻む武闘スキルを使う。どんどん斬れていくのはいいけど…このスキル、一つ欠点がある。

「ぬぉ~!め、目が回る―…」

そう。この武闘スキルには、目が回るという欠点があるんだよねぇ…

「む、無理!」

しばらく頑張ってみたけど、すぐに限界に達し、強制的に武闘スキルを終了させた。もっとも、この武闘スキルは、止めなければずっと回ってしまうんだけどね。

「こ、これで…」

グギィ!!

「まだいた!?」

少しめまいを覚えながら、襲ってきたゴブリンを斬る。どうやら武闘スキルで餌食になったのは、オークなどの図体がでかい魔物がほとんどのようだね。

「げ!?リーナが近づいてきてる!?」

何時でもリーナの位置を確認出来るように、ずっと世界地図ワールドマップを使っていたんだけど、どうやらこっちに向かってきているみたい。

「一旦離脱!」

光学迷彩と空歩を使って、一旦その場から逃げる。

「なんでこんなに魔物がいるのよ!」

そんなことを言いながら、リーナが魔法で魔物を吹き飛ばしていく。うわぁ…えげつない。

「あら?ここだけ魔物が…」

あ、回収しとけばよかった。

「これ、剣で斬られてる…さっきまで誰かが戦っていた?でも、だとしたらどこへ?」

リーナはそう言って、周りを見渡した。そして何かを見つけたらしく、魔物の死体を避けながら足を進め始めた。

リーナが立ち止まったのは、ローブ男の死体の所だった。そこにかがみ込むと、リーナは、おもむろにローブを拾い上げた。

「このローブ…確かベルちゃんが誘拐された所にも残ってたわね…」

男が着ていたのは黒色のローブ。ベルが誘拐された所にいた奴らのローブも、黒色だった。でも、ギルディア魔国で見た奴らが着ていたのは茶色いローブ。組織が他にあるのか、はたまた階級みたいなものなのか…それも調査しないとね。

リーナは男のローブを回収し、ついでにその近くに落ちていた神器の破片も回収した。
本来なら、この破片も私が回収しなくちゃいけないんだけど…今更姿を現す訳にもいかないしね。まぁ悪用はしないだろう。そもそも使い物にすらならない。神が創りし物だからね。

「まったく…破壊された森の調査に来たら、魔物の大軍に遭遇するし…ついてないわね」

そんなことを吹きながら、リーナは辺りの調査を始めてしまった。うーん、どうしよう?

『とりあえず目的は達成…だと思うから、別にいいんじゃない?』

目的は神器の回収だったけど…その神器は壊れちゃったし、その破片もリーナが回収しちゃってるし。もういいかな?
そう思って空歩で去ろうとすると、リーナと

「さて、じゃあ話して貰おうかしら??」
「…っ!」

あらぁー?バレちゃった。なんで!?

「どうやって姿を消してるのかは分からないけど、気配で丸わかりよ」

あ。慌てすぎてて気配隠蔽すんの忘れてた…光学迷彩は姿を消すだけのスキルだからね…

「(はぁ…)」

私はもう逃げられないと思って、地面に降りつつ、光学迷彩を解除した。

「さぁ、話して貰えるかしら?」
「うっ!…なにを話せばいい?」

まぁどこまで話すかは私が決めるけどね。

「そうね…まずはなんでここにいるのかかしら?」

うーん…その質問は当然くるとは思ってたけど…答えにくい…

「言えない理由があるの?」

どうやって言おうかと考えていると、リーナが助け舟を出してくれた。

「…うん」
「それは私にも言えない?」
「それは…」

リーナを信用していない訳じゃない。でも、それでも簡単に言えることでは無い。

「…まぁいいわ。誰にだって一つや二つ隠し事があるもの」

なんか前にもそんなことを言われた気がする…

「…ありがと」
「いいのよ。でも、これだけは教えて欲しい。この魔物はフィリアちゃんが倒したの?」
「うん。そうだよ」
「そう…この魔物がどこから来たのかは知ってる?」

なんか誘導尋問みたいになってる…

「…知ってる。けど…」
「言えないのね?」

私は静かに頷いた。

「じゃあ質問を変えるわ。この魔物たちは、が関係しているの?」

そう言って男の死体を指さした。

「まぁ原因というか…元凶というか?」

元はと言えば、神器を落としたどっかの駄女神が原因だし。

ー駄女神って?!ー

うるさい。文句はミスを無くしてから言うんだね。

ーうっ!…ー

まったく…

「ということは、これは魔物に殺されたの?」
「ううん。私がやった」
「え!?フィリアちゃんが?!」

そこまで驚くことだろうか?まぁ人一人を殺してる訳ではあるけど、この世界では命は軽いから、そこまで気にすることではないと思うけど…

「どうして殺したの?生きてたら情報が手に入ったかもしれないのに…」

あ、なるほど。生きてたら尋問することが出来たのにってことか。

「私も殺したくは無かった。でも、あまりにも魔物が増えすぎて、躊躇してられなかった」

今更だけど、もし気絶させたとしても、魔物がローブ男を襲わないとは限らなかったしね。

「そうなの…とにかくオ・ハ・ナ・シは後で聞くわね?」
「は、はい…」

有無を言わせない笑顔…このリーナの笑顔はいつも苦手だ。

「ひとまず手伝ってくれる?この魔物達をどうにかしないと」
「分かった」

リーナと協力して、魔物の死体を集めていく。乱切りにしたので、オークなんかは買い取って貰えないだろうし、ゴブリンと一緒に燃やすことにした。魔物を詳しく見ていくと、魔石まで斬っちゃってた…素材が欲しいときは、あの武闘スキルは使わないほうがいいね。無事な魔石も集めておく。

リーナが魔法で穴を作り、その中に魔物を入れていく。でも、入り切らなかった。

「これはもうひとつ穴がいるかしら?」

結局、穴は合計10個作った。火魔法で燃やしていく。

「これでいいかしらね。じゃあ帰りましょうか」
「うん」

もう辺りは明るくなり始めていた。また寝不足だ…

「あ、そうそう。今日は学園に行かなくていいわよ」
「え!?なんで?」
「今日の話をしてもらわないとね?」

ま、まさか丸一日聞かれるの?それとも説教?

…どちらにしろ地獄だ。

「じゃあ転移で帰るわよ。ほら、手を繋いで」
「はーい…」

私はリーナと手を繋いで、屋敷へと転移した。








…………もう寝たい。







─────────────────────────────────────────────
最近忙しくなってきた影響で、更新を毎日ではなく、2日に1回、21時に切り替えたいと思います。
毎日更新を楽しみにして下さっていた方々には申し訳ありません…
これからもよろしくお願いします。
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