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第3章 王都 学園中等部生活編
第51話 宿での出来事
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アンニャちゃんと別れ、私たちは宿に戻ってきた。まだ日が落ちるまで時間があるんだけど、遅れてまた怒られたくないので、大人しく部屋にいることに。
「暇ですわ」
「まぁね...2人も帰ってきてないことだし、先にお風呂に入ってようか」
「そうですわね」
という訳でお風呂に向かった。大きなお風呂が1つあるだけなんだけど、それでも凄いんだよね。シャワーは火属性と水属性の魔石を利用して水を温めているので、しっかりとしたお湯が出る。これは普通の家庭にはないんだよね。
「ふぁぁ...気持ちぃぃ...」
これぞ日本人の贅沢...
「フィリアさん...そんなだらしない格好で...」
いやぁーこのお風呂結構深くてね、それに私の体軽いから、ぷかぷか浮けるんだよね。
「まぁフィリアちゃん、いつもこんなだし」
あー...もうこのまま溶けてもいい...
「フィリアさん?!顔真っ赤ですよ?!」
「ふぇ?あ、意識がぁ...」
「フィリアさん?!!」
ーーーーーーー
目を覚ましたら知らない天井でした。どこ?
「フィリアさん?!はぁ...よかったですわ」
なんかキャサリンがそんなこと言ってるけど...あ!そっか、お風呂で意識失ったんだっけ。
「あれ、ベルは?」
私が寝かされていたのは宿の部屋だった。見回してもベルの姿がない。
「起きて1番にそれですか...ベルさんはカトリーナ先生に報告に行きましたわ」
「報告?」
なんか報告する事あったっけ?
「あなたのことですわ!まったく、少しは自分の体の心配をしてくださいな!」
「うっ...ご、ごめん」
いやだってね?のぼせて意識失うなんて今までなかったし。
「あ、フィリアちゃん!起きたの?」
ベルが帰ってきた。
「うん。2人ともごめんね?心配かけて」
「ほんとにそうですわ!心臓が止まるかと思いましたわ!」
「そ、そこまで?」
「私は前にもそうなりかけたフィリアちゃんを見てるからあんまり驚かなかったけどねー」
前になりかけた...あ、マリアと話していた時かな?
「あーでもあれは話してたからじゃない?」
「それもあるけど、フィリアちゃん最近多いよ?」
「あれ?」
そんなはずは...
「そんな意識を失うってほどじゃないけど、最近すぐ顔が真っ赤になってボーってしてるんだよ?」
「そうなの?!」
やば!全然気が付かなかったよ...
「すこしは自分の体調くらい管理してくださいな!」
「は、は~い...」
おっかしいなぁ~...
「リーナ...カトリーナ先生はなにか言ってなかった?」
「あ、そうだった。それを言いに来たんだった」
おいおい。
「なんか近いうちに検査したほうがいいって」
「え?!病気かも知んないってこと?」
「それはわかんないって。そのための検査だって」
なんだろ...今更物凄く心配になってきたよ。
「ただいまぁー」
「ただいま」
そんな話をしている内にペトラちゃんとミシャちゃんが帰ってきた。
「おかえり」
「おかえりー」
「おかえりなさいですわ」
2人は何をしていたのだろうか?学園案内だけだったらこんなに遅くないよね。
「2人は何してたの?」
「あ、ご飯食べてたの。ね?」
「うん、そう」
ペトラちゃんがミシャちゃんに同意を求めるけど、ミシャちゃんは素っ気なく答えた。視線は私。私なにかしたかなぁ?
「どこ食べに行ったの?」
私が色々と原因を考えていると、ベルが2人にそう質問した。
「いっぷく亭っていうお店だよ!食べたことない料理があって、とっても美味しかったの!」
うん?いっぷく亭って...
「あら?奇遇ですわね。わたくしたちも昨日そのお店に行ったのですわ」
やっぱそうだよね。
「そうだったんだ!同じだねー」
「.........」
ペトラちゃんはいっぱい話してくれるのだけど、ミシャちゃんは私を睨んだままで、全然話そうとしない。物凄ーく気まずい。
「ミシャさんはどうしましたの?」
「...ちょっとね。フィリアさん、お話があるの」
お!?いきなり話しかけられた。
「なになに?」
「...私と本気で戦って欲しいの」
......はい?
「なぜ?」
「フィリアさん、いっつも手を抜いてるでしょ」
あー...確かにそうなんだけど...
「うーん...私自身も本気でやりたいのは山々なんだけど...」
「けど?」
...これ、言っていいのかな?
「...カトリーナ先生から、本気でやるなって言われてるんだよ」
そうなんだよねぇ...リーナから何度もそう言われてるんだよね。設備が壊れるからって。そんなことない...と思うんだけどなぁ。確信はない。
「...なんで?」
「なんでって...」
「私はそうやって手を抜いている人が1番嫌なの!」
あ、そうか...今まで睨んでたのって私に対する不満だった訳だ...だからミシャちゃんを褒めてもミシャちゃんはお世辞だって思ったわけか。本心だったんだけどなぁー。
「...ごめんね。分かった。また今度、本気で戦おう?」
「うん。そのこと忘れないでね」
「もちろん!」
やれやれ。...リーナに許可取らないで了承したけど、大丈夫だよね?!後で話しとこ。
「まさかあれで手を抜いていたなんて...驚きですわ」
あれっていうのは多分魔法の授業のことだと思う。闘技場の壁をぶち抜いちゃったんだよねー...
「さすがフィリアちゃん!」
うん、ベルはいつまでもそのままでいてね。
「じゃあ私たちはお風呂行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
2人は着替えとかを持って部屋を出ていった。
「で、話は変わりますけど...」
キャサリンが話し始めた。
「うん?なになに?」
「お2人は、好きな人がいますの?」
きたー!女子会トーク!
「なに1人で喜んでるのですか?」
「あ!なんでもない!」
好きな人かぁ~...
「私はいないかなぁ」
「あんなにもモテモテなのにですか?」
いや、モテモテって...
「フィリアちゃんはそういうことにあんまり興味ないもんね」
ベル、地味にそれは傷つく...私だって恋愛感情くらいあるよ?!
「そういうベルはどうなの?」
「私?私は...うーん、いないかな」
なんか間が空いたね。
「なんか怪しい」
「そ、そんなことないよ?!」
ますます怪しい...まぁそんなことで読心眼を使うつもりはないけどね。プライベートは守らないとね。
「じゃ、キャサリンは?」
「わたくしはわたくしの意思なんて関係ありませんわ...」
「え?」
どいうこと?
「わたくしは公爵家令嬢ですわよ?政略結婚ですわ」
うわぁー...貴族ってめんどー...
「それで納得してるの?」
「納得もなにも、それがわたくしの役目ですから」
役目...。
「そんな悲しそうな顔をしないでくださいませ。フィリアさんが悲しむことなんてありませんわ」
「だけど...」
「だからこそ、この時間を大切にしたいのですわ」
そう言って、キャサリンは少し悲しそうな、10歳の子供がするような表情ではない顔をした。それが貴族というものだから。子供であるからこそ、まだその役目から目を背けられる。だから、この一瞬、一瞬を大切にしたいんだろう。
「...分かった」
そう言って私は笑顔を向けた。少しでも、思い出がよりよいものになるように。
「これからも、素敵な思い出をいっぱい作ろ!」
「はいですわ!」
やっぱりキャサリンは笑顔が1番だね。
「私もー!」
「ふふふっ。そうだね」
さて、気配からして2人が帰ってきたみたいだね。
「ただいまー」
「ただいま」
心なしかミシャちゃんの表情が明るくなってる...気がする。
「ねね、2人は好きな人いるの?」
ベルが入ってきてそうそう2人に聞いた。そんなに気になるのかなぁ?
「好きな人?いるよ」
「え?!誰?」
「うーん...優しくて心強い人」
まぁ名前は教えてくれないよね。男の子の名前はよく知らないから聞いてもわかんないんだけどね。
「私はいない...けど、理想はある」
「なに?」
「私より強い人」
「それは...」
無理じゃない?ミシャちゃん自身、かなり強いよ?
「...ま、まぁ理想を持つことはいい事ですわ!」
キャサリン、それしか言うこと思いつかなかったな。ま、私も思いつかないんだけどね。
「と、とりあえず、もう寝ようか」
「そうですわね」
「うん!」
「そうだねー」
「うん」
なんだかんだで女子会?は幕を閉じた。
...だが、問題は裏で着実に進んでいた。
「ハハハッ!これで...これでこの世界は...!!」
森で叫ぶローブ姿の男の叫び声は、夜の闇に溶け、誰の耳にも届かなかった...。
「これはお姉ちゃんに行ってもらわないと!」
...ただ1人を除いて。
「暇ですわ」
「まぁね...2人も帰ってきてないことだし、先にお風呂に入ってようか」
「そうですわね」
という訳でお風呂に向かった。大きなお風呂が1つあるだけなんだけど、それでも凄いんだよね。シャワーは火属性と水属性の魔石を利用して水を温めているので、しっかりとしたお湯が出る。これは普通の家庭にはないんだよね。
「ふぁぁ...気持ちぃぃ...」
これぞ日本人の贅沢...
「フィリアさん...そんなだらしない格好で...」
いやぁーこのお風呂結構深くてね、それに私の体軽いから、ぷかぷか浮けるんだよね。
「まぁフィリアちゃん、いつもこんなだし」
あー...もうこのまま溶けてもいい...
「フィリアさん?!顔真っ赤ですよ?!」
「ふぇ?あ、意識がぁ...」
「フィリアさん?!!」
ーーーーーーー
目を覚ましたら知らない天井でした。どこ?
「フィリアさん?!はぁ...よかったですわ」
なんかキャサリンがそんなこと言ってるけど...あ!そっか、お風呂で意識失ったんだっけ。
「あれ、ベルは?」
私が寝かされていたのは宿の部屋だった。見回してもベルの姿がない。
「起きて1番にそれですか...ベルさんはカトリーナ先生に報告に行きましたわ」
「報告?」
なんか報告する事あったっけ?
「あなたのことですわ!まったく、少しは自分の体の心配をしてくださいな!」
「うっ...ご、ごめん」
いやだってね?のぼせて意識失うなんて今までなかったし。
「あ、フィリアちゃん!起きたの?」
ベルが帰ってきた。
「うん。2人ともごめんね?心配かけて」
「ほんとにそうですわ!心臓が止まるかと思いましたわ!」
「そ、そこまで?」
「私は前にもそうなりかけたフィリアちゃんを見てるからあんまり驚かなかったけどねー」
前になりかけた...あ、マリアと話していた時かな?
「あーでもあれは話してたからじゃない?」
「それもあるけど、フィリアちゃん最近多いよ?」
「あれ?」
そんなはずは...
「そんな意識を失うってほどじゃないけど、最近すぐ顔が真っ赤になってボーってしてるんだよ?」
「そうなの?!」
やば!全然気が付かなかったよ...
「すこしは自分の体調くらい管理してくださいな!」
「は、は~い...」
おっかしいなぁ~...
「リーナ...カトリーナ先生はなにか言ってなかった?」
「あ、そうだった。それを言いに来たんだった」
おいおい。
「なんか近いうちに検査したほうがいいって」
「え?!病気かも知んないってこと?」
「それはわかんないって。そのための検査だって」
なんだろ...今更物凄く心配になってきたよ。
「ただいまぁー」
「ただいま」
そんな話をしている内にペトラちゃんとミシャちゃんが帰ってきた。
「おかえり」
「おかえりー」
「おかえりなさいですわ」
2人は何をしていたのだろうか?学園案内だけだったらこんなに遅くないよね。
「2人は何してたの?」
「あ、ご飯食べてたの。ね?」
「うん、そう」
ペトラちゃんがミシャちゃんに同意を求めるけど、ミシャちゃんは素っ気なく答えた。視線は私。私なにかしたかなぁ?
「どこ食べに行ったの?」
私が色々と原因を考えていると、ベルが2人にそう質問した。
「いっぷく亭っていうお店だよ!食べたことない料理があって、とっても美味しかったの!」
うん?いっぷく亭って...
「あら?奇遇ですわね。わたくしたちも昨日そのお店に行ったのですわ」
やっぱそうだよね。
「そうだったんだ!同じだねー」
「.........」
ペトラちゃんはいっぱい話してくれるのだけど、ミシャちゃんは私を睨んだままで、全然話そうとしない。物凄ーく気まずい。
「ミシャさんはどうしましたの?」
「...ちょっとね。フィリアさん、お話があるの」
お!?いきなり話しかけられた。
「なになに?」
「...私と本気で戦って欲しいの」
......はい?
「なぜ?」
「フィリアさん、いっつも手を抜いてるでしょ」
あー...確かにそうなんだけど...
「うーん...私自身も本気でやりたいのは山々なんだけど...」
「けど?」
...これ、言っていいのかな?
「...カトリーナ先生から、本気でやるなって言われてるんだよ」
そうなんだよねぇ...リーナから何度もそう言われてるんだよね。設備が壊れるからって。そんなことない...と思うんだけどなぁ。確信はない。
「...なんで?」
「なんでって...」
「私はそうやって手を抜いている人が1番嫌なの!」
あ、そうか...今まで睨んでたのって私に対する不満だった訳だ...だからミシャちゃんを褒めてもミシャちゃんはお世辞だって思ったわけか。本心だったんだけどなぁー。
「...ごめんね。分かった。また今度、本気で戦おう?」
「うん。そのこと忘れないでね」
「もちろん!」
やれやれ。...リーナに許可取らないで了承したけど、大丈夫だよね?!後で話しとこ。
「まさかあれで手を抜いていたなんて...驚きですわ」
あれっていうのは多分魔法の授業のことだと思う。闘技場の壁をぶち抜いちゃったんだよねー...
「さすがフィリアちゃん!」
うん、ベルはいつまでもそのままでいてね。
「じゃあ私たちはお風呂行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
2人は着替えとかを持って部屋を出ていった。
「で、話は変わりますけど...」
キャサリンが話し始めた。
「うん?なになに?」
「お2人は、好きな人がいますの?」
きたー!女子会トーク!
「なに1人で喜んでるのですか?」
「あ!なんでもない!」
好きな人かぁ~...
「私はいないかなぁ」
「あんなにもモテモテなのにですか?」
いや、モテモテって...
「フィリアちゃんはそういうことにあんまり興味ないもんね」
ベル、地味にそれは傷つく...私だって恋愛感情くらいあるよ?!
「そういうベルはどうなの?」
「私?私は...うーん、いないかな」
なんか間が空いたね。
「なんか怪しい」
「そ、そんなことないよ?!」
ますます怪しい...まぁそんなことで読心眼を使うつもりはないけどね。プライベートは守らないとね。
「じゃ、キャサリンは?」
「わたくしはわたくしの意思なんて関係ありませんわ...」
「え?」
どいうこと?
「わたくしは公爵家令嬢ですわよ?政略結婚ですわ」
うわぁー...貴族ってめんどー...
「それで納得してるの?」
「納得もなにも、それがわたくしの役目ですから」
役目...。
「そんな悲しそうな顔をしないでくださいませ。フィリアさんが悲しむことなんてありませんわ」
「だけど...」
「だからこそ、この時間を大切にしたいのですわ」
そう言って、キャサリンは少し悲しそうな、10歳の子供がするような表情ではない顔をした。それが貴族というものだから。子供であるからこそ、まだその役目から目を背けられる。だから、この一瞬、一瞬を大切にしたいんだろう。
「...分かった」
そう言って私は笑顔を向けた。少しでも、思い出がよりよいものになるように。
「これからも、素敵な思い出をいっぱい作ろ!」
「はいですわ!」
やっぱりキャサリンは笑顔が1番だね。
「私もー!」
「ふふふっ。そうだね」
さて、気配からして2人が帰ってきたみたいだね。
「ただいまー」
「ただいま」
心なしかミシャちゃんの表情が明るくなってる...気がする。
「ねね、2人は好きな人いるの?」
ベルが入ってきてそうそう2人に聞いた。そんなに気になるのかなぁ?
「好きな人?いるよ」
「え?!誰?」
「うーん...優しくて心強い人」
まぁ名前は教えてくれないよね。男の子の名前はよく知らないから聞いてもわかんないんだけどね。
「私はいない...けど、理想はある」
「なに?」
「私より強い人」
「それは...」
無理じゃない?ミシャちゃん自身、かなり強いよ?
「...ま、まぁ理想を持つことはいい事ですわ!」
キャサリン、それしか言うこと思いつかなかったな。ま、私も思いつかないんだけどね。
「と、とりあえず、もう寝ようか」
「そうですわね」
「うん!」
「そうだねー」
「うん」
なんだかんだで女子会?は幕を閉じた。
...だが、問題は裏で着実に進んでいた。
「ハハハッ!これで...これでこの世界は...!!」
森で叫ぶローブ姿の男の叫び声は、夜の闇に溶け、誰の耳にも届かなかった...。
「これはお姉ちゃんに行ってもらわないと!」
...ただ1人を除いて。
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