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第3章 王都 学園中等部生活編

第43話 いざ、校外学習へ

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買い物に行ってからしばらく経って、いよいよ今日、トルメヤ大陸に出発する。

あれから2人に謝ったんだけど、

「...それは申し訳ございませんでしたわ」
「ごめんね?」

とさらに傷を抉られたのは言うまでもないだろう...ちくしょう!

「では点呼を取りま~す。全員いますねー?」

今日のリーナは先生の口調だ。リーナは昔からこの喋り方が嫌いだったらしく、自分のクラスだけの授業の時はいつもの口調になるらしい。

「楽しみですわね!」
「そうだね」
「うん!」
「では着いてきてくださーい」

リーナ...じゃなくて、カトリーナ先生の後をついて行く。しばらくいつもの学園の風景が続いたと思ったら、カトリーナ先生が重そうな扉の前で止まった。

「これから地下に降りますが、もし怖くなったら近くの先生に言うんですよ?」

そう言いながら扉に手を触れて、魔力を流していた。どうやらそれでロックが解除できるらしい。

ガチャという音とともに重そうな扉が開いた。

「でははぐれないように着いてきてくださいね」

はぐれるってどうやって?と思ったけど、口には出さない。
扉の向こうには階段があった。どことなくあのベルが誘拐されていた地下に似ている。暗いけど、所々に明かりの魔道具があるため、踏み外すことは無いと思う。


「かなり降りるね...」
「当然なのでは?転移門はとても貴重なものですから」

とは言ってもだよ?もう300段は降りた気がする。

「着きましたよー」

お、とうとう着いたみたい。階段が終わって、部屋に入った。そこには石?でできたアーチみたいなのがあった。

「これが転移門です。順番に並んで入ってください」

アーチの中は、様々な色の光を放つ壁のようになっていた。最初の人が恐る恐る腕を前に出しながら、進んでいく。

「うわぁ!」

手を入れた瞬間まるで吸い込まれるようにして、消えていった。

「はい、別に痛くもないから、どんどん行ってー」

ってカトリーナ先生が言ってるけど、さすがにあれを見たあとでは中々怖いよね。かと言って進まないと他の人が行けないから、仕方なく先生に押される形で、どんどん入っていく。

「いよいよですわね」
「そうだね」

いよいよ私たちの番がきた。安全とは分かっていても、目の前にすると中々怖いね...

「いこ!」
「あ!ちょ!」

ベルは早く行きたくて仕方がなかったらしく、いつものように手を引かれて転移門に滑り込んだ。

「うぅぅ...」

思わず閉じていた目を開けると、そこはさっきまでいた部屋と似ているけど、少し違う所だった。

「こっちにきてくださーい」

別の先生がもう既に待っていたので、その先生の指示に従って、進んでいった。

「うわぁ...」

また階段です。今度は上り。

「これは...きついですわね...」

流石にキャサリンも顔が引きつっている。

「早くいこ!」

...ベルだけが楽しそう。まぁ身体強化すればさほどキツくはないんだけどね。

「はぁー...着いたー」

とはいえ疲れるものは疲れる。上に上がると、大分人が集まっていた。

「全員来るまで待機ですよー」

とまた別の先生が叫んでいる。転移門に入っていく順番はSからなので、私たちはあとA.B.Cと待たなくちゃいけない。

「まだ待つのか...」
「こればかりは仕方ありませんわ」

まぁそうだね。その間に今いる校舎?を見ておこう。アルバート学園は白を基調としたシンプルなデザインで、それでいてキャサリンのような貴族から文句を言われないように洗練された感じになっている。私的にはそこがとても気に入っている。そして今いる学園?は黒を基調としていて、赤色の絨毯が敷いてある。なんというか重厚感がある、立派なデザイン。こっちもゴテゴテしてる感じがないから、結構好みかな。


「はーい。全員いますね?」

おっと。デザインを眺めていたらもう全員が集まったようだ。

「ではこれからこの"シュラーク学園"の先生と生徒に挨拶しにいくので、着いてきてくださーい」

なるほど。この学園はシュラーク学園というらしい。で、最初に挨拶するのね。今回の校外学習は2泊3日だ。泊まるのは宿だけど、体験授業とかはこっちの生徒と一緒にやると聞いているから、多分そのための挨拶だろう。

カトリーナ先生について行くこと数分、アルバート学園にもあるような闘技場に着いた。どこにでもあるのね...

「はーい、整列して下さーい」

中に入るともう既にこの学園の生徒?が整列して待っていた。カトリーナ先生に言われた通り、私たちも整列をして向かい合うと、向こうから男の人が出てきた。頭から角が2本生えてるから魔族の中でも魔鬼族まきぞくかな。

「アルバート学園の生徒諸君!初めましてかな。このシュラーク学園の学園長をしている"ドノバン"だ。君たちの学園長、レビンとは知り合いでね、気軽に接してくれて構わない。こちらの学園生徒とも仲良くしてくれ。これから3日間、よろしく頼む」

と挨拶してきたんだけど...レビンさんの知り合いとな?それってもしかして...

(おい、ドノバンってもしかして...)
(ああ、間違いない。あの六大英雄だ!)
(マジか!あとでサイン貰おうぜ!)

という会話が聞こえてきたわ...デジャブ?じゃなくて!やっぱり6大英雄なのね...てことはあと1人いるはずだけど、教えてくれないんだよね...

「はーい、じゃあこれから泊まる予定の宿まで行ってから自由時間になりまーす。はぐれないように着いてきてくださーい」

ほんとに顔合わせだけなんだね。なんかドノバンさんと目が合った気がするけど、気のせいだよね!

その後ぞろぞろと学園を後にして、宿に向かった。着いたのははとても立派なでかい宿だった。これも黒を基調としているみたい。そういう風習みたいなのがあるのだろうか?

「では班長はこっちにきて鍵を受け取ってくださーい」

班長は事前に決めてある。同じ部屋に班長が2人いて、揉め事になるのを防ぐため、ちゃんと一部屋に1人の班長がいるようにしている。その影響で1部数がバラバラになっているけどね。ちなみに私たちの班長はキャサリンだ。まぁ必然と言えば必然。

鍵を受け取り、部屋に向かう。部屋は5人部屋で、ベットが5つあった。その他テーブルなどがあったけど、すこし小さめ。トイレはあるけど、お風呂は共同の大浴場らしい。大浴場は掃除が大変だから普通お金持ちしか付けない。それだけでこの宿がどれほどのランクなのかが分かるね。

私たちは3人班なので、あと2人は別の班だ。名前は確かペトラと"ミシャ"だったかな。この3年で話す人はかなり増えていたんだけど、この2人とはあまり接点がない。

「えっと...初めまして?ペトラって言います。仲良くして下さい!」
「私はミシャよ。よろしく」

...挨拶で2人の性格の違いが分かる。ペトラは成績が良くて明るくて可愛い。青色の髪に同じく青色の瞳。キャサリンと同じだね。ミシャは成績が学年で3位。ちなみに1位は不本意ながら私、2位はキャサリンなんだよね。銀髪で瞳の色は翡翠色。その影響で魔法が得意。そして私をライバル視している。今も視線をヒシヒシと感じる...気まずい。
私自身はミシャのほうが凄いと思ってる。単略詠唱なんだけどキャサリンより速いし、魔法だって自分オリジナルの魔法をいくつも持っている。でもその事を褒めると余計にライバル視される。悪気はないんだけどなぁー...。

「ではこれから自由時間ですわね」

確かカトリーナ先生がそんなことを言ってたっけ?今はお昼前だからかなり時間があるね。

「ミシャさんとペトラさんはそちらの班員と合流するのですか?」
「うん」
「ええ」
「では一旦お別れですわね」

2人に、またあとで、と断ってから私たちは街へ繰り出した。まずはお昼かな?








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