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第2章 王都 学園初等部生活編

第37話 身体検査

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闘技場に着くと、もう既にほぼ全員が集まっていた。

「もう、なにしてたの?!」
「「「ごめんなさい...」」」

うぅぅ...初めての授業で遅れるなんて...。

「まぁいいでしょう。さて、これから皆さんには身長や体重、魔力量、体力などを測ってもらいます!」

なるほど。魔力量とかがあるのか。でもどうやって測るんだろう?

「女子は身長から、男子は体重からです。魔力量は最後に全員で順番に測っていきますよー」

と言われたので、まず身長をはかるために列に並ぶ。どうやら身長を測るのは前世でよく見たやつ。

「はい、キャサリンちゃんは125センチだね」

キャサリンは私たちのなかでもかなり高い方だと思う。

...それに比べて私は...

「...フィリアちゃんは...うん、まぁその内伸びるわよ!」

あんまり傷を抉らないで欲しい。

「フィリアさんはどの位でしたの?」

くっ!よりによってキャサリンから聞かれた...

「......110センチ」
「あ、いえ、その...ごめんなさい」

くそう...みんなで傷を抉らないで?!

「私は120センチだったよ!」
「..................よかったね」

うぅぅ...私だって伸びるんだい!

「ほら、フィリアちゃんもそんな不貞腐れない。早く体重の所に並びなさい」
「...はい」

うぅぅ...リーナまで冷たい...。

「はい、フィリアちゃんは...18キロね...もう少し食べた方がいいんじゃない?」

私だって食べてるんだよ?ただ、ベルの半分くらいだけど。この世界の人全員大食いだと思う。

「はい、じゃあみんなー。魔力量を測定するよー」

あ、いよいよだ。どうやら魔力量は水晶で測るみたい。触れたら水晶が光って、その光の強さで魔力量がわかるらしい。強いほど多いみたいだね。

「あ、フィリアちゃんはこっちね」
「?はい」

何故か私だけ違う所に連れていかれた。

「フィリアちゃん、結界張れる?」
「うん」
「じゃあみんなにバレないように防音の結界を張れる?」
「うん......はい、張ったよ」

実は言われる前から張っていたのは内緒。

「ねぇ、フィリアちゃん?あなた魔力量どれくらいある?」
「え?それをいまから測るんじゃないの?」

そのための検査だよね?

「...あなたはマリアの子でしょう?あの子ね、昔この検査を受けた時に水晶を破壊したのよ」
「え?!」

ちょっとそれどういうこと?!え、てかあの子?え?その時から先生してたの?確かにエルフだからその可能性もあるけど...

「あ、私がなんでそんなこと知っているか気になってる?」
「う、うん」
「私はね?この学園創立当時から教師をしてるのよ」
「えぇ?!」

てことは一体何歳?...いや、聞かない方がいいね。無言の圧を感じるから。

「で、マリアの子供であるあなたなら、有り得る話でしょう?」
「う、うん」

そういえば最近ステータスを確認してないもんねー。分からんや。

「ママはその時どれくらいの魔力量だったの?」
「そうね...確か1000ちょっとだったはずよ」

.........うん。超してるわ。それも5歳の時に。

「...超えてる」
「...っ!そう...やっぱりそうなのね。でもそれだったらどうしましょうか?」
「うーん...」

それなんだよねぇー...

「...まぁやる?」
「えぇぇ...」

この会話の意味?!

「...あ!よし!犯罪を調べる水晶にすり替えましょう!」
「は?!」

え、なにそれ?てかそんなこと可能なの?

「光の色は同じだからバレないはずよ!」
「え、あ、うん...もう...それでいいや」

もうバレないためならなんでもいいや。

「じゃ、最後尾に並んでね」
「はーい」

私は結界を解除して列の最後尾に並んだ。

「あ!フィリアちゃん!」

ベルはもう終わったみたいで、こっちに走ってきた。

「なんで呼ばれたの?」
「うん?うーんと...」

どうしよ?

「...できるかぎりやらかすなって」

まぁ遠回しに合ってる...と思う。

「うん、そうだね!」

いや、否定して欲しかったな?そこは?

それからしばらくして私の番が来た。

「あ、ちょっと待ってね」

結構堂々と変えたね...。

「はい、いいよ!」
「う...はい」

うんって言っちゃうところだった。

私はその交換した水晶に触れた。すると水晶が光り

「え?!」

水晶が割れるまではいかなかったみたいだけど...

「...凄いわね...この水晶でここまで輝くとはね...」
「(だ、大丈夫なの?)」

私はリーナに小声で聞いてみた。

「(え、ええ。かなり光ったけど、本物でここまで光った人は居たから心配ない...はずよ)」

なんか最後のほう聞こえなかったけど、大丈夫なんだよね?!

「フィリアちゃん!凄いよ!」
「う、うん...ありがと...」

ベルは平常運転だねぇ。

「さ、さぁ次は体力テストよ!」

リーナまで動揺してるよ。がんばー。

体力テスト。それは懸垂とか、50メートル走とかだね。

「はーい。男子はまず50メートル走ね。女子は懸垂からね」
「「「「はーい」」」」

懸垂なんだけど...台に乗っても届かなかった。

「ふみゅぅ...」
「...フィリアちゃん?大丈夫?」

...そういうならリーナも助けてよ?!なんでそこで笑いをこらえてるの?!

結局魔法で脚力を強化して、ジャンプして掴まった。体力はあまりある方ではないし、魔法で強化して注目を引きたくないので、そのままの力でやった。

結果...3回。悔しくなんてないんだからね!

ちなみにベルは5回、キャサリンは魔法で強化して8回だった。

さて、次は50メートル走だね。体力はまだあるけど、本気を出すつもりはない。なのでこれもそのままの力でやった。

結果...8秒。これは...よかったのか?

ベルは7秒、キャサリンは8秒だった。2人とも身体強化使ってたけどね。

「はーい。これで身体検査は終わりなので、教室に戻って着替えてくださーい」

リーナがそう言ったので、私たちは闘技場を出て、教室に戻った。もちろん、不可視の結界を張っていた。この心配、実は杞憂ではなく、実際見られていたりした。その子には雷の魔法を大事な所にこっそり撃ち込んでおいた。悶絶してるけど、私は知らない。

その後明日についての連絡の後、帰った。とりあえず今日は疲れたので、一直線に屋敷に戻り、ちゃちゃっとお風呂と食事を済ませて、眠りについた。













...実は犯罪を調べる水晶がそんなに光ったのは、フィリアの職業が女神の使徒だったことに関係しているのだが、その事に気づいた人はだれもいなかった...


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