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第2章 王都 学園初等部生活編

第34話 入学式

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「おりゃぁぁぁ!」

クギャャャャャ!!

私は今森にいる。合格発表からはや3日が過ぎていた。入学式は明日だ。


...で、私はそこでスピーチをしなきゃならない。

「やりたくないって!」

グギィィィィ!!

という訳で八つ当たりである。

「フィリアちゃーん。そろそろ諦めよ?」
「うぅぅ...」

私たちは今ランクアップのための依頼を受けているところ。

「もう終わってるんだけどねー」

そう、もう既に依頼であるゴブリンの討伐は完了している。

「これで128体目だよ...もうやめよ?」

ゴブリンジェネラルがいた影響でゴブリンが大量にいたので、つい狩りすぎた。ちなみにあれからゴブリンキングなどの目撃情報などはない。

「やだっ!」
「もうフィリアちゃん!付き合う身にもなって?!」
「うぅぅ...」

もうかれこれ3時間は狩り続けている。

「私も一緒にかんがえるから、ね?」
「......分かった」

私は渋々依頼を終えた。

「おや、遅かったね」
「うん、フィリアちゃんが狩りすぎたから」
「狩りすぎたって...一体何体狩ったんだい?」
「ほら、フィリアちゃん」

え、私が言うの?!

「......128体」
「は?!」

うん、驚くよね。だって依頼は10体なんだもん。

「...なにかあったのかい?」
「フィリアちゃんが入学式でスピーチするんだけど、それをどうしてもしたくないんだって」
「は?!そんなことかい?」

コク

「はぁぁ...まったく、とんでもない子だね...たったそれだけだろう?潔く諦めな」
「うぅぅ...」
「ほら、フィリアちゃん。魔石出して帰ろ?」
「...うん」

私はアイテムボックスから魔石を128個出した。

「本当にそんなに狩ってきたんだね...鑑定には時間がかかりそうだねぇ」
「じゃあ明日取りに来るよ」
「ああ...それでサボるんじゃないよ?」
「うっ!...」
「サボる気だったんだ...」

うぅぅ...だってねぇ?前世でも嫌だったのに...

「じゃ明日またね」
「あいよ、頑張んな」
「...はい...」

はぁぁ...諦めるしかないか。

私たちはその後寄り道せずに屋敷に帰った。

「あら?おかえりなさい。どう?原稿は浮かんだ?」
「全然」

そもそも考えてすらない。

「じゃあ今から頑張らないと」
「...やりたくない...」
「諦めなさい」
「そうだよ!一緒にがんばろ?」
「うぅぅ...ベルぅぅ...」
「あ、ちょ!泣かないで!」

私は思わず涙目でベルに抱きついた。

「ほらほら、泣いても原稿はできないわよ」

...もうちょっと心配とかしてくんないの?

「ほらフィリアちゃん。お部屋にいこ?」
「うん...」

それから原稿を朝までかかって仕上げた。ていうかベルに手伝って貰わなくても良かったかも。だって

「はじめましてフィリアです。好きなことは...」
「ちょっと持ったーーー!」
「ふぇ?!だめ?」
「どう考えてもだめでしょうが!」

とまあ教室でする自己紹介みたいな文になっちゃう訳。結局私がほとんどやった。てか全部やった。

「出来た...」
「ZZZ...」
「...ずるい」

私ももう寝よう。私はベルと同じベットに潜り込むとそのまま意識を手放した。


◇◆◇◆◇◆◇◆

次の日、晴天です。いやぁーこんな日はピクニックとかいいですねー。

「こら、現実逃避しない」

うぅぅ...やっと来てしまいました、入学式。やだよー帰りたいよー。

「帰るってどこに?」
「村」
「だめ」
「はぁぁー...」
「諦めなさい。原稿も書いたんだから大丈夫よ」

いや、書いたからって本番はないよ?丸暗記だよ?むりだよ?

「ほら、早く朝ごはん食べないと遅れるわよ」
「「はーい」...」

私たちはいつも通り朝ごはんを食べて乗り合い馬車に乗り、学園に行った。

「うわぁー!」

そこには合格した人やその親でごった返していた。

「そういえばパパとママは来るのだろうか?」

流石に英雄だからこれないかな?ていうか来ない方が緊張しないで済むけど。

「はーい。生徒の皆さんはこっちで出席をとってくださーい」

またまたあの受付の人が叫んでる。

「行こっか」
「うん!フィリアちゃん頑張って!」
「善処します...」

私たちは受付で出席をとると、席に案内された。ベルとは隣にはなれなかった。

「はじめましてですわ!」
「う、うん。はじめまして」

なんかお嬢様が隣に来たんだけど...

「あなた闘技場で一緒に試験受けた方ですわよね?」
「え?!」

会ったっけ?

「うーん...あ!あの単略詠唱の」
「なんか覚え方があれですけど...まぁいいですわ!これからよろしくお願いしますわ!」
「う、うん。よろしく?」
「何故疑問なのですか?!」
「なんとなく?」

まぁ何はともあれ仲良くしてくれるのならありがたいかな?

「ではただいまより、アルバート学園入学式を始めます」

お、どうやら始まるみたい。声がよく響いてるのはマイクみたいな魔道具のおかげかな?

「では初めに国王様より祝辞を賜りましたので、代読させていただきます」

へー。国王様そんなこともしてくれるのね。要約したら勉強頑張れだった。

「続きまして学園長より祝辞を述べていただきます」

お、レビンさんだ。

「おはよう!私が学園長のレビンだ。ここに来た人皆が楽しい学園生活を送れることを切に願っている。この学園は歴史こそ古いがまだまだ未熟だ。ここにいる皆でこの学園をより良いものにしていって欲しい。私からは以上だ」

おおー、堂々としてるね。私もあんな風にできるかな?

「次に今回の入学試験の首席、フィリアさんより入学生代表挨拶をして頂きます。ではフィリアさん。ステージまで来てください」
「は、はい!」

うぅぅ...いよいよだよー。逃げたい...

「頑張ってくださいまし!」
「う、うん...」

ふぅぅー。落ち着け、深呼吸だ。

「頑張れよ、フィリア」
「はい...」

私はステージに上がった。ざっと300人くらいの視線が集まる。

「...皆さん、はじめまして。ただいまご紹介にあずかりましたフィリアです。私は学園長もおっしゃったように、この学園を、ここにいる生徒全員でよりよくしていきたいと思っています。先生方、これからたくさんのご迷惑、ご心配をおかけすると思いますが、これからよろしくお願いします。生徒の皆さんも、お互いを高め合い、仲間として、共に成長していきましょう。これで私からは以上です」

ふぅぅー...言い切ったぞ!私は急いでステージから降りた。

「良かったぞ!」
「あ、ありがとう...ございます」

急いで自分の席に戻った。

「流石ですわ!」

どこが流石なのだろうか。この人の感受性が分からない。

「これで入学式を終わります。生徒の皆さんはその場で待機していてください。保護者の方々はご退場をお願いします」

さて、次はクラス発表だ!



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