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第2章 王都 学園初等部生活編
第22話 盗賊の運び方
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盗賊の襲撃から3日ほどがたった。なぜ予定の5日より遅れているかというと、盗賊を捕虜にしてロープで馬車に繋ぎ、歩かせているからだ。なぜわざわざそんなことをするのかというと...
「こいつらは最近王都周辺を騒がせていたやつらなんだよ」
とのこと。確かに索敵阻害の魔道具を持っていた時点で普通の盗賊じゃないかなとは思ってた。
そして遅れている理由は歩かせていることにある。
「なんで俺たちが歩かないといけねぇんだよ!」
とまぁこんな風に反抗して足を止めるもんだから全然進まないんだよね。
「オラ!さっさと歩け!」
そうシャガルさんに言われても歩こうとしない。確か昔こういう人達がいるから編み出された紐の結び方があったような...
「検索してみよ」
という訳で祝福ギフトの検索を使う。地球の情報を見れるのは有難いよね。
「あ、あったあった」
私はその結び方を見ながら、シャガルさんに貰った余ったロープをその通りに結んでいく。
「できた!」
「フィリアちゃん?なに作ってるの?」
ずっと作業を不思議そうな顔で見ていたベルが話しかけてきた。
「これはねーこういう行為をする人達を大人しく歩かせるためのものなんだよ」
まぁ上手くいくかは分からないけどね。とりあえずシャガルさんに頼んで着けて貰おう。
「シャガルさーん。これ盗賊の首につけてくれます?」
「うん?構わんが、なんだ、これ?」
「後で分かるよー」
シャガルさんたちは不思議そうな顔をしながら、盗賊たちの首につけていく。そして、私はそのロープの端を馬車に括り付ける。
「じゃあこのまま進もう?」
「だが、盗賊たちが歩かないぞ?」
「大丈夫。嫌でもついて行きたくなるから」
「?」
シャガルさんは不思議そうな顔をしながらも、馬車を走らせてくれた。すると...
「ギャャャャャ!苦しい!苦しい!」
「た、頼む!やめてくれー!」
わぁー阿鼻叫喚。私が作ったやつは、ついて行かないとどんどん首が締まるという結び方だ。
「お、おう...どうしたんだ?」
「これはね、ちゃんとついて行かないと首が締まっちゃうの」
「なっ!...こんな結び方どこで?」
「シャガルさん?世の中聞かない方がいいこともあるんだよ?」
「お、おう...」
なんか引かれたと思うけど気にしないでおこう。
「おら!ちゃんと歩かないと死ぬぞ!」
それから盗賊はさっきとは打って変わって大人しく着いてくるようになった。
「ねぇねぇ、フィリアちゃん?」
「うん?どうしたんですか?」
話しかけてきたのはミーナさんだ。
「さっきの結び方、教えてくれない?」
「え、別にいいですけど...」
「ありがとう!」
「うぉ!」
いきなり抱きつかれた。そんなにうれしいかな?
「そんなにうれしいの?」
「ええ!今までどれだけこういうやつらにイライラしてたか...」
ちょっと、ミーナさーん?なんかドス黒いオーラが出てるんですけどー?
「ただ、教えるのはいいんだけど、難しいよ?」
私の場合は写真付きで分かりやすくて、それでも20分くらいかかったんだから。
「大丈夫よ!絶対覚えてみせるから!」
お、おう。凄い自信だね。まぁそこまでやる気があるならいいけどね。
その後スピードが上がったからといって着ける訳もなく、今日も野営をした。そこでシャガルさんたちに結び方を教えることにした。意外にも1番最初にできたのはビーンさんだった。
「おお!ビーンさん、凄いです!」
「ははっ。そう言ってくれるとうれしいよ」
そう言って私の頭を撫でてくれた。とても大きくて、でも優しく撫でてくれた。
「もう!また私のこと忘れてませんか!」
「「「「あ!ごめん...」」」」
ベルのことすっかり忘れてたよ。ベルも結び方を教えてもらって、やっていたみたいだけど...
「......ベルはなんでそうなった?」
そこにいたのはグルグル巻きになったベルだった。ある意味天才じゃね?
「ふふふっ、ベルちゃん...」
「ハハハッ!あーおかしい」
私も思わず笑ってしまった。
「もう!笑ってないでたすけてくださいよー!」
ベルがとうとう涙目になってしまったので、流石に助ける。
......だからね?やめてくれない?弓を引くの。それ訓練用のやつじゃないよね?
「ちょ!まってよ!」
「別にフィリアちゃんこんなことで死なないでしょ!」
「いや、理屈がおかしいから!」
その後なんやかんやあって、なんとかベルを宥めた。
...でもね?人を化け物みたいな扱いしないでくれない?確かに矢は刺さらないと思うけどさ?
「だいぶ日程はズレたが、明日には王都につける予定だ」
そうシャガルさんに言われた。とうとう王都だ。
この世界はこういう風に予定がズレるのは当たり前のことなので、ズレてもいいようにだいぶ早めに出発する。なので、王都についてから入学試験までかなり時間があるって聞いてる。
「ベルと相談して決めようかな」
そう言いながら、私は意識を手放した。
「こいつらは最近王都周辺を騒がせていたやつらなんだよ」
とのこと。確かに索敵阻害の魔道具を持っていた時点で普通の盗賊じゃないかなとは思ってた。
そして遅れている理由は歩かせていることにある。
「なんで俺たちが歩かないといけねぇんだよ!」
とまぁこんな風に反抗して足を止めるもんだから全然進まないんだよね。
「オラ!さっさと歩け!」
そうシャガルさんに言われても歩こうとしない。確か昔こういう人達がいるから編み出された紐の結び方があったような...
「検索してみよ」
という訳で祝福ギフトの検索を使う。地球の情報を見れるのは有難いよね。
「あ、あったあった」
私はその結び方を見ながら、シャガルさんに貰った余ったロープをその通りに結んでいく。
「できた!」
「フィリアちゃん?なに作ってるの?」
ずっと作業を不思議そうな顔で見ていたベルが話しかけてきた。
「これはねーこういう行為をする人達を大人しく歩かせるためのものなんだよ」
まぁ上手くいくかは分からないけどね。とりあえずシャガルさんに頼んで着けて貰おう。
「シャガルさーん。これ盗賊の首につけてくれます?」
「うん?構わんが、なんだ、これ?」
「後で分かるよー」
シャガルさんたちは不思議そうな顔をしながら、盗賊たちの首につけていく。そして、私はそのロープの端を馬車に括り付ける。
「じゃあこのまま進もう?」
「だが、盗賊たちが歩かないぞ?」
「大丈夫。嫌でもついて行きたくなるから」
「?」
シャガルさんは不思議そうな顔をしながらも、馬車を走らせてくれた。すると...
「ギャャャャャ!苦しい!苦しい!」
「た、頼む!やめてくれー!」
わぁー阿鼻叫喚。私が作ったやつは、ついて行かないとどんどん首が締まるという結び方だ。
「お、おう...どうしたんだ?」
「これはね、ちゃんとついて行かないと首が締まっちゃうの」
「なっ!...こんな結び方どこで?」
「シャガルさん?世の中聞かない方がいいこともあるんだよ?」
「お、おう...」
なんか引かれたと思うけど気にしないでおこう。
「おら!ちゃんと歩かないと死ぬぞ!」
それから盗賊はさっきとは打って変わって大人しく着いてくるようになった。
「ねぇねぇ、フィリアちゃん?」
「うん?どうしたんですか?」
話しかけてきたのはミーナさんだ。
「さっきの結び方、教えてくれない?」
「え、別にいいですけど...」
「ありがとう!」
「うぉ!」
いきなり抱きつかれた。そんなにうれしいかな?
「そんなにうれしいの?」
「ええ!今までどれだけこういうやつらにイライラしてたか...」
ちょっと、ミーナさーん?なんかドス黒いオーラが出てるんですけどー?
「ただ、教えるのはいいんだけど、難しいよ?」
私の場合は写真付きで分かりやすくて、それでも20分くらいかかったんだから。
「大丈夫よ!絶対覚えてみせるから!」
お、おう。凄い自信だね。まぁそこまでやる気があるならいいけどね。
その後スピードが上がったからといって着ける訳もなく、今日も野営をした。そこでシャガルさんたちに結び方を教えることにした。意外にも1番最初にできたのはビーンさんだった。
「おお!ビーンさん、凄いです!」
「ははっ。そう言ってくれるとうれしいよ」
そう言って私の頭を撫でてくれた。とても大きくて、でも優しく撫でてくれた。
「もう!また私のこと忘れてませんか!」
「「「「あ!ごめん...」」」」
ベルのことすっかり忘れてたよ。ベルも結び方を教えてもらって、やっていたみたいだけど...
「......ベルはなんでそうなった?」
そこにいたのはグルグル巻きになったベルだった。ある意味天才じゃね?
「ふふふっ、ベルちゃん...」
「ハハハッ!あーおかしい」
私も思わず笑ってしまった。
「もう!笑ってないでたすけてくださいよー!」
ベルがとうとう涙目になってしまったので、流石に助ける。
......だからね?やめてくれない?弓を引くの。それ訓練用のやつじゃないよね?
「ちょ!まってよ!」
「別にフィリアちゃんこんなことで死なないでしょ!」
「いや、理屈がおかしいから!」
その後なんやかんやあって、なんとかベルを宥めた。
...でもね?人を化け物みたいな扱いしないでくれない?確かに矢は刺さらないと思うけどさ?
「だいぶ日程はズレたが、明日には王都につける予定だ」
そうシャガルさんに言われた。とうとう王都だ。
この世界はこういう風に予定がズレるのは当たり前のことなので、ズレてもいいようにだいぶ早めに出発する。なので、王都についてから入学試験までかなり時間があるって聞いてる。
「ベルと相談して決めようかな」
そう言いながら、私は意識を手放した。
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