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第1章 幼少期編

第16話 特訓のための特訓

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マリアから、学校に行くかと聞かれた日の夜、私は気配隠蔽を使って家を抜け出すことにした。理由は、明日の特訓のためだ。

私は私自身の力について、全然分かってない。そんな状態で特訓なんてしたら、絶対やらかすと思ったからだ。

「でも、どうしよう?」

私の両親は高レベルの気配察知をもっている。あ、ちなみにロビンのステータスはさっき鑑定してきた。で、何が言いたいのかというと...

「気配が無くなったら、絶対気づくよね」

そう、私の気配隠蔽はLv.10。つまり、2人の気配察知では、察知出来ないのだ。

「とはいえ、そのまま抜け出しても同じか」

どちらにしろ、この家から私の気配は消えることになる。

「まぁ、試してみるか」

私は自分の部屋で気配隠蔽を使ってみる。使い方はよく分からん。ただ、感覚としてこうしたら使えるって分かる。2人は今寝ている。レミナも同じだ。

「よし...『気配隠蔽』発動!」

ドタドタ!

「よし、解除!」

ガチャ!

「フィリア!いるか!」
「ふぇ!?どうしたの?」
「あ、いるならいいんだ」

...ふぃーー。危なかった。まさかここまで敏感だとはね。
でもどうしようか?このままだと抜け出せない。

...まてよ?さっきは気配隠蔽を使って、いきなり気配が消えたから、気づいたのでは?ってことは、普通に家から出たら気づかない?

「やってみなきゃわかんないよね」

私は窓から身を乗り出した。

ドタドタ!

そして、すぐに引っ込めた。

ガチャ!

「フィリア、いるか!」
「もう、いるってば!」
「あ、すまん」

あーあ。どうしよ?いやまじで。

「このままだと家から抜け出せないよ...」

あー、もういっその事ここでやる?...いや、吹き飛ばしそうだからやめ。

「...完全に詰んだ」

あー、マリアに私の強さがバレてしまう。いや別にいいんだけどね?なんかこういうのって秘密にしたいじゃん?

「どーしよ...あ、魔法で眠らせればいいんじゃね?」

いや、私魔法の使い方知らんし。こういうのってイメージがあったらいいの?ものは試しか?

「...いや、いいのがあるじゃん」

祝福ギフト:女神の歌声

これ使うか?

「...っとその前に女神の指輪とアンクルを外さないとね」

これがあると多分上手くいかないからね。

私は小さな声で歌を紡ぐ。イメージはこの家にいる私以外の全員を包み込み、深く、心地よい眠りに朝までつく感じ。

「ーーーー♪」

歌うのは、前世で大好きだったリ○ラだ。気持ちよくなってしまって、つい最後まで歌ってしまった。

「...さて、どうだろ?」

私は気配隠蔽を発動する。

...
......
.........。

「よし!」

思わず大声で叫んでしまったが、起きてくる気配はしない。

「これで、家を出れる!」

私は玄関から堂々と外に出た。

「さて、どこに行こう?」

あまり近い所だと、制御をミスったときに大騒ぎになりそうだ。

「どこかいいとこ...あ!」

あるじゃん。
私はその場所まで空歩でいく。

その場所まで30分ほどかかり、やっと着いた。

「着いた...」

そこはエルザが私の体を使って作ったクレーターだ。

「ここなら村からかなり離れてるし、周りがなにもないからなにかやらかしても大丈夫だよね」

とはいえ、どんなことをしようか?

「まず、魔法だけど、やり方わかんないしなー」

とりあえず、歌みたいにイメージ次第かな?無詠唱もあるから、それでいけると思う。

「まず光の玉を作ってみよう」

それならまだ安全そうだしね。
私はふよふよ浮かぶ光の玉をイメージする。明るさは蛍光灯くらい?

「あ、できた...けど」

大きさを考えてなかったな...。そこにあったのは直径1mほどの蛍光灯くらいの明るさの光の玉だった。

「結構細かいとこまでイメージしないと大変なことになりそう」

とりあえず、どうやって消そう?
私は何となく、魔法に込められた魔力が分散するイメージをしてみた。すると、難なく光の玉を消すことができた。

ピコン!

「うん?なんか聞こえた?」

なんか機械音がしたような気がしたけど、気のせいかな?
その後色々やって、なんとか魔法は制御できるようになった。

「そーいえば、よくラノベとかでは体の中にある魔力を感じるみたいなことをしてたけど、できるのかな?」

私は目を閉じ、意識を集中する。すると、体の真ん中らへんになんか熱いものがあるのが分かった。

「おおーこれか?」

ラノベでやっていたような感じで魔力を体に流してみる。体がポカポカしてくるのが分かった。

ピコン!

「まただ。なんなんだろ?でもそれはそうと、上手くいったみたい?」

私はその機械音のことを無視するようにした。後で私は後悔する...かもしれない?まぁそんときはそんときだね。

「さて、次は剣かな。ところでこの世界に刀ってあるのか?」

ないんだったら貰った武器が使えないんだけどなー...

「って、こんな時こそ『検索』でしょ」

私はそう思い、祝福ギフトの検索を発動した。すると、目の前にステータスプレートみたいなのがでてきた。姿はまさにグー○ルだ。

「さて、か・た・なっと...お、でてきた。ふーん」

どうやらこの世界にも刀はあるらしく、使う人は少ないものの、使われていない訳ではないらしい。ただ、この刀を伝えたのは、召喚された勇者だったらしい。でも...

「なんで、魔王とか倒す必要ないのに召喚する必要があったんだろうか?」

それも検索してみたけど、該当なしだった。

「うーん...召喚されたっていうのがもうだいぶ前みたいだし、この祝福ギフトはエルザがくれたものだから、そこら辺のデータがないのかな?」

まぁ考えてみてもしゃーないので、今は特訓だ。

私はアイテムボックスを開く。すると、なにやら色々増えてたけどとりあえず翡翠刀を取り出す。

「おお...」

出したときは2mほどだった刀がすぐに小さくなり、50センチ程になった。

「これなら取り回しやすい!」

私は鞘から刀を抜く。でてきた刀身は、鞘と同じ翡翠に銀色が混ざったような色で、ちょうど私の髪と同じ色だった。

「ここらへん、こだわんなくてもいい気がするんだけど...」

まぁ、その事は置いといて、まず素振りをしてみる。すると、体が勝手に自然な動きをする。

「おお...なんか変な感じ」

切り上げ、切り下げ、横薙と様々な動きをしてみる。

「すごいな、これ...ただ、加減出来なくね?」

体がかってに動いてしまうものだから手加減が出来ない。とりあえず、下手に見えるようにイメージしながら、刀を振ってみる。すると、さっきとは比べ物にならないほどずさんな振りになった。

ピコン!

「おお!これでなんとかいけるか?」

その後しばらく刀を振ってから、アイテムボックスにしまった。

「さて、もうだいぶできて来たし、そろそろ帰るか」

私は空歩で村に帰り、窓から忍び込んだ。どうやらまだ起きていないらしい。

「ふぁぁ...」

この年で夜更かしはかなりしんどいみたいだ。私はベットに入って、忘れないうちに指輪とアンクルを付け、気配隠蔽を解除し、意識を手放した。


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