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第1章 幼少期編

第6話 借り物の力

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パパから私は大人しく待っているようにと言われた。

…でもね?私は大人しくなんて待ってられないの!

というのも、私は前世で家族を亡くした。
私はその時受験生で、母と父と妹が車で出掛けて、私は家に残った。そして…二度と帰ってこなかった。

高速道路での交通事故で…即死だったらしい。私はそこから一人暮らしをしていた。だから、せっかく新しい両親と出会えたのに、また同じことになりたくない!


「とはいえ、どうしよう?」


私はまだ5歳じゃないからスキルは持っていない。この世界に置いて、スキルは絶対的なものらしい。だから、今の私はゴブリンよりも弱い。

戦ったとしても、ただの足でまといでしかない。


「どうにかして、スキルを…あ!」


そういえば祈ったらエルザに会えるんだっけ?

スキルを与えている存在なら!


私は自分の部屋に戻り、あの時の場所に行きたいと祈った。




「あら?どうしたの?」


この声は…エルザ?


「ええ、そうよ。えっと…今はフィリアちゃんだったかしら?」


うん。あのね、お願いがあるの。


「なぁに?」


転生特典が今欲しいの。


「…理由を聞いても?」


私が今住んでいる村の近くてスタンピードが発生して、それを倒すためにパパとママが戦いにいってしまって……私も戦いたいの!もう、あんな思いはしたくないから…


「…そうですか。ではまず、なぜ5歳からしかスキルを取れないのかを説明します。この世界のシステム上、別に0歳からでもスキルが取れるようになっています。ですが、体や精神がまだ成長していない段階でスキルを持ってしまうと…暴走し、体が崩壊してしまうのです。なので、5歳までスキルをこちらが保管し、洗礼の際に今まで保管したスキルを与えるのです。これはあなたも例外ではなく、むしろ転生者ということでスキル取得がしやすくなっており、現在かなりのスキルが保管されています」


じゃあそれだけでも!


「それは…出来ません」


なんで!


「言ったでしょう?崩壊してしまうと」


…じゃあどうすればいいのよ!


「…一つだけ方法があるにはあります」


なになに!


「それは…私という存在を仲介して、スキルを使用するという方法です。これならば、あなたの体に掛かる負荷を減らすことができます」


じゃあ、それで!


「話を最後まで聞いてください。デメリットととしては、仲介するため、スキルの力は半分ほどになってしまいます。それに、負荷を軽減できるだけであって、無くせる訳ではありません」


…というと?


「時間制限が存在します」


それはどれくらい?


「約1時間です。それを超えてしまうと、体が崩壊してしまいます」


1時間…短いけれど、やらないよりはまし!


「…わかりました」


すると目の前が光り輝き、次の瞬間には、目の前に白いローブと金色の弓が現れた。


「そのローブを着ることによって、スキルを仲介できます。また、私の声を直接届けることもできます。さらに、風景に同化することができ、みつかりにくく、認識阻害の効果もあります。そして、その弓は魔力を消費することで矢を発生させます。なので、イメージ次第では様々な矢を撃てます」


なるほど。でも遠距離だけ?


「わざわざ敵の中に突っ込まなくても、空から撃てばいいんです」


な、なるほど。


「それでは、戦場の真上に転移させます。また、1時間ギリギリになったら私がスキルを強制的に止めますので、注意しておいて下さい」


うん。わかった!


「では、気をつけて」


その瞬間目の前の景色が変わり、空にいた。


「け、結構高い…」


ーきこえますか?ー


「あ、うん。聞こえるよ」


ー戦況はあまり良くないようです。原因を倒したほうが得策ですー


「確かにそうだね。よし!じゃあ、原因を探そう!……どうやって?」


ー現在発動しているスキルは『空歩』です。なので自由に空をあるけますよー


「つまり、自分で探せと?」


ー索敵スキルはありますが、使うスキルは少ない方がいいのでー


「はぁ、まぁしゃーないか。とにかく、動こう!」


私は下の様子を見つつ、敵を探。途中危なそうなひとを助けるため、弓を引いた。

すると、1本の赤い光を放つ矢がでてきた。そして手を離すと、まるで吸い込まれるように矢はオーガの頭に当たり、爆散した。


「ひぇー。威力やば!」


ーイメージさえ正確なら威力調整もできますー


「……それ先に言って欲しかった。あとどれくらい?」


ー約43分ですー


まずいな。

とにかく、敵が集まっているところを探そう。


探すことさらに数分。矢の威力調整も上手くできてきたところで、原因らしき集団を発見したんだけど……


「あれは…人?」


なにやら魔物が出て来ている魔法陣らしきものの周りに6人ほどの人らしき存在がいた。


ーあれ?あそこは確か世界樹の…ー


なんかエルザか言ってるけど無視。

とにかくこれが原因なら破壊するのみ!

弦に手を掛け弓を引く。イメージは最大火力。でてきた矢はまるで炎のように光り輝いていた。そして、矢を放つ。


今までと同じように目標…魔法陣に吸い込まれるように飛んでいき、

そして…弾かれた。


「は!?」


ーあーー!やっぱりあれは世界樹の根の力を無理やり利用して……ってやばいよ!そのままだったらシステムに負荷が!フィリアちゃんはやくあれを壊して!ー


「いや、壊したいんだけどなんかバリアみたいなのがあって壊せないんだよ」


ーへ?…あ、魔力の嵐が巻き起こってるんだ。だから...ってそれかなりやばいんですけど!ああっもう!最近よくチェックしてなかったー!ー


あらら。


ーもう時間がない!フィリアちゃん!体貸して!ー


「へ?貸してっていったい…くっ!なっ?!」


な、なに?なんか熱い物が体に入ってきて…っ!


ー拒まないで、受け入れて!ー


受け入れるって……取り敢えずその熱い物を身体中に循環させてみる。

お?おお?うまくいった?


「これはれっきとした干渉理由になりますよね!」


え!?今私が喋ったの?

あ、体が勝手に動く。なんか変な感じ。


体がゆっくりと動き、弓を引く。そして現れた矢はとても綺麗で、それでいて神々しい光を放っていた。そして、音もなく放たれた矢は魔力の嵐を軽々通り抜け、魔法陣の真上に差し掛かったとき、幾重にも分かれ、雨の様に降り注いだ。


──地獄絵図のような光景なのに、綺麗と思ってしまった。

光の雨が降り注ぎ、砂埃が巻き起こる。

そして砂埃が消えると……そこには半径200メートルほどの草木もなにも生えていない土地が出来上がっていた。


「ふぅ…なんとか間に合いましたね」


私はそんなこと喋ってないんだけどなー。

物凄い違和感。


「じゃあ、そろそろ体をお返ししますね」


そして、なにかがするすると抜ける感覚があり、

私はそのまま、意識を失ってしまった。




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