48 / 84
第二章
孤児院ですわ
しおりを挟む
「はぁ~」
朝からため息が出る。
顔を洗って鏡を見たからだ。
毎朝一回鏡を見るのだがそこには化け物が映る。分かってはいるけれどため息が出てしまう。
私は自分の顔をパンパンと2回ほど軽く叩いて気合を入れる。
そして笑顔を作ってみる......が、こ、怖い。怖すぎて直視出来ないのでそそくさと朝食を食べにダイニングへと移動する。
「アミーおはようさん。今朝はお前さんが好きなハニートーストだよ。いっぱい食べな」
キルジーさんが私の前にどさっとハニートーストが積まれているお皿を置いた。
「朝からこんなに食べれませんよぉ」
「何言ってんだい!アミーはしっかり食べてもっと肉付き良くしないと駄目だよ?まだ8歳?9歳?ぐらいだろうけどそれにしても細いし小さいからね」
そうなのだ。私は記憶が無いので自分の年齢が分からない。でも自分では10歳は超えているのでは?と、思っているのだけど周りはキルジーさんと同じ意見だ。
「うぅ......。はい」
そう言われると何も言えない。
実際風が吹けば飛ばされそうなぐらい細いし小さいのだ。
モグモグとハニートーストを食べていると下からルカさんの元気な声が聞こえてきた。
「キルジーさーん!アミー!居る~?」
「今、朝食中だよ!上に上がってきな!」
キルジーさんの了解を受けルカさんがダイニングに入って来た。
「いい匂いがすると思ったらハニートーストか!」
ルカさんが私のお皿を見てニコニコだ。
「私こんな量食べれないからルカさんも一緒にどうですか?」
「いいの?」
嬉しそうに私に聞き返してくる。
私はうんと頷いた。
キルジーさんもルカさん用のコーヒーを淹れ始めた。
隣に座りルカさんも食べ始める。
「うーん。美味い!キルジーさんのハニートーストは世界一だな!」
「はっ!こんなのは誰でも作れるよ。で、朝からどうしたんだい?」
コーヒーをルカさんに渡しながら訊く。
「今日はレストラン休みだろう?アミーと一緒に孤児院に行こうと思って誘いに来た」
ルカさんはモグモグしながら言う。
「孤児院?」
私は聞き返す。
「うん。アミーも、もうこの島に来て1年半ぐらいになるだろう?それなのに殆ど外に出ないで知り合いといえば俺とキルジーさんとダンさんだけだ。これからこの島に一生住むわけだしもう少し友達とかいた方が楽しいかなって」
「何で孤児院なんだい?」
「アミーと似たような年齢の子達も沢山いるしさ、俺が1ヶ月に1回じいちゃんからの差し入れを届ける時に一緒に行けば違和感なく仲良くなれるかなって」
キルジーさんは少し考えて私に訊いた。
「アミーはどうだい?行きたいかい?」
「えっと......気持ちは嬉しいけどこんな私と友達になりたい人なんていないと思うし子供達を怖がらせたくないから......」
「アミーはさ、どんだけ自分評価が低いんだよ?化け物、化け物って言うけど俺は最初にアミーを見た時そんな風には思わなかったぜ?皆んなが皆んなそう思うと思ったら駄目だ」
「あ~確かに。あたしもさ。ルカと一緒でアミーが化け物だなんて思わなかったよ?1回行ってみたらいいさ。友達がいると今より楽しくなるかもしれないからね!」
半ば無理矢理行く事になりその差し入れの日が今日だと言う。
私は少し不安だが怖がられたら直ぐに孤児院から出ればいいと思い行く事にした。顔はしっかりとスカーフを頭から巻いて周りから見えない様にする。
ルカさんはそんなの必要ないよと言ってくれるがそうもいかない。
「こんなに?」
ルカさんのとこの馬が荷車を引いてカタカタ音がする。
孤児院までは近いので私もルカさんも歩きだ。
ルカさんは馬の手綱を持ってゆっくり歩く。その荷車には沢山の焼き菓子や縫いぐるみ、魚や肉、野菜なのど食材や毛布などが積まれている。
「爺さんが代表して孤児院に寄付する品物を隣近所から集めてるんだ。皆んな少しづつ寄付してくれる」
凄いな。皆んな優しい。
「孤児院には島の外から捨てられた子もいるけど両親が死んでとかそういった島の子達も居るんだ」
「そうですか。私もキルジーさんと出会わなかったらその孤児院に入っていたかもしれないですね」
「ん。そうかもしれないな」
ガラガラと荷車の車輪の音がやけに大きく聞こえた。
程なくして孤児院に到着。
想像していた建物より立派だった。
門を開けてもらい中庭のような所に入って行くとわー!と子供達の声が一斉に聞こえた。
声がする方を見ると沢山の子供達がこちらに向かって走って来る。
うわっ。少し怖い。
「ルカ!今日のお菓子は何?」
「ルカお兄ちゃん!オモチャある?」
「服はある?」
皆んな一斉にルカさんに話しかけるから全然聞き取れない。
1番後ろから大人の女性が歩いて来た。
「こんにちは。ルカさん。いつもありがとうございます」
深々とルカさんにお辞儀をしてお礼を言う。歳は40歳ぐらいだろうか?
その女性は私に気が付きルカさんの方を見た。
「今回から手伝ってくれる事になったアミーさんです」
私を爽やかに紹介する。
「は、は、初めまして。アミーです。よろしくお願いします」
その女性と子供達に頭を下げて挨拶をする。するとスカーフが緩んでいたのかスルリと落ちてしまった。
しまった!と思った時にはもう遅かった。
朝からため息が出る。
顔を洗って鏡を見たからだ。
毎朝一回鏡を見るのだがそこには化け物が映る。分かってはいるけれどため息が出てしまう。
私は自分の顔をパンパンと2回ほど軽く叩いて気合を入れる。
そして笑顔を作ってみる......が、こ、怖い。怖すぎて直視出来ないのでそそくさと朝食を食べにダイニングへと移動する。
「アミーおはようさん。今朝はお前さんが好きなハニートーストだよ。いっぱい食べな」
キルジーさんが私の前にどさっとハニートーストが積まれているお皿を置いた。
「朝からこんなに食べれませんよぉ」
「何言ってんだい!アミーはしっかり食べてもっと肉付き良くしないと駄目だよ?まだ8歳?9歳?ぐらいだろうけどそれにしても細いし小さいからね」
そうなのだ。私は記憶が無いので自分の年齢が分からない。でも自分では10歳は超えているのでは?と、思っているのだけど周りはキルジーさんと同じ意見だ。
「うぅ......。はい」
そう言われると何も言えない。
実際風が吹けば飛ばされそうなぐらい細いし小さいのだ。
モグモグとハニートーストを食べていると下からルカさんの元気な声が聞こえてきた。
「キルジーさーん!アミー!居る~?」
「今、朝食中だよ!上に上がってきな!」
キルジーさんの了解を受けルカさんがダイニングに入って来た。
「いい匂いがすると思ったらハニートーストか!」
ルカさんが私のお皿を見てニコニコだ。
「私こんな量食べれないからルカさんも一緒にどうですか?」
「いいの?」
嬉しそうに私に聞き返してくる。
私はうんと頷いた。
キルジーさんもルカさん用のコーヒーを淹れ始めた。
隣に座りルカさんも食べ始める。
「うーん。美味い!キルジーさんのハニートーストは世界一だな!」
「はっ!こんなのは誰でも作れるよ。で、朝からどうしたんだい?」
コーヒーをルカさんに渡しながら訊く。
「今日はレストラン休みだろう?アミーと一緒に孤児院に行こうと思って誘いに来た」
ルカさんはモグモグしながら言う。
「孤児院?」
私は聞き返す。
「うん。アミーも、もうこの島に来て1年半ぐらいになるだろう?それなのに殆ど外に出ないで知り合いといえば俺とキルジーさんとダンさんだけだ。これからこの島に一生住むわけだしもう少し友達とかいた方が楽しいかなって」
「何で孤児院なんだい?」
「アミーと似たような年齢の子達も沢山いるしさ、俺が1ヶ月に1回じいちゃんからの差し入れを届ける時に一緒に行けば違和感なく仲良くなれるかなって」
キルジーさんは少し考えて私に訊いた。
「アミーはどうだい?行きたいかい?」
「えっと......気持ちは嬉しいけどこんな私と友達になりたい人なんていないと思うし子供達を怖がらせたくないから......」
「アミーはさ、どんだけ自分評価が低いんだよ?化け物、化け物って言うけど俺は最初にアミーを見た時そんな風には思わなかったぜ?皆んなが皆んなそう思うと思ったら駄目だ」
「あ~確かに。あたしもさ。ルカと一緒でアミーが化け物だなんて思わなかったよ?1回行ってみたらいいさ。友達がいると今より楽しくなるかもしれないからね!」
半ば無理矢理行く事になりその差し入れの日が今日だと言う。
私は少し不安だが怖がられたら直ぐに孤児院から出ればいいと思い行く事にした。顔はしっかりとスカーフを頭から巻いて周りから見えない様にする。
ルカさんはそんなの必要ないよと言ってくれるがそうもいかない。
「こんなに?」
ルカさんのとこの馬が荷車を引いてカタカタ音がする。
孤児院までは近いので私もルカさんも歩きだ。
ルカさんは馬の手綱を持ってゆっくり歩く。その荷車には沢山の焼き菓子や縫いぐるみ、魚や肉、野菜なのど食材や毛布などが積まれている。
「爺さんが代表して孤児院に寄付する品物を隣近所から集めてるんだ。皆んな少しづつ寄付してくれる」
凄いな。皆んな優しい。
「孤児院には島の外から捨てられた子もいるけど両親が死んでとかそういった島の子達も居るんだ」
「そうですか。私もキルジーさんと出会わなかったらその孤児院に入っていたかもしれないですね」
「ん。そうかもしれないな」
ガラガラと荷車の車輪の音がやけに大きく聞こえた。
程なくして孤児院に到着。
想像していた建物より立派だった。
門を開けてもらい中庭のような所に入って行くとわー!と子供達の声が一斉に聞こえた。
声がする方を見ると沢山の子供達がこちらに向かって走って来る。
うわっ。少し怖い。
「ルカ!今日のお菓子は何?」
「ルカお兄ちゃん!オモチャある?」
「服はある?」
皆んな一斉にルカさんに話しかけるから全然聞き取れない。
1番後ろから大人の女性が歩いて来た。
「こんにちは。ルカさん。いつもありがとうございます」
深々とルカさんにお辞儀をしてお礼を言う。歳は40歳ぐらいだろうか?
その女性は私に気が付きルカさんの方を見た。
「今回から手伝ってくれる事になったアミーさんです」
私を爽やかに紹介する。
「は、は、初めまして。アミーです。よろしくお願いします」
その女性と子供達に頭を下げて挨拶をする。するとスカーフが緩んでいたのかスルリと落ちてしまった。
しまった!と思った時にはもう遅かった。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
(完結)大聖女を頑張っていた私が悪役令嬢であると勝手に決めつけられて婚約破棄されてしまいました。その子に任せたらあなたの人生は終わりですよ。
しまうま弁当
恋愛
メドリス伯爵家の第一令嬢であるマリーは突然婚約者のフェルド第一王太子から「真実の愛を見つけたんだ」と言われて婚約破棄を宣言されるのでした。
フェルド王太子の新しいお相手はマグカルタ男爵家のスザンヌだったのですが、そのスザンヌが私の事を悪役令嬢と言い出して、私を大聖女の地位から追い出そうとしたのです。
マリーはフェルドにスザンヌを大聖女にしたらあなたの人生が終わってしまいますよと忠告したが、フェルドは全くマリーの言う事に耳を傾けませんでした。
そしてマリー具体的な理由は何も言われずにマリーが悪役令嬢に見えるというフワッとした理由で大聖女の地位まで追い出されてしまうのでした。
大聖女の地位を追われ婚約破棄をされたマリーは幼馴染で公爵家の跡取りであるミハエル・グスタリアの所に身を寄せるのでした。
一方マリーを婚約破棄してご満悦のフェルドはスザンヌを大聖女につかせるのでした。
スザンヌも自信満々で大聖女の地位を受けるのでした。
そこからフェルドとスザンヌの転落人生が始まる事も知らずに。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
この死に戻りは貴方に「大嫌い」というためのもの
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
侯爵令嬢ロゼ・フローラは第一王子の婚約者候補の一人だった。
そして愛し合うようになり二年が過ぎたある日。
晴れて二人は婚約者となるはずだったのだが……?
※作者独自の世界観です。
※妊娠に関するセンシティブな内容を含みます(ヒロイン、恋人の立場に不妊が関係します)。辛い方は避けてください。
※5/25 お話をより分かり易くするために文を修正しました。話の内容に変更はありません。
※6/11 21話のタイトル(前回1→前回)と文(西の国→西の大国)を訂正します。
※6/27 完結しました。この後カタリナ視点の話を別作品として公開予定です。そちらはドロドロの話の予定ですが、よろしければあわせてお読みいただけると嬉しいです。
※6/28 カタリナ視点でのお話「空っぽから生まれた王女」を公開しました。(あわせて読んでいただけると嬉しいですが、あっちはダークです。ご注意を)
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる