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第一章

ユリアン様にお呼ばれですわ

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あの夜にお兄様が落としていった爆弾発言ですが......。
本当ですの?信じたくないのですが。

アクアと2人になったので訊いてみましたわ。

「アクアはあの夜、お兄様と私のお話を聞いていましたわよね?お兄様のあの話、どう思います?真実でしょうか?」

アクアはチラッと私を見ました。

「本当の親子でもそうでなかったとしてもアイツらの愛情は変わらないんじゃねーの?それなら気にする方が無駄な体力使うぞ?」

むむむ。どうやら真実を知っているようですわね。でも言う気も無さそうなので追求はしませんわ。悪魔ってちょっとだけ厄介な生き物ですわ。

「そうですね。いつか分かる日が来るでしょうからその時まではこのままにしておきます」

「そうだな」

アクアが微笑みました。
あら?アクアってば案外色男なのでは?
今更ですがそれなりにカッコ良いのですね?

それから数日経ち王城から帰ろうと馬車に向かって歩いているとユリアン様が追いかけてきましたわ。

「アイラ様、今度我が家で一緒にお茶しませんか?ほら、あの例の幽霊を見た私の従姉妹が遊びに来ていまして。アイラ様、少しご興味がおありな感じでしたので直接お話を聞いてみたらいかがでしょう?」

「まぁ!嬉しいですわ!是非!」

「エレーネ様に伝わると面倒な事になりそうなので後ほどご招待状をお送り致しますわね!アイラ様しかご招待しませんのでご安心下さい」

楽しそうなお茶会ですわ!
これでユリアン様とも、もっと仲良くなれそうですわ。ふふふ。初めてのお友達ですもの。もっと仲良くしたいです。

それから間も無くしてユリアン様から招待状が届きました。
しかもお泊まりでどうですか?ってなっていましたわ!
お泊まりですって!エレーネ様からのお誘いの時はあまり乗り気では無かったのですがユリアン様からのお誘いはとても心躍ります!

「宰相様のお屋敷だから安全だろうし。初めてのお泊まりとしては良いね。行っておいで」

お父様からOKが出ましたわ!

「良い子にして、絶対に聖力は使っては駄目ですよ?」

お母様からもOKが出ましたわ!

数日後、初めてのお泊まりの日ですの。
前の人生でもお友達のお屋敷にお泊まりした事など無かったのでドキドキですわ。そもそも私にはお友達がいなかったのですわ。あ、シャーロットが嘘ん子のお友達でしたけれど。

もちろんアクアとマリルも一緒です。
マリルはお兄様の件以来自分は役立たずだと落ち込んでいましたが私が「必殺アイラ天使の微笑み」で復活させましたわ。
マリルは基本的には強いのです。武芸に秀でてますのよ。

アクアも悪魔なので強いはずなのですがお兄様にしてやられるとは本当にどこかヌケてますわよね。ま、そこが憎めないところでもありますけれど。

あ、ユリアン邸に到着致しましたわ。

「アイラ様、いらっしゃいませ!お待ちしていましたわ!」

ユリアン様がお屋敷の前までお迎えに来て下さっています。
あら?お隣に立っていらっしゃる男の子はどちら様で?

「アイラ様、ご紹介させて頂きます。私のお兄様でダリルといいます。私より2歳上なのでアイラ様より3歳上ですわね」

そう紹介された男の子は肩まで伸びているユリアン様と同じ茶色い髪の毛を後ろで縛っています。ユリアン様はくせ毛ですがダリル様はサラサラのストレートですわ。瞳の色も少し違っていてユリアン様は薄い赤ですがダリル様は綺麗なピンク色の瞳をしています。
これは大人になったらご婦人方が放って置きませんわね。

ユリアン様も可愛らしいお顔ですがダリル様もとても可愛いお顔です。殿方なのに可愛いって言われるのはお嫌かしら?

「初めまして。アイラ嬢。ダリル・コスナーと申します。よろしくね」

微笑んだお顔が素敵過ぎて私、よろけてしまいましたわ。

「おい。チビ。色気づいてんじゃねーよ」

後ろから支えてくれたアクアに小さな声で怒られました。久しぶりにチビって言われましたわ!むむむ。

ダリル様が私をエスコートしてくれています。まぁ!舞踏会でも無いのにとても自然に私の手をとりお部屋まで案内してくれました。

「またお茶の時間にお会いしましょう」

そう言って下さいましたわ。
私、ちょっとポ~となってしまいました。

「だからよ!チビ!ポ~ってなってんじゃねーよ!」

またアクアに怒られましたわ。
何故アクアに怒られなければならないのでしょう?私達、別に婚約者とかではないのですよ?

最初に入ったお部屋にユリアン様のお父様、ジョージ・コスナー様と奥様のアン様がいらっしゃいました。

流石、この国の宰相様です。
お優しい雰囲気を醸し出しながらも厳しさと頭の良い感じがバンバン出ていますわ!

「初めましてアイラ・エバンズと申します。本日はお招き頂きありがとうございます」

私はお2人にカーテシーをしました。

「おや、おや、まだ6歳なのにしっかりしたお嬢さんだね。初めまして、ユリアンの父親のジョージだ。今日は楽しんでいきなさい」

笑ったお顔がダリル様とそっくりです。

「まぁ!なんて可愛らしいお嬢様なのかしら!ユリアンと仲良くしてくれてありがとう。今日はアイラちゃんの好きなマカロンを用意してあるので楽しみにしていてね?」

優しそうなお母様ですね。

午後のお茶の時間までユリアン様のお部屋でゆっくりする事になりました。
ユリアン様のお部屋はとても可愛らしく白とピンクを基調に全体的にふわふわした感じです。

「わぁ!可愛いお部屋ですね!」

「アイラ様に褒めてもらえて嬉しいです!」

2人でニマニマ笑いながら椅子に座ります。アクアとマリルはお部屋の隅に立っていてもらっています。

冷たいクランベリージュースが出てきました。それを2人で飲みながら王城での出来事を語り合います。

「私達はエレーネ様にとってどんな立ち位置なのでしょうね?お友達でもなく?侍女でもなく?うーん」

「え?アイラ様は婚約者候補ですよね?」

はっ?ユリアン様も知っていらっしゃる?

「だって、嫁に欲しいって言われたのでしょう?」

「そこまで知ってますのね......」

そうですわよね。宰相様のお嬢様ですもの。

「今のところはアイラ様にベタ惚れって感じですわよね?私なんて毎回居ないもの扱いですし」

「あ、いえ、そんな事は......」

「全然気にして無いから大丈夫ですよ!私、毎回お茶の時間に出てくるお菓子目当てですから!」

あはは......。やはり子供はこうでないといけませんよね。ユリアン様、大好きですわ!

「でも、エレーネ様はライバルが多いのでこれから先が大変そう」

「ライバルですか?」

「はい。アイラ様は凄くおモテになるので。ほら、エレーネ様のお兄様もアイラ様に一目惚れしてましたでしょう?」

ぶはっ!クランベリージュースを思わず吐き出してしまいましたわ!

マリルがさっと来て私の口元をハンカチで拭きまた隅に戻って行きましたわ。ありがとうございます。

「絶対に違うと思います」

「え?でもアイラ様のお名前しかご記憶していなかたし」

あれはクソ野郎の頭がおかしいのです。

「アイラ様に触ろうとしてましたし」

確かに手は出してきていましたね。きっと手が勝手に上がってくる奇病なのですわ!

「次に会うお約束してませんでしたか?」

それはもうユリアン様の記憶違いですわ。

「あぁぁ......どちらにしても兄弟対決がとても楽しみです!多分違う殿方達も争いに入って来る事でしょうね!私はアイラ様のお側でゆっくり見させてもらいます!あ、恋愛のご相談も是非どうぞ!」

ゴシップ好きの世話焼きおばちゃんになる予定ですのね。ユリアン様は。




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