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番外編 ふたりの子どもは横着者

3月30日 くもり

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今日は、母さんがおかしかった。ていうか、最近ちょっと変な気がする。

まずは昨日、母さんが日記を読んだあと。「お友だちに魔術を使うなんて!」って雷が落ちた……のに、みるみる顔が青ざめて、父さんに説教を丸投げして、どこかへ行っちゃった。

どうしたんだろう、母さんの調子が悪いなんて。年に一回、王城へ行く時は元気がなくなるけど。
あれも不思議だよなあ、帰ってきたら髪がばっさりなんだもん。そんなに嫌なら切らなきゃいいのに。

だけど、まだ髪はそのままだから、王城には行ってないんだよね。

それはともかく、父さんがめちゃくちゃ心配しちゃって、夜遅くまで母さんに付き添ってた。
一晩経ったら落ち着くかな、と思ったけど、今日の朝になっても、母さんはフラフラ、父さんはオロオロ。

使用人のみんなはテキパキ動いてたけど。
ラウルまでシャキッとしてた。珍しいことに。

あ、そうだ。珍しいといえば。
母さんに「昨日は何を作ったの」って聞いたら、「失敗して何もできなかった」って頭をかいてた。
母さんが失敗なんて、初めてだ。
どうしちゃったんだろう。
手に変なものが取り憑いてたりして。

ああ、弱ったな。母さんが心配で、階段の手すりですべり台をする気にもならないよ。
今日はアリエストルに絡まれなかったから、平和に過ごせると思ったのに。早く、母さんの調子が戻りますように。

明日も学校だ。母さんが心配で、勉強が手につかないかも。居眠りとかも、しちゃうかもしれない。
だけどしょうがないよね、母さんが心配なんだから。

今日の嬉しかったことは、アリエストルが大人しかったこと……ぐらいかな。明日も大人しいといいんだけど。
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