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第二章:旅立
第31話:英雄
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先輩。
自分より経験的に上な者を指し、後輩の対義語となる言葉である。
勿論、ユートが聞きたいのはそんな『先輩』という言葉の意味ではない。
「それがワールドガーディアンってヤツなのか?」
「あ、いえ。星騎士は全くの別人ですよ。そもそも、その方は最近になってから現れた人……ですから」
「そうなんだ」
「はい、蒼き騎士なんていう二つ名を頂戴するくらい方ですよ」
「へぇ、蒼き騎士ね」
取り敢えず、二つ名を貰えるなら相当な騎士なのだろうと納得しておく。
「ユートさんの先輩とは、星騎士でなく装主としてです」
「ああ、武姫絡みか」
ユートが扱う特別な武具――武姫、とはいってみても武姫その“者”は特別という程ではない。
資質こそ必須で成り手が少なくはあれ、間違いなく存在している概念である。
ユートが扱うのが特別なのは所謂、聖剣や聖槍の類いと契約した【閃姫】だったからだ。
「ユートさんの先輩に当たる人物が七大魔王と対峙、その際に手にしていたのが武姫であり、私達の同種の【天姫】だったんです」
「【天姫】……か」
「はい。一二人の【天姫】を連れて、その武具を携えた当代の装主がユートさんの先輩です」
「……」
だとしたら、世間一般で云う人類主の裏切者である【真姫】、その装主も先輩という事になるのでは?
そう考えて黙り込む。
「何を考えているのか判りますけど、そんなユートさんに残念な御知らせです」
「ま、まさか!?」
「はい。数百年前に天魔を斃したのもまた、ユートさんの先輩な装主ですね」
「つまり、【真姫】は……その先輩の武姫か」
「そうなります」
「ちょっと待てよ?」
「はい?」
ユートは大事な事実に気が付いてしまう。
「って事は、天魔を斃した装主もヒト種を裏切ったって話にならないか?」
「はい、その通りですよ。とはいっても装主は一応、英雄様ですから【真姫】が全ての咎を押し付けられた様なものですけどね」
「そういう話かよ。だけど何で裏切ったんだ?」
「正確に云うと裏切ったのは私達の方ですよ」
「……は?」
目を見開いてしまう。
その事実は考えていなかった話だし、クリスの言う事が本当なら歴史が覆る様な大事となる筈だ。
「先ずは、先代と先々代の装主が異世界人である事を御承知下さい」
「異世界人って、この世界から視てという話だよな」
「勿論です。そして地球人が召喚されていますね」
「っ!」
驚く程ではないのだが、改めて聞くとショックだ。
異世界人に地球人が拉致されるのは、物語なんかでは普通によくある事だ。
理解はしているが……
「地球人以外は?」
「基本的に居ませんよ」
「基本的にって?」
「稀に地球人以外にも召喚される人は居ます。ですがそれが=異星人かと云うと判りませんから」
「……別の異世界人か」
「そう捉えています」
召喚で通常喚ばれるのが地球の人間、時々だが別の異世界から人間が喚ばれる事もある……という。
「本当に拉致だな」
「そうですね」
「アハハ……」
ユートの心情的には拉致としか思えず、クリスからしても擁護が出来ないし、シーナは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「問題なのは寧ろ別の部分ですよ」
「と、言うと?」
「約千年前、約数百年前と英雄となるべく異世界人の装主が喚ばれ、役割こそ果たしましたが悉くが裏切られてしまい、魔王を滅ぼした【天魔】とそれを滅ぼし
た【天魔王】が誕生です。異世界から召喚された英雄というのは、だから迫害の対象となってしまいます」
「なっ!?」
「迫害って……」
眉を潜める話にユートとシーナは驚愕する。
「約三〇年前、この中央大陸から見て南方にある大陸のペンタラム王国が、英雄召喚の儀式を行いました」
「三〇年前にペンタラム王国……?」
「はい。所謂、一斉召喚というものだったらしくて、一時に数十人もの人が喚ばれたそうです」
「何で召喚を?」
「ペンタラム王国が費用をケチって魔物の間引きを怠った結果、その中の一匹が進化に進化を繰り返して、魔王化したらしいですよ。それを何とかしようとして召喚をしたんです」
「自業自得かよ!」
思わずツッコんだ。
「隣国のフェリシス王国も嘸や、迷惑を被った事でしょうね」
「それで英雄召喚をして、どうなったんだ?」
「最初は言葉巧みに動かしていたらしいです。魔王が操る魔物と戦い一人死に、また一人が死んでいって遂には最後の一人だけになってしまいましたが、魔王は滅ぼせたみたいですね」
「そりゃ、そうでなかったら今も魔王の脅威に晒されているわな」
「はい。その最後の一人が王宮に帰って来て宴を開いて……」
「油断してる処に?」
「そうです」
ユートの問いにクリスは確りと首肯した。
「最っ悪だな」
「その後の英雄の動向までは伝わっていませんけど、殺されたのか逃げ延びる事が出来たのか……」
「だけど、だとしたら」
千年程前に最初の装主を裏切り、数百年前に二代目装主を裏切り、三〇年ばかり前にも召喚をした英雄を裏切ったヴィオーラ人。
地球から無理矢理に召喚という名の誘拐なぞして、最後には裏切ってばかりの世界がこのヴィオーラ。
余りにも遣る瀬無い気分になったものだった。
「さて、暗くなっちゃいましたけど話を戻します」
「うん?」
「そういやぁ、何の話から魔王だ召喚だ裏切りだなんて繋がったっけ?」
行き成り戻せと言われ、ユートは首を傾げてしまったし、シーナも指折り数えて何の話か思い出そうと、内容を口に出してみる。
「ユートさんには魔導器を都合して欲しいという話、それを話すのに一から説明をしていたんですよ」
「「あ!」」
言われて思い出す。
「それでですね、実は……また南方大陸のペンタラム王国がやらかしまして」
「は? まさか!」
「魔物の間引きを滞らせ、魔王が誕生しています」
「半世紀も経たないのに、アホか? アホの国なのかペンタラム王国とやら!」
余りの莫迦さアホさ加減に憤るユート。
「今回もペンタラム王国は英雄召喚をして、地球から英雄を喚ぶ心算でしょう」
「舐めてるのか? 喚んだ英雄の地球人を謀殺しといてまた喚ぶとか!」
余りにも巫山戯た連中に憤る以上の殺意が湧くのはやはり、メンタルは地球人という事なのだろう。
「本来ならば喚ばれた英雄をサポートし、我々は彼の国へ資金なり何なりと提供をしなければなりません」
「それって、地球人を殺す手伝いと同義だよね?」
「正解です、シーナさん」
シーナからの鋭い質問にクリスは頷く。
「ですが事情が少しばかり変わりまして、勇者が選定されたらしいのです」
「「勇者?」」
「はい、フェリシア王国の田舎に星霊の加護を受けた勇者が選定され、王都へと向かったのだと聞きます」
「それはいつの話だ?」
「話そのものは最近です。とはいっても、勇者が王都に向かったのは一週間前。一ヶ月もしない内に着くのでしょうし、出来たら勇者が王都を出る前に何らかの魔導具でも贈れば、我が国としての面子も充分に保たれますし、下手にペンタラム王国には協力したくありませんから」
「それってさ、フェリシア王国に協力したらペンタラム王国に協力しなくて済むって事なのか?」
「はい!」
クリスのそれは清々しいまでの笑顔で、若干ながらユートは引いてしまった。
「ねぇ、勇者って英雄とは違うんだよね?」
「違いますよ。英雄とは、飽く迄も召喚された異世界の人間を指します。どういう理屈なのか、彼ら召喚をされた人達は強力なスキルを幾つも所持しています。レベルも上がり易い上に、ステイタス値の上がり幅も大きいみたいですね」
「理屈は解んない?」
「嘗ては女神アーシエル様が使った術式だけに何か、特別な仕掛けが施されていた可能性もあります」
「そっか、じゃあ勇者というのは?」
「勇者は星霊の加護を受けたこの世界の人間、能力もそれなりに高くなっていますし、勇者用のスキルとか魔法も存在するのだとか」
「勇者は生まれ付き勇者なのかな?」
疑問を持ったシーナは、次々とクリスに訊ねる。
「それは違います。勇者が選定される条件とかは判明してませんが、魔王が現れたりと世界に某かが起きた場合、世界の自浄力として誰かが選ばれます」
「つまり、英雄は薬で勇者は白血球みたいな存在って事なのかな」
シーナは英雄と勇者の違いに納得したらしい。
「ユートは?」
「ユートさんは嘗て地球の人間でしたが、今現在ではヴィオーラの人間なので、英雄には成り得ませんね。かといって星霊に選ばれた訳でも無いので勇者という訳でもありません」
英雄でも勇者でも無い。
それは何なのか? と問われても本人にすら答えは判らなかった。
「まぁ、僕が何なのかは今は良い話だろうさ。それとクリス、これを造るから贈るのはどうだ?」
それは【魔法の鞄】で、空間を湾曲させる事により内部を拡げ、更に時間停止すら行われた代物。
RPGでは今や御約束にも近い代物だし、“勇者”が持てば確かに役立つアイテムであろう。
「成程、それは良さそうな物ですね。ならユートさんにはそれをお願いします」
「ああ、任された。良い物に仕上げてみせるよ」
「若し必要な物があったら融通もしますね」
「じゃあ、魔物の皮を鞣した鞣し革が必要なんだが」
「ああ、外側には要りますよね。判りました、それなら街に入ったらちょっと店にでも行きましょうか」
「背中に背負うリュックタイプ、腰のベルトに付けるポーチタイプとどっちが良いかな?」
「容量とかに変化は?」
「外観で容量や重量なんかは変わらんよ」
「ならポーチタイプが良いかと。勿論、シーナさんが使っているファンシーなのでは困りますが」
「男が身に付けて不思議じゃないのを造るさ」
ここに来てトントン拍子に話が進み、クリスからしてみれば万々歳である。
シーナが腰のベルトへと着けているのは、ピンク色で模様が星とかファンシーな外観、男としては着けたいとも思うまい。
話も終わり、ユートもシーナもクリスも各々が思い思いに休みを取る事になった。
自分より経験的に上な者を指し、後輩の対義語となる言葉である。
勿論、ユートが聞きたいのはそんな『先輩』という言葉の意味ではない。
「それがワールドガーディアンってヤツなのか?」
「あ、いえ。星騎士は全くの別人ですよ。そもそも、その方は最近になってから現れた人……ですから」
「そうなんだ」
「はい、蒼き騎士なんていう二つ名を頂戴するくらい方ですよ」
「へぇ、蒼き騎士ね」
取り敢えず、二つ名を貰えるなら相当な騎士なのだろうと納得しておく。
「ユートさんの先輩とは、星騎士でなく装主としてです」
「ああ、武姫絡みか」
ユートが扱う特別な武具――武姫、とはいってみても武姫その“者”は特別という程ではない。
資質こそ必須で成り手が少なくはあれ、間違いなく存在している概念である。
ユートが扱うのが特別なのは所謂、聖剣や聖槍の類いと契約した【閃姫】だったからだ。
「ユートさんの先輩に当たる人物が七大魔王と対峙、その際に手にしていたのが武姫であり、私達の同種の【天姫】だったんです」
「【天姫】……か」
「はい。一二人の【天姫】を連れて、その武具を携えた当代の装主がユートさんの先輩です」
「……」
だとしたら、世間一般で云う人類主の裏切者である【真姫】、その装主も先輩という事になるのでは?
そう考えて黙り込む。
「何を考えているのか判りますけど、そんなユートさんに残念な御知らせです」
「ま、まさか!?」
「はい。数百年前に天魔を斃したのもまた、ユートさんの先輩な装主ですね」
「つまり、【真姫】は……その先輩の武姫か」
「そうなります」
「ちょっと待てよ?」
「はい?」
ユートは大事な事実に気が付いてしまう。
「って事は、天魔を斃した装主もヒト種を裏切ったって話にならないか?」
「はい、その通りですよ。とはいっても装主は一応、英雄様ですから【真姫】が全ての咎を押し付けられた様なものですけどね」
「そういう話かよ。だけど何で裏切ったんだ?」
「正確に云うと裏切ったのは私達の方ですよ」
「……は?」
目を見開いてしまう。
その事実は考えていなかった話だし、クリスの言う事が本当なら歴史が覆る様な大事となる筈だ。
「先ずは、先代と先々代の装主が異世界人である事を御承知下さい」
「異世界人って、この世界から視てという話だよな」
「勿論です。そして地球人が召喚されていますね」
「っ!」
驚く程ではないのだが、改めて聞くとショックだ。
異世界人に地球人が拉致されるのは、物語なんかでは普通によくある事だ。
理解はしているが……
「地球人以外は?」
「基本的に居ませんよ」
「基本的にって?」
「稀に地球人以外にも召喚される人は居ます。ですがそれが=異星人かと云うと判りませんから」
「……別の異世界人か」
「そう捉えています」
召喚で通常喚ばれるのが地球の人間、時々だが別の異世界から人間が喚ばれる事もある……という。
「本当に拉致だな」
「そうですね」
「アハハ……」
ユートの心情的には拉致としか思えず、クリスからしても擁護が出来ないし、シーナは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「問題なのは寧ろ別の部分ですよ」
「と、言うと?」
「約千年前、約数百年前と英雄となるべく異世界人の装主が喚ばれ、役割こそ果たしましたが悉くが裏切られてしまい、魔王を滅ぼした【天魔】とそれを滅ぼし
た【天魔王】が誕生です。異世界から召喚された英雄というのは、だから迫害の対象となってしまいます」
「なっ!?」
「迫害って……」
眉を潜める話にユートとシーナは驚愕する。
「約三〇年前、この中央大陸から見て南方にある大陸のペンタラム王国が、英雄召喚の儀式を行いました」
「三〇年前にペンタラム王国……?」
「はい。所謂、一斉召喚というものだったらしくて、一時に数十人もの人が喚ばれたそうです」
「何で召喚を?」
「ペンタラム王国が費用をケチって魔物の間引きを怠った結果、その中の一匹が進化に進化を繰り返して、魔王化したらしいですよ。それを何とかしようとして召喚をしたんです」
「自業自得かよ!」
思わずツッコんだ。
「隣国のフェリシス王国も嘸や、迷惑を被った事でしょうね」
「それで英雄召喚をして、どうなったんだ?」
「最初は言葉巧みに動かしていたらしいです。魔王が操る魔物と戦い一人死に、また一人が死んでいって遂には最後の一人だけになってしまいましたが、魔王は滅ぼせたみたいですね」
「そりゃ、そうでなかったら今も魔王の脅威に晒されているわな」
「はい。その最後の一人が王宮に帰って来て宴を開いて……」
「油断してる処に?」
「そうです」
ユートの問いにクリスは確りと首肯した。
「最っ悪だな」
「その後の英雄の動向までは伝わっていませんけど、殺されたのか逃げ延びる事が出来たのか……」
「だけど、だとしたら」
千年程前に最初の装主を裏切り、数百年前に二代目装主を裏切り、三〇年ばかり前にも召喚をした英雄を裏切ったヴィオーラ人。
地球から無理矢理に召喚という名の誘拐なぞして、最後には裏切ってばかりの世界がこのヴィオーラ。
余りにも遣る瀬無い気分になったものだった。
「さて、暗くなっちゃいましたけど話を戻します」
「うん?」
「そういやぁ、何の話から魔王だ召喚だ裏切りだなんて繋がったっけ?」
行き成り戻せと言われ、ユートは首を傾げてしまったし、シーナも指折り数えて何の話か思い出そうと、内容を口に出してみる。
「ユートさんには魔導器を都合して欲しいという話、それを話すのに一から説明をしていたんですよ」
「「あ!」」
言われて思い出す。
「それでですね、実は……また南方大陸のペンタラム王国がやらかしまして」
「は? まさか!」
「魔物の間引きを滞らせ、魔王が誕生しています」
「半世紀も経たないのに、アホか? アホの国なのかペンタラム王国とやら!」
余りの莫迦さアホさ加減に憤るユート。
「今回もペンタラム王国は英雄召喚をして、地球から英雄を喚ぶ心算でしょう」
「舐めてるのか? 喚んだ英雄の地球人を謀殺しといてまた喚ぶとか!」
余りにも巫山戯た連中に憤る以上の殺意が湧くのはやはり、メンタルは地球人という事なのだろう。
「本来ならば喚ばれた英雄をサポートし、我々は彼の国へ資金なり何なりと提供をしなければなりません」
「それって、地球人を殺す手伝いと同義だよね?」
「正解です、シーナさん」
シーナからの鋭い質問にクリスは頷く。
「ですが事情が少しばかり変わりまして、勇者が選定されたらしいのです」
「「勇者?」」
「はい、フェリシア王国の田舎に星霊の加護を受けた勇者が選定され、王都へと向かったのだと聞きます」
「それはいつの話だ?」
「話そのものは最近です。とはいっても、勇者が王都に向かったのは一週間前。一ヶ月もしない内に着くのでしょうし、出来たら勇者が王都を出る前に何らかの魔導具でも贈れば、我が国としての面子も充分に保たれますし、下手にペンタラム王国には協力したくありませんから」
「それってさ、フェリシア王国に協力したらペンタラム王国に協力しなくて済むって事なのか?」
「はい!」
クリスのそれは清々しいまでの笑顔で、若干ながらユートは引いてしまった。
「ねぇ、勇者って英雄とは違うんだよね?」
「違いますよ。英雄とは、飽く迄も召喚された異世界の人間を指します。どういう理屈なのか、彼ら召喚をされた人達は強力なスキルを幾つも所持しています。レベルも上がり易い上に、ステイタス値の上がり幅も大きいみたいですね」
「理屈は解んない?」
「嘗ては女神アーシエル様が使った術式だけに何か、特別な仕掛けが施されていた可能性もあります」
「そっか、じゃあ勇者というのは?」
「勇者は星霊の加護を受けたこの世界の人間、能力もそれなりに高くなっていますし、勇者用のスキルとか魔法も存在するのだとか」
「勇者は生まれ付き勇者なのかな?」
疑問を持ったシーナは、次々とクリスに訊ねる。
「それは違います。勇者が選定される条件とかは判明してませんが、魔王が現れたりと世界に某かが起きた場合、世界の自浄力として誰かが選ばれます」
「つまり、英雄は薬で勇者は白血球みたいな存在って事なのかな」
シーナは英雄と勇者の違いに納得したらしい。
「ユートは?」
「ユートさんは嘗て地球の人間でしたが、今現在ではヴィオーラの人間なので、英雄には成り得ませんね。かといって星霊に選ばれた訳でも無いので勇者という訳でもありません」
英雄でも勇者でも無い。
それは何なのか? と問われても本人にすら答えは判らなかった。
「まぁ、僕が何なのかは今は良い話だろうさ。それとクリス、これを造るから贈るのはどうだ?」
それは【魔法の鞄】で、空間を湾曲させる事により内部を拡げ、更に時間停止すら行われた代物。
RPGでは今や御約束にも近い代物だし、“勇者”が持てば確かに役立つアイテムであろう。
「成程、それは良さそうな物ですね。ならユートさんにはそれをお願いします」
「ああ、任された。良い物に仕上げてみせるよ」
「若し必要な物があったら融通もしますね」
「じゃあ、魔物の皮を鞣した鞣し革が必要なんだが」
「ああ、外側には要りますよね。判りました、それなら街に入ったらちょっと店にでも行きましょうか」
「背中に背負うリュックタイプ、腰のベルトに付けるポーチタイプとどっちが良いかな?」
「容量とかに変化は?」
「外観で容量や重量なんかは変わらんよ」
「ならポーチタイプが良いかと。勿論、シーナさんが使っているファンシーなのでは困りますが」
「男が身に付けて不思議じゃないのを造るさ」
ここに来てトントン拍子に話が進み、クリスからしてみれば万々歳である。
シーナが腰のベルトへと着けているのは、ピンク色で模様が星とかファンシーな外観、男としては着けたいとも思うまい。
話も終わり、ユートもシーナもクリスも各々が思い思いに休みを取る事になった。
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