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中等部

【尊き貴族】

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「怒られてしまいますね…」

セバスさんに『不審者が侵入しました。一緒に探しましょう?』と首根っこ掴まえられてから数時間後。

私は旦那様の元へ急いで戻りました。
その間に少し試食の手伝いと少し掃除の手伝いと少し帳簿を手伝い少し会話をして戻ったのですが、どうやら遅かったようです。

邸の執務室の扉を静かに開いたらお客人が居ました。

旦那様の元に再び王国から来客が来ていました。
今回は三人。
しかもお一人は兎獣人です。

ピコピコ動くお耳がとても愛らしいです。

「遅れて申し訳ございません」

「ルクイア。どこへ行っていた」

「邸の周囲を捜索していました。」

旦那様は不機嫌そうな顔をします。
私がルイ様にお会いしたか、疑っているのでしょう。

旦那様は今は亡き奥方様…あ、いえ奥方様は生きているのですが、旦那様が死んだ、と言うのです。
とりあえず奥方様が残したルイ様をとても大切にしています。

ですがセバスさんや数人の使用人だけを残し、他は近寄れないようにするのは、可哀想だと思います。

「挨拶しろ」

「初めまして、私はルクイアです。」

「…こいつはニジュウニ。こいつはゴウだ」

兎獣人の方がとても冷たい視線を送ります。

なぜ自身の名を名乗らないのでしょうか?…名前がない…当家に招かれたならありますよね…なら、隠しているのかな?

私はなぜかとても悲しい気持ちになりました。

「王国では教養がないのですね…可哀想に…ここで少しでも身に付けられたら良いですね」

貴族に名乗らないなんて、なんと愚かで…哀れなのでしょうか。
やはり王国での獣人差別は酷いと思います。ここまでの馬鹿を育てる教育は間違っています。

私はとても可哀想な者を見てしまいました。

私の国はとても品が良いです。
なので滞在中少しでも身なりやルールを学べられたら良いと思います。

「ロクさん言われてやんの」

「こら、ニジュウニくん!ロクさんに失礼だろ」

他のお二方は笑いを堪えています。
お二方は人間のようです。やはり人間にはこの方の異常さを感じ取れるのですね。

「ルクイア、暫く面倒を見てやれ」

「分かりました。」

私は旦那様にお辞儀をし、お三方が執務室から出るように扉を開いて促します。

「神月祭の件、考えて下さいね」

「断る」

なにやら旦那様にお願い事をしているようです。
神月祭は私達がわざわざ宗国へ出向き、そして神殿で神に祈りを捧げるのです。

宗国が大帝国二つに挟まれているのに生き延びているのは、そこにあります。

どうやら宗国の神殿へ行けば神の天啓を受ける事があるらしいです。
ですので、私達高位貴族や皇帝一族が出向くのです。

「旦那様は行かないのですか?」

「行くのは私とルクイアだけだ」

ではさっきの『断る』は、奥方様かルイ様の事ですね。
やはり王国人は厚顔無恥ですね。

「客室へ案内します」

「ありがとう。君、小さいのに偉いね」

「邸の使用人…にしては幼いな」

お二方が私の頭を撫でます。撫でられるのは初めてです。
やはり王国人ですね。無礼を平然と行います。

「私はルクイアです」

「?さっきも言ってたよ?」

「ルクイア…あ、」

どうやらゴウと呼ばれる方は気がついたようです。
ですが獣人とニジュウニさんは気がついていません。

無知な方を憐れに思います。ですが、優しくするのも貴族の務めでしょう。

「私はルクイア。ルクイア・カロアスです」

「え、カロアス子息!?」

「やっぱり…」

「………」

「……ルクイア。早く案内しなさい」

「申し訳ございません」

驚愕する獣人とニジュウニさんとゴウさんを連れて私は執務室から出ます。

私はルクイア。ルクイア・カロアスです。

旦那様が先月邸へ住むように許可をだしてくださいました。
どうやらルイ様が学園へ通うので、付添人が欲しかったようです。

まだルイ様にお会いした事はないのですが、絶世のと女使用人が会話していたのを聞きました。

セバスさんの言うとおりなら美しく病弱で儚く、心優しい方だそうです。

正統な公爵の尊き血筋であるルイ様に会える日を楽しみにしています。

「あ、獣人は外で寝ますか?それとも客室で大丈夫ですか?」

それまで私は完璧な人間になりたいです!
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