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留木原 夜という人間

【快楽】

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「る、い…?」

「…ろき、さま」

震えた声で答える。
今のロキ様は"別の人"かもしれない。

「…………よ、る?」

「ッ」

ロキ様が僕の前世の名前を呼ぶと同時に微笑む。
それが怖くてしかたない。

(反応してはダメだ反応してはダメだ)

「だ、れですか?」

僕はいつも通り微笑んだ。
恐怖で震えながらも。

「……?る…い?よ…る、る?……こ、こっちきてて?」

ロキ様は変わらず微笑んでいる。
だけどおかしい。怖い。

「どうした?」

キリエ様が様子を伺いに僕達を見る。

(ダメだ…零ならキリエ様が危ないっ!)

「だ、大丈夫で…す。」

どうにかして捻り出した声は自分でも驚くほど小さかった。

今までルイ・カロアスをしてきて怖い経験は数えきれないほどしてきた。
でも、殺された時の事が…いつまでもいつまでもいつまでもっ…忘れられない。

「……ロキ様。ルイ・カロアスの魔力が乱れています。
危険ですので下がらせます。」

「だ、だめだ。ゆゆるさない。」

「………ロキ様。ルイ・カロアスは危険ですので下がらせます。」

キリエ様が険しい顔をする。その位今の状態は変だ。

「キリエさ…おい、どうしてあぁなった」

「…スクエア公爵に誘われ神殿へ向かっている最中にロキ様が倒れられました。」

「…神殿」
    
まさか…神の介入…?

「ロ…キ、さま」

僕はロキ様に近づく。
恐らく今のロキ様は記憶が混濁しているのだ。

僕もルイ・カロアスになった時、元の人格と混濁していた様な事があった。
だが暫くしてルイ・カロアスの人格が消え、僕が体の主となっていた。
このままいけばロキ様は消え、零が現れるだろう。

ロキ様を零にあげる訳にはいかない。

「ロキ様」

「よ、るる、る?る、る?い?」

「私の名はルイ・カロアス。
公爵爵位を授かりしカロアス家嫡男、ルイ・カロアスです。
そして貴方は同じく公爵爵位を授かりしスクエア家嫡男、ロキ・スクエア様でございます。」

「??ろ、きき??お、れ?は?」

僕は震えた手でロキ様の顔を包む。

「起きてくださいロキ様…早く遊びましょう」

「ろ、れ?」

「ロキ様」

僕はロキ様に語り続ける。

(…これ以上僕から奪わないで…零)

「る、い。ル…イ」

ロキ様が僕を抱き締める。

このままいけばロキ様が戻ってくるかもしれない。

「何をしている。スクエア」

「!?ロイス!?」

僕はロイスに引っ張られロイスの腕の中にいた。

(なぜロイスがここに?いや、それより…)

「る…い…」

ロキ様が僕に手を伸ばすので僕も伸ばす。

「離れろ…命令だ、スクエア公爵」

「すく、えあ?」

「貴方はロキ・スクエアです。」

「ロ、キ…すく、えあ」

ロキ様の瞳が以前の様な美しく残酷な赤に戻ってきている。

後一押し!

「…ルイ」

「はい?」

僕はロイスに呼ばれたので条件反射で返事をする。

「!?ッ…ふァ…ン…ァ…」

ロイスが僕にキスをして魔力を抜く。

背中がゾクゾクする快楽に僕はつい恥ずかしい声をあげてしまう。

「ル…い…ル、イ…」

「ゃ…ぁン…」

まだ精通していない下半身を無意識にロイスに擦りつける。

「ッルイ」

ロイスが嬉しそうな顔をして魔力を抜くスピードをあげる。

(ダメだ…気持ち良すぎて…もう…)

「あぁ…ッ…!ぃや…だ、んン!?みないっでぇ…ン」

自身の喘ぎ声を恥てボリュームを押さえていたが、強い快楽が与えられ、視界がチカチカして真っ白になる事で声の制御が不可能になりつつあった。

(なにかきちゃう…)

そう思った時には遅かった。

「や"っあ!~~~~~っ!!!」

僕は体を弓なりに反らせてイッた。

射精できない性で快楽が体から逃げず、何度ももたらされる"それ"を僕はただただ受け入れる事しかできなかった。

そうしている内に僕は気絶した。
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