例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

【学園】

手錠は結局、外されなかった。

満足いく結果じゃなくて僕は拗ねた。
おはよう、と言われても無視。お菓子食べよう、と言われたら無言で食べる。

そんな事をしていたらある日ロキ様が言った。

ーーー『ルイ。学園に行こう』、と。

勿論僕は大喜びで賛成した。
これでシナリオが始まる！、と。　

だが、僕はロキ様を甘く見ていた。

「ここが図書館だよ」

確かに学園には来ている。だがこれは見学、だよね。
いや、そうだけどそうじゃないんだ、ロキ様！

しかも何故手錠はそのまま！？凄く見られてるよ、僕達！！

悪役じゃなくて頭が可笑しい人、に変更する気無いよ僕！

「ワー！スゴーイ！」

一応連れて来てくれたので喜んでる風にする。
そこは一回目の時、何度も来た付属の図書館だ。

学園に馴染めないルイは一日の殆どを此処で過ごす、と言う設定だし。
僕はここで魔法や伝承を一生懸命調べた。
他の科目は日本より遅れてるし、はっきり言って簡単だったから無視。

テストの順位で１位がロイス、１１位が僕、と数字を同じにするのに頑張った。

「…次は児童会に行こうか」

児童会…児童の中から選ばれた優秀な子供達が集まる会。

勿論ロキ様も含めて重要キャラだ。

「ぼ、僕は疲れたからもう結構。さぁ帰ろう」

ロイス様達と会ってしまう前に！

「ここまで来たんだし、軽く見ていきなよ」

あぁ今日はロキ様が悪魔に感じるよ…。

「疲れたと言っている。僕の言う事が聞けないのか、間抜け」

残念だったなロキ様！僕は悪役歴が長いんだ！この位対応出来る！

はははは！と心の中で笑った。

「なら児童会で少し休むと良いよ。ここから門まで、遠いからね。」

あ、しまった！確かに児童会の方が此処から近い。
まるで謀ったかの様なタイミングだ。
いや、ゲームを知らないロキ様が謀るも何も無いんだけどね。

「それとも…何か行きたくない事情でも有るのかな？」

「無いさ！さぁ行こう！」

あ、つい勢いで言っちゃった。

「…そっか。じゃあ行こう」

今日はロキ様が魔王に感じるよ！

あれ？ちょっと待って僕、手錠したまま行くの！？