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逃亡

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「………………」

「………………?」

 俺に襲いかかる勇者を待って何分たっただろう?
いまだに痛みはない。

正確には痛みはある。勇者に押し倒された時にぶつけた頭が痛い。ここ、土の上。勇者も手加減してくれよ。

 俺はそろそろと目を開けた。

 そこには何故か残念がる勇者がいた。

「美味しくない」

 食べてもないのに???
死を受け入れた奴にそれ、酷くない???

…などと思ってしまうのは許して欲しい。

「…えっと、どうするんだ?」

「美味しそうにして」

 なんか凄い無茶ぶりをしてきたぞこの勇者。

「こ、胡椒かけるか?」

 色々驚き過ぎていまだに混乱中の俺の口からは何とも間抜けな言葉が出た。

「さっきの顔をして。あれが良い」

「は?」

 さっきの顔??どういう顔だ?

 とりあえず俺は笑ってみた。表情は固いかも知れないが。

「違う」

「なら…こう? 」

 次は睨んでみた。すると勇者は何故か不満顔だ。

「まぁ良い。食えれば全部一緒」

「美味しい方が良くないか?手をどけてくれればさっきの顔にしてやるぞ」

「…本気か?」

 勇者が怪訝そうな顔をする。

 …この勇者は不思議で仕方がない。
金髪に青い瞳。そして整った顔立ち。どれも王族を特徴する容姿だ。
でも勇者の名前を王族名簿で見た事がない。貴族名簿でもだ。
ならば庶子か市民。
だがそれにしては国王に会った時、城にいた時の仕草が良すぎた。
あれは教育によるものだ。

 本当に不思議な勇者だ。時々子供にも見えるし。

「このままだと不味い味かも知れないぞ?」

 俺は軽く微笑む。勿論作り笑顔だが。

「わかった」

 不満顔をしている勇者が俺から退く。
身長も力も全て俺が劣っているから、油断しているのだ。

窮鼠猫を噛む

という言葉は習わなかったみたいだな!!

「ぐッ!!」

「よしっ!!!」

 俺は勇者に剣が刺さった事で笑って喜んだ。

「ッ~~~~!!」

 勇者が赤面した事をしらずに。

 俺は麻痺が塗ってある剣を勇者の脇腹に刺した。
勿論死なない程度に。魔物避け薬も大量に撒いていたし大丈夫だろう。

ここは森の中!つまり俺の得意分野!!


俺は全速力で走り出した。


ーーーーー俺は死を受け入れた

だが…

「王公貴族の機密情報を魔族にバラしてやるぜ!!!」

 死ぬのはそれからに決まっているだろう!!
優しい王女達を捨てた奴らが生きているなんて間違っている!!!

 俺は走りながら悪どい顔で笑った。

「それまで死ねるか!!!!!」

 俺はただ走った。隣国へ。一旦身を隠すために。













「そうだよ。その顔…うぅっ!…はぁ…美味しそう。

駄目だ。我慢しなくては…でも…※※※※※※を※※※※※※したら※※※※※※※になって…あぁ我慢我慢我慢我慢我慢我慢!魔王たおすまでガマンするんだ。レビル…俺のレビル。俺だけのレビルなんだから大丈夫だ。レビルの※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※」







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