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再会
6,5話 アーカイルとラチィルダ
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『次の魔王様はアーカイル殿で間違いないですな』
『いやいや、ラチィルダ様も捨てがたい』
俺は産まれる前から魔王候補だった。
純血種の血が少しだけ入っているから、そんな理由だけで。
俺はパーティー会場を抜け出して庭園へ向う。
そこには魔王候補のラチィルダが待っていた。
庭園でも人が来ない草むらに俺達は座る。
『アーカイル…僕は魔王になりたくない。僕は自由に生きたい』
ラチィルダが疲れたような顔つきで俺に言う。
幼馴染のラチィルダはいつもそう言っていた。
純血種の血が濃い魔族ほど一人を好む。その者たちは自由を好むのだ。
本当は俺より優秀なラチィルダ。
そんな彼が手を抜いて生きている事を俺は誰よりも知っていた。
…手を抜いていても魔王候補二位になっている事も、俺は知っていた。
俺は嫉妬で狂いそうになりながらもラチィルダの話を聞く。
そして、一通り終わった後に俺はラチィルダの紫色の瞳を見て言う。
『俺は魔王になりたい。この国をもっと豊かに、幸せな国にしたい』
そんな俺にラチィルダは嬉しそうに笑った。
『もし君が魔王になったら、僕はいつでも手を貸すよ』
『…本当にお前は嫌な奴だな』
『え?何??』
俺は黒い感情を抑えながらラチィルダにデコピンをしてその場を去る。
それがラチィルダとの最後の会話だった。
『いやいや、ラチィルダ様も捨てがたい』
俺は産まれる前から魔王候補だった。
純血種の血が少しだけ入っているから、そんな理由だけで。
俺はパーティー会場を抜け出して庭園へ向う。
そこには魔王候補のラチィルダが待っていた。
庭園でも人が来ない草むらに俺達は座る。
『アーカイル…僕は魔王になりたくない。僕は自由に生きたい』
ラチィルダが疲れたような顔つきで俺に言う。
幼馴染のラチィルダはいつもそう言っていた。
純血種の血が濃い魔族ほど一人を好む。その者たちは自由を好むのだ。
本当は俺より優秀なラチィルダ。
そんな彼が手を抜いて生きている事を俺は誰よりも知っていた。
…手を抜いていても魔王候補二位になっている事も、俺は知っていた。
俺は嫉妬で狂いそうになりながらもラチィルダの話を聞く。
そして、一通り終わった後に俺はラチィルダの紫色の瞳を見て言う。
『俺は魔王になりたい。この国をもっと豊かに、幸せな国にしたい』
そんな俺にラチィルダは嬉しそうに笑った。
『もし君が魔王になったら、僕はいつでも手を貸すよ』
『…本当にお前は嫌な奴だな』
『え?何??』
俺は黒い感情を抑えながらラチィルダにデコピンをしてその場を去る。
それがラチィルダとの最後の会話だった。
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