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再会
5話 進んだ時
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「デュディ。なぜ竜神がこの国を攻めている」
「理由は不明です。ですが、農家や民家を狙って暴れている様です」
「あいつが理由もなしに攻撃するはずない」
俺はアーカイルをソファーに横たわらせたまま、過去五年分の資料を見ていた。
アーカイルが国全体に防御壁を張っていたのは俺の知人である竜神がこの国に攻撃をしていたから、らしい。
アーカイルは国全体に防御壁を張るのを一人で行っていた。それも五年間も。
流石俺の魔王であり親友。
そして商人と闇取引をしていたレバス卿と脱税をしていたサビュラマ卿は手を取り合い闇市場なる物を作ったらしい。
他にも災害による作物の低下、橋などの補強。人間国との関係悪化。魔の森による魔物の増殖。
「変だな」
「…どうしました?」
デュディが明後日の方向を見ながら答える。
「この程度ならあいつが簡単に終わらせられるはずだ」
あいつは幼少期からこういう案件を解決していた。
だから魔王候補筆頭に名が上がったんだ。
「わざと泳がせているにしては被害が大きい。なら、誰かが…こちらの内情を知っている誰かがあいつの邪魔をしているな
ーーーーなぁ?デュディ」
「えっと、まぁ…私達ですね」
長男は財政管理課課長。つまり災害時の資金管理も請け負っている。
次男三男は人体実験をしている。つまり闇市は利用している可能性が高い。
そして四男は反魔族軍指揮官。拠点を置いている人間国に深い関わりがある。
「約束は、忘れたのか」
「ッ違います!ただ、私情で行動してしまったのです。どうしても、シャイニ様を見殺しにした魔族が許せないのです」
「本来、俺達はそういうものだ。快楽的衝動が強く、共感性が低い。
唯一変わらないのは絶対的支配者である魔王が全てという事だ」
俺はデュディの白い髪と薄水色の瞳を見る。
ーーー雪魔族。雪の妖精族と七代に渡り婚姻してきた魔族であり、強力な雪を操る力を持つ。その代わり他の能力に対する適正が低い。
そして、その実験的な婚姻から他の妖精や魔族に嫌悪される一族。
魔族の血が薄く、妖精の血が濃いデュディ達は魔王への忠誠心が低い。だから前魔王を隠居まで追い込めた。
「他の奴に殺されたならまた、魔王…様に忠誠を誓えました。ですが、その魔王…様が殺したのです。唯一無二の主を」
「だが俺は王妃と寝たんだ。なら処刑されてもおかしくない」
「…貴方はいつも矛盾している。どうして忠誠を誓っているのにいつもあいつの想い人たちを奪うのです?
今回だって、親友だと言っておきながら処刑されてもおかしくないと言う。」
「………お前達を残しているのは、使えるからだ。その事を忘れるな」
「はい。申し訳ございません」
デュディが頭を下げる。
その顔は全く反省していない。
「はぁ…竜神に会いに行ってくる」
「私もついていきます」
「お前はいらない。業務に戻れ」
「ですが…」
「デュディ」
「…かしこまりました」
再び頭を下げるデュディを放置して俺は旧神殿へ向かう。
「必ず…戻ってきてくださいね」
デュディの悲しい声が聞こえた。
「理由は不明です。ですが、農家や民家を狙って暴れている様です」
「あいつが理由もなしに攻撃するはずない」
俺はアーカイルをソファーに横たわらせたまま、過去五年分の資料を見ていた。
アーカイルが国全体に防御壁を張っていたのは俺の知人である竜神がこの国に攻撃をしていたから、らしい。
アーカイルは国全体に防御壁を張るのを一人で行っていた。それも五年間も。
流石俺の魔王であり親友。
そして商人と闇取引をしていたレバス卿と脱税をしていたサビュラマ卿は手を取り合い闇市場なる物を作ったらしい。
他にも災害による作物の低下、橋などの補強。人間国との関係悪化。魔の森による魔物の増殖。
「変だな」
「…どうしました?」
デュディが明後日の方向を見ながら答える。
「この程度ならあいつが簡単に終わらせられるはずだ」
あいつは幼少期からこういう案件を解決していた。
だから魔王候補筆頭に名が上がったんだ。
「わざと泳がせているにしては被害が大きい。なら、誰かが…こちらの内情を知っている誰かがあいつの邪魔をしているな
ーーーーなぁ?デュディ」
「えっと、まぁ…私達ですね」
長男は財政管理課課長。つまり災害時の資金管理も請け負っている。
次男三男は人体実験をしている。つまり闇市は利用している可能性が高い。
そして四男は反魔族軍指揮官。拠点を置いている人間国に深い関わりがある。
「約束は、忘れたのか」
「ッ違います!ただ、私情で行動してしまったのです。どうしても、シャイニ様を見殺しにした魔族が許せないのです」
「本来、俺達はそういうものだ。快楽的衝動が強く、共感性が低い。
唯一変わらないのは絶対的支配者である魔王が全てという事だ」
俺はデュディの白い髪と薄水色の瞳を見る。
ーーー雪魔族。雪の妖精族と七代に渡り婚姻してきた魔族であり、強力な雪を操る力を持つ。その代わり他の能力に対する適正が低い。
そして、その実験的な婚姻から他の妖精や魔族に嫌悪される一族。
魔族の血が薄く、妖精の血が濃いデュディ達は魔王への忠誠心が低い。だから前魔王を隠居まで追い込めた。
「他の奴に殺されたならまた、魔王…様に忠誠を誓えました。ですが、その魔王…様が殺したのです。唯一無二の主を」
「だが俺は王妃と寝たんだ。なら処刑されてもおかしくない」
「…貴方はいつも矛盾している。どうして忠誠を誓っているのにいつもあいつの想い人たちを奪うのです?
今回だって、親友だと言っておきながら処刑されてもおかしくないと言う。」
「………お前達を残しているのは、使えるからだ。その事を忘れるな」
「はい。申し訳ございません」
デュディが頭を下げる。
その顔は全く反省していない。
「はぁ…竜神に会いに行ってくる」
「私もついていきます」
「お前はいらない。業務に戻れ」
「ですが…」
「デュディ」
「…かしこまりました」
再び頭を下げるデュディを放置して俺は旧神殿へ向かう。
「必ず…戻ってきてくださいね」
デュディの悲しい声が聞こえた。
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