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再会
4話 再会
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「……シャイニ……」
「っ!?どうしたんだお前!?」
呆けた顔で此方を見ているアーカイルに俺は驚いた。
痩せこけた、真っ青な顔、艶を無くした黒髪に澄んだ色を失った青い瞳。
「アーカイル!大丈夫か?何があった!!」
「……シャイニ……シャイニ……」
此方へ来ようとするアーカイルを駆け寄って支える。
「ッ!アーカイル…なんでこんなに魔力が少ないんだ…」
書斎室のソファーへ座らせると俺はアーカイルの胸元に手を当て、魔力を確認した。
「国を防御壁で囲っているから…」
「なんでそんな事っ!俺がやるから今すぐ解いて治療を受けろ!このままじゃお前の体が持たない!」
このままだとアーカイルを失う。嫌だ。そんなの絶対に嫌だ。
「シャイニ…ごめん…俺、分かってなかった…失ってから、気がついた…遅かった…」
「アーカイル…?」
アーカイルが俺に手を伸ばす。
「ッ!貴様がそれを言うか!!シャイニ様をその手でっその手で殺しておきながらっ!!貴様が一番、知らなければいけなかったのにっ!それなのにっ…ッ…」
今まで黙って此方を見ていたデュディが突然怒鳴る。
こんなに怒鳴るデュディを俺は初めて見た。
「…は?今なんて…」
俺が、ころされた?
「何時までも被害者の様な振る舞いをして楽しいか!?シャイニ様は貴様に全てを捧げたのに!シャイニ様を加害者にするな!!!」
「……シャイニ…ごめん…俺が…シャイニを…」
「ま、待てよ。俺生きてるぞ?」
脈も打っているし魔力もある。それに、デュディの召喚もできている。
「「それは…いつもの」」
「夢です、から」
「幻覚…だから」
「………ん?」
どういう意味だ?
「本当のシャイニは、五年後に死んでるから…。俺が殺した、から…」
「アーカイルが、殺した…?」
「そうです。穢らわしい名前を呼ぶのも吐き気がする元王妃の売女に薬を盛られて一夜を共にしてしまったシャイニ様は翌日、そこの無知な魔王によって殺されました。」
「薬…」
俺はその時気がついた。朝から感じていた違和感に。
(どうして洞窟で目が覚めた。俺は、王妃の寝室へ運ばれていた所だったのに。
なぜベトラムチィス兄弟が全員俺の側にいない?反魔族軍はいつできた?)
城の使用人顔ぶれ、知らない貴族。他にも違和感を感じる所は多々あった。
「でも、俺は生きている」
「違う。シャイニは俺がっ…」
「アーカイル。お前の親友はそう簡単に死なない」
俺はアーカイルの手を取って俺の胸元に当てる。
アーカイルは俺と同じで魔力を読み取る事ができる。
「……なんで、…シャイニっ…シャイニ!!」
「デュディ。お前も来い」
涙を溢すアーカイルの頭を撫でながらデュディを呼び寄せる。
「……わかり、ました」
デュディは何が怖いのか恐る恐る近寄る。
「【我、契約を交じりし者、主に逆らいし者を罰せよ】」
「がッ!!」
デュディは俺達みたいに魔力を読み取れないから、契約を使う。
耐えられない程の痛みだから目を覚ますだろう。
「なっ!?でも、確かに…」
「【我、契約を交じりし者、主に逆らいし者を罰せよ】」
「ぐッ!!」
「どうだ?」
「でも、シャイニ様の遺体を私達は何千回も確認…」
「【我、契約を交じりし者、主に逆らいし者を罰せよ】」
「ぐェッ!!」
その後も何度も何度も何度も繰り返す。
そしてデュディから黒い煙が出始めた所で止めた。
「シャイニ、様……ッ~~~!シャイニ様!!!」
抱きつこうとしたデュディを避け書斎の机に頭を打ち付けさせる。
「アーカイル。わかったか?俺は生きている」
「でも、なんで生きて…」
「魔王の親友だぞ?できない事はないに決まっているだろう!」
死んだ日の事を思い出せない。でも、確かに俺は生きている。
だから…
「お前は少し眠れ」
「ぐッ!し、シャイ、に」
俺はアーカイルの魔力を乱して眠らせた。
「デュディ」
「はい!シャイニ様」
「五年間分の全ての資料を寄越せ」
アーカイルをここまで追い詰めた奴らを殺してやる。
「っ!?どうしたんだお前!?」
呆けた顔で此方を見ているアーカイルに俺は驚いた。
痩せこけた、真っ青な顔、艶を無くした黒髪に澄んだ色を失った青い瞳。
「アーカイル!大丈夫か?何があった!!」
「……シャイニ……シャイニ……」
此方へ来ようとするアーカイルを駆け寄って支える。
「ッ!アーカイル…なんでこんなに魔力が少ないんだ…」
書斎室のソファーへ座らせると俺はアーカイルの胸元に手を当て、魔力を確認した。
「国を防御壁で囲っているから…」
「なんでそんな事っ!俺がやるから今すぐ解いて治療を受けろ!このままじゃお前の体が持たない!」
このままだとアーカイルを失う。嫌だ。そんなの絶対に嫌だ。
「シャイニ…ごめん…俺、分かってなかった…失ってから、気がついた…遅かった…」
「アーカイル…?」
アーカイルが俺に手を伸ばす。
「ッ!貴様がそれを言うか!!シャイニ様をその手でっその手で殺しておきながらっ!!貴様が一番、知らなければいけなかったのにっ!それなのにっ…ッ…」
今まで黙って此方を見ていたデュディが突然怒鳴る。
こんなに怒鳴るデュディを俺は初めて見た。
「…は?今なんて…」
俺が、ころされた?
「何時までも被害者の様な振る舞いをして楽しいか!?シャイニ様は貴様に全てを捧げたのに!シャイニ様を加害者にするな!!!」
「……シャイニ…ごめん…俺が…シャイニを…」
「ま、待てよ。俺生きてるぞ?」
脈も打っているし魔力もある。それに、デュディの召喚もできている。
「「それは…いつもの」」
「夢です、から」
「幻覚…だから」
「………ん?」
どういう意味だ?
「本当のシャイニは、五年後に死んでるから…。俺が殺した、から…」
「アーカイルが、殺した…?」
「そうです。穢らわしい名前を呼ぶのも吐き気がする元王妃の売女に薬を盛られて一夜を共にしてしまったシャイニ様は翌日、そこの無知な魔王によって殺されました。」
「薬…」
俺はその時気がついた。朝から感じていた違和感に。
(どうして洞窟で目が覚めた。俺は、王妃の寝室へ運ばれていた所だったのに。
なぜベトラムチィス兄弟が全員俺の側にいない?反魔族軍はいつできた?)
城の使用人顔ぶれ、知らない貴族。他にも違和感を感じる所は多々あった。
「でも、俺は生きている」
「違う。シャイニは俺がっ…」
「アーカイル。お前の親友はそう簡単に死なない」
俺はアーカイルの手を取って俺の胸元に当てる。
アーカイルは俺と同じで魔力を読み取る事ができる。
「……なんで、…シャイニっ…シャイニ!!」
「デュディ。お前も来い」
涙を溢すアーカイルの頭を撫でながらデュディを呼び寄せる。
「……わかり、ました」
デュディは何が怖いのか恐る恐る近寄る。
「【我、契約を交じりし者、主に逆らいし者を罰せよ】」
「がッ!!」
デュディは俺達みたいに魔力を読み取れないから、契約を使う。
耐えられない程の痛みだから目を覚ますだろう。
「なっ!?でも、確かに…」
「【我、契約を交じりし者、主に逆らいし者を罰せよ】」
「ぐッ!!」
「どうだ?」
「でも、シャイニ様の遺体を私達は何千回も確認…」
「【我、契約を交じりし者、主に逆らいし者を罰せよ】」
「ぐェッ!!」
その後も何度も何度も何度も繰り返す。
そしてデュディから黒い煙が出始めた所で止めた。
「シャイニ、様……ッ~~~!シャイニ様!!!」
抱きつこうとしたデュディを避け書斎の机に頭を打ち付けさせる。
「アーカイル。わかったか?俺は生きている」
「でも、なんで生きて…」
「魔王の親友だぞ?できない事はないに決まっているだろう!」
死んだ日の事を思い出せない。でも、確かに俺は生きている。
だから…
「お前は少し眠れ」
「ぐッ!し、シャイ、に」
俺はアーカイルの魔力を乱して眠らせた。
「デュディ」
「はい!シャイニ様」
「五年間分の全ての資料を寄越せ」
アーカイルをここまで追い詰めた奴らを殺してやる。
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