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第2話 鉄鋼街のコロッケパン
第2話 鉄鋼街のコロッケパン 17
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「ま……まあでも、スジカイさんも無事そうですし良かったですね」
「ヘッヘッ、ありがとなお嬢ちゃん。あっ、そうだフブキの旦那」
サヤカがその場を一旦まとめると、スジカイはレンタロウの方に振り返った。
「実は一つ言伝を預かっておりやして」
「言伝? 誰からだ?」
「ジャンク・ホロウズのニシキ カズマからです」
「アイツが? でも何で俺とお前が組んでる事をアイツが知ってるんだ?」
「聞いた話じゃ、部下を使って旦那の動向を監視していたらしいですよ。旦那が撃たれた事を俺が知ったのも、奴から教えてもらったんです」
「そうか……やっぱ世界規模のマフィアの支部長になってくると、抜け目がねぇな。それで、ニシキは何て言ってたんだ?」
「状況は部下を通して全部把握しているから報告は不要だと。それとあの男の事を思い出したとも。どうやらあの男、昔この街の支部長を暗殺した事があるらしいですよ」
「そうか……まあ殺し屋だからな、カラスマは」
「らしいですねぇ。でもあの男、カラスマって言うんですかい? 一度その支部長と間違えて一般人を射殺しちまったらしいですね」
「一般人を?」
「へえ。というのも、その一般人とその時の支部長の顔が似ていたからとも。今の鉄工街付近でその一般人はやられちまったらしいです。昔の支部長も、その一般人の射殺事件を聞きつけて逃げようとしたところをカラスマにやられてますがね」
「鉄工街で……なるほど、そういう事」
カラスマが最期に言い残した後悔とレンタロウが導き出したマフと被害者の関係、そしてスジカイがニシキから聞いてきたその情報を合わせ、全ての事象が繋がり、真相が見えた。
数年前、殺し屋を始めて間も無いカラスマは、巨大マフィアであるジャック・ホロウズの、当時のハチマンシティ支部長暗殺を依頼された。
カラスマは支部長を捜す中、それらしい人物を鉄工街にて発見。射殺を目論みるが、撃った相手は支部長ではなく、マフの息子だった。
結局カラスマはその後、支部長の暗殺にも成功したのだが、最初の失敗に未練を抱き、以来毎日買い物という名目で、その場所を訪れていたのだった。
「……女々しい男だな」
レンタロウは窓の方を向き、誰にも聞こえないくらいの声量でそう呟いた。
「それでフブキの旦那、報酬なんですがね――」
スジカイが言いかけた刹那、レンタロウはすぐさま窓から目を離してスジカイの方を見た。
「言っとくが追加報酬なんて出さんからな」
「いやそういう訳じゃねぇんですが……でもちょいニュアンスは似てるか……」
先手を打たれたスジカイはそこで縮こまって黙ってしまうが、内容が気になったレンタロウは自分から制したのだが、その話を聞いてみる事にした。
「まあいいよ。んで、報酬がどうしたんだ?」
「いや実はですね、俺こういう仕事を今後しようと思ってるんです」
「こういう仕事?」
「なんて言うか、旦那のような人間のサポートをする仕事です。情報とかを集めて教えたりする――」
「ああ、情報屋か」
「そうそう、それです! そういうのになろうかと――」
「狙われるぞ」
「えっ?」
「だから、命を狙われるぞ情報屋は。しかも真っ先にな。情報は時に金よりも命よりも重くなるからな」
「うっ……」
今までその成り行きを見てきただろうレンタロウの言葉は、スジカイにとって重いものだった。
「まあいいや、やるかやらないかは。そんで? それと報酬がどう関係あるんだ?」
「えっ! あっ、あぁ……」
レンタロウが話を戻そうとすると、スジカイは僅かに動揺したが、話題は元の報酬の話に戻った。
「それで報酬についてなんですけどその……事業の頭金というか、主に移動のスクーターを買うためなんですが、もうちょっと頂けやせんかね?」
「却下」
「ええっ!? そんな即決だなんて……」
「契約を交わした後はほぼ変更なんて出来ない。例えそれが口約束だとしてもな。お前が本当にこの世界に足を入れる気なら、今後契約ってのには注意するんだな」
「そんなぁ……」
レンタロウの苦言に、スジカイはショックのあまり項垂れてしまった。
「ヘッヘッ、ありがとなお嬢ちゃん。あっ、そうだフブキの旦那」
サヤカがその場を一旦まとめると、スジカイはレンタロウの方に振り返った。
「実は一つ言伝を預かっておりやして」
「言伝? 誰からだ?」
「ジャンク・ホロウズのニシキ カズマからです」
「アイツが? でも何で俺とお前が組んでる事をアイツが知ってるんだ?」
「聞いた話じゃ、部下を使って旦那の動向を監視していたらしいですよ。旦那が撃たれた事を俺が知ったのも、奴から教えてもらったんです」
「そうか……やっぱ世界規模のマフィアの支部長になってくると、抜け目がねぇな。それで、ニシキは何て言ってたんだ?」
「状況は部下を通して全部把握しているから報告は不要だと。それとあの男の事を思い出したとも。どうやらあの男、昔この街の支部長を暗殺した事があるらしいですよ」
「そうか……まあ殺し屋だからな、カラスマは」
「らしいですねぇ。でもあの男、カラスマって言うんですかい? 一度その支部長と間違えて一般人を射殺しちまったらしいですね」
「一般人を?」
「へえ。というのも、その一般人とその時の支部長の顔が似ていたからとも。今の鉄工街付近でその一般人はやられちまったらしいです。昔の支部長も、その一般人の射殺事件を聞きつけて逃げようとしたところをカラスマにやられてますがね」
「鉄工街で……なるほど、そういう事」
カラスマが最期に言い残した後悔とレンタロウが導き出したマフと被害者の関係、そしてスジカイがニシキから聞いてきたその情報を合わせ、全ての事象が繋がり、真相が見えた。
数年前、殺し屋を始めて間も無いカラスマは、巨大マフィアであるジャック・ホロウズの、当時のハチマンシティ支部長暗殺を依頼された。
カラスマは支部長を捜す中、それらしい人物を鉄工街にて発見。射殺を目論みるが、撃った相手は支部長ではなく、マフの息子だった。
結局カラスマはその後、支部長の暗殺にも成功したのだが、最初の失敗に未練を抱き、以来毎日買い物という名目で、その場所を訪れていたのだった。
「……女々しい男だな」
レンタロウは窓の方を向き、誰にも聞こえないくらいの声量でそう呟いた。
「それでフブキの旦那、報酬なんですがね――」
スジカイが言いかけた刹那、レンタロウはすぐさま窓から目を離してスジカイの方を見た。
「言っとくが追加報酬なんて出さんからな」
「いやそういう訳じゃねぇんですが……でもちょいニュアンスは似てるか……」
先手を打たれたスジカイはそこで縮こまって黙ってしまうが、内容が気になったレンタロウは自分から制したのだが、その話を聞いてみる事にした。
「まあいいよ。んで、報酬がどうしたんだ?」
「いや実はですね、俺こういう仕事を今後しようと思ってるんです」
「こういう仕事?」
「なんて言うか、旦那のような人間のサポートをする仕事です。情報とかを集めて教えたりする――」
「ああ、情報屋か」
「そうそう、それです! そういうのになろうかと――」
「狙われるぞ」
「えっ?」
「だから、命を狙われるぞ情報屋は。しかも真っ先にな。情報は時に金よりも命よりも重くなるからな」
「うっ……」
今までその成り行きを見てきただろうレンタロウの言葉は、スジカイにとって重いものだった。
「まあいいや、やるかやらないかは。そんで? それと報酬がどう関係あるんだ?」
「えっ! あっ、あぁ……」
レンタロウが話を戻そうとすると、スジカイは僅かに動揺したが、話題は元の報酬の話に戻った。
「それで報酬についてなんですけどその……事業の頭金というか、主に移動のスクーターを買うためなんですが、もうちょっと頂けやせんかね?」
「却下」
「ええっ!? そんな即決だなんて……」
「契約を交わした後はほぼ変更なんて出来ない。例えそれが口約束だとしてもな。お前が本当にこの世界に足を入れる気なら、今後契約ってのには注意するんだな」
「そんなぁ……」
レンタロウの苦言に、スジカイはショックのあまり項垂れてしまった。
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