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学年末テストにて

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 山田里菜は自分の席で返却された前の学年末テストの成績表を見ていた。そこに載っている数字を見て一喜一憂していた。
 そこに、友達の佐藤恵里がこっそり後ろから近づいていった。里菜はその気配を感じ、とっさに成績表を隠した。恵里は口を尖らせ、里菜の肩に両腕をのせた。里菜は振り返らずそのまま、恵里に話しかけた。
「テストの結果見せてよー。なんでいつも見せてくれないの?」
「やだよ、恥ずかしい」
 里菜はそういい、振り返った。その時、手から成績表が地面に落ちた。理恵は瞬時に成績表に手を伸ばし、そこに載っている数字たちを見た。そして、恵里は口を開けたまま固まった。里菜は大きなため息をつき、理恵から成績表を取り上げた。
「な、なんで……。私の味方だと思っていたのに!」
 理恵はそう叫んだ。里菜はその言葉を聞き、軽く口を引きつらせた。理恵は里菜のことを恨んでいるかの様な目で見つめた。
「別にこれくらい普通でしょ?」
「ふ、ふつうなの?」
「そ、そうそう。普通だから」
 そういうと恵里は納得したのか、大きく頷いた。しかし、その数秒後にはその納得は消え去っていた。
「普通な訳無いでしょ!クラス四位だよ。私なんて、平均以下なのに、何でテスト期間一緒に遊んでるのにそんなに点数良いの――」
 恵里は段々と声を細くしていくのと同時に、肩が落ちていった。里菜は恵里の肩を元の位置に戻し、顔を近づけた。そして、一つの問を投げかけた。
「何でだか知りたい?」
 恵里は首を縦に振った。そして、里菜は怪しげな笑みを浮かべた。
「それじゃあ、今日の放課後、教えてあげる」
 そういうと、恵里は里菜にグーを差し出した。里菜はそれに拳を合わせる。二人の間に小さな笑いが生まれた。
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