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1章 なんで月に町が? なにそれ魔法??

やっぱり心温は天才魔法使い☆

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 大金を店の店主からもらった心温は、何を買うか決めるため商店街を歩き回っていた。
占い、高級食材、魔力測定所……。
商店街にはたくさんの店があり、優柔不断な心温には決められない。
「あーっもうどうしよう‼」
心温は、商店街でそう叫んだ。
まわりの人が「急に叫んでる……。なにこの人」という目で心温を見つめている。
(なんであたしは、こんなに優柔不断なのー!!)
 ものすごく悩みながら商店街をとぼとぼ歩いていると、いつの間にか商店街の入り口にいた。
ふと左を見ると、少し怪しげな店――のような建造物――があった。
壁は紫の布で覆われ、占いの館のようだ。
でも、占いの店はあったから違うのかな、と心温は考えた。
少し古めかしい木の看板には、『魔法専門店』と書いてある。
魔法かー! 面白そう! と心温は考え、店に飛び込んだ。
 「いらっしゃいませ。ここは魔法専門店」
店に入ると、店主らしき女性がそう言った。
女性は長くて硬そうな髪に、黒いワンピースを着ている。
手前の机には、商品がたくさん並べてある。
心温は、紫の宝石に赤いひもを通したものを手に取った。
宝石が、綺麗に輝いていたからだ。
「えっと、この宝石ってなんですか?」
店主らしき女性は、待っていたかのようにすぐ答えた。
「それは魔力の秘石。一回限り持ち主の魔法の威力が30倍になるの。でも――」
言い終わると、彼女は心温を見据えた。
ブルーブラックの瞳は、とてもきれいだと感じた。
「あなたには必要なさそうね」
 彼女は、人の魔力が見える人である。
彼女には、魔力が紫の炎となり、炎を体にまとっているように見える。
強ければ強いほど紫の炎が濃くなり、大きくなる。
心温の場合、ほぼ黒に近い炎で、体の幅の三倍はある幅の炎をまとっている。
 「どうして……ですか?」
魔力が強いなどと全く知らない当の本人は、店主に聞いた。
店主は表情も声色も変えず淡々と答えた。
「そのことなら居候させてもらっている家の人間なら知っている・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はずよ」
「はあ、そうですか……」
普通、「なぜ居候していると知っているの!」とか「あなた何者?」と騒いでいいのだが……。
 実際心温が魔力の秘石を所持すれば【ライト】は太陽ほどの明るさに、【ファイア】は大きいマンション10棟を軽々焼く威力、【ウォーター】は豪雨で増水した川の破壊力になり、【ウィンド】は人が軽々吹き飛ぶ強さになる。
 「あなたには、この本がいいと思うわ」
そう言って店主は、一冊の本を差し出した。
店の机に商品として置いてあったものだ。
その本はところどころ汚れていたり、塗装が取れていた。
表紙に『魔法全集』と書いてある。
「これは魔法がすべて載っているの」
「買います!」
心温は、即決した。
「ちょっと多いかもしれませんけど……」
心温は上金貨を差し出した。
「いいえ、大丈夫。金貨10枚のおつりよ」
店主は金貨を10枚差し出した。
あの本は金貨10枚だと気付いた。
 「ありがとうございました!」
心温は出口でお辞儀をした。
店主は何も言ってはくれなかったものの、笑顔で手を振ってくれた。
 心温は、あの店の店主さんって優しいんだなと思いながら、帰路についた。
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