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1章 なんで月に町が? なにそれ魔法??
天才魔法使い、和泉心温!②
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「心温様に魔力があると考えました」
わお、マジで!? 心温は驚いた。
「ではまず、基本の魔法について説明します。やってもらうのは【ライト】です。【ライト】と唱えるだけで、体が光ります。暗い所に行く時に便利です」
へえ、呪文とかないんだ。簡単だ。と心温は思った。
確かに、ゲームとかだと複雑な呪文ばかりだ。
光って! 心温はそう願いながら呪文を唱えた。
「【ライト】」
一秒後、部屋全体がまばゆい光に包まれた。
え、【ライト】ってこんなにすごいの!? 心温はあり得ない事態に呆然としていた。
(まぶしい……)
しばらくして、光は消えた。
「ま、まさかこんなに……」
タラコスパゲッティ……ではなくてタラべコスパ・ゲティが呟いた。
「では次、【ファイア】です。あの人形に向かって唱えてください」
光に少しうろたえていたものの、きっぱり言った。
あの人形が焦げていたのはこのせいか。と心温は気付いた。
心温は、右手のなんとなく人差し指と中指だけを立てて、人形を指さした。
「【ファイア】!」
思い切り、心温は唱えた。
直径1メートルはある火の玉が人形に衝突した。
人形は燃え、あっという間にその炎が絨毯に燃え移った。
ボオッと、音を立てて燃え始める。
「ええええ!? 燃えちゃう!」
心温はめちゃくちゃ慌てて右往左往していた。
だがタラべコスパだけは、平然としていた。
「【ウォーター】」
タラべコスパが、呪文を唱えた。
水の球が、炎へと向かって行く。
シュワアと音がして、一部だけ炎が消えた。
「全部消えてない!?」
心温は、どれだけ炎の威力が高いの!? と驚いていた。
自分で出したものだというのに。
「心温様! 【ウォーター】と唱えてください!」
タラべコスパが、必死になって叫んだ。
もう、心温が命綱のような存在である。
心温は、深呼吸をした。
(やる! 絶対に!)
心温は、そう決めた。
そして指先に意識を集中させ――
「【ウォーター】‼」
大量の水が川のようになって、火に向かって行く。
シュウウウウウウ‼
見事に火を跡形もなく消し去った。
「お、お見事です、心温様。次は扱いが難しい【ウィンド】の練習に移ります」
「【ウィンド】!」
心温は、そう唱えた。
奥にあった箱が風によって運ばれ、手元に渡った。
しかし、ホコリも運ばれてしまった。
「へ、へ、へっくしょん!」
服装だけは女子力がついたというのに、手で押さえないでクシャミをしてしまう。
心温には、女子力がこれからも一切つかないのかもしれない。
「信じられない……。あちこち行ってしまってうまく操れない【ウィンド】をたった一回で成功させるなんて……」
タラべコスパは、先から同じことをぶつぶつつぶやいている。
当の本人は、【ウィンド】を一発で成功させる凄さを知らないのだが。
「これで基本はできました。光・炎・水・風。これらの呪文は少しアレンジもできるのです」
「アレンジ?」
言葉の意味が分からず、心温は思わず敬語を使うのをやめてしまった。
「ええ、そうです。例えば……」
タラべコスパは、手を前に出した。
「【ウィンドボール】」
風の球が、目の前に現れた。
タラべコスパが手をパッと払うと、それは消えてしまった。
「このように、【ウィンド】は本当の風のように流れていきますが、アレンジしてボールにしました」
なるほど! 心温はそう思った。
タラべコスパさんは、教え方が上手だとも思った。
「では、ジュリエット様がご依頼されたことをするため、場所を移動しましょう」
わお、マジで!? 心温は驚いた。
「ではまず、基本の魔法について説明します。やってもらうのは【ライト】です。【ライト】と唱えるだけで、体が光ります。暗い所に行く時に便利です」
へえ、呪文とかないんだ。簡単だ。と心温は思った。
確かに、ゲームとかだと複雑な呪文ばかりだ。
光って! 心温はそう願いながら呪文を唱えた。
「【ライト】」
一秒後、部屋全体がまばゆい光に包まれた。
え、【ライト】ってこんなにすごいの!? 心温はあり得ない事態に呆然としていた。
(まぶしい……)
しばらくして、光は消えた。
「ま、まさかこんなに……」
タラコスパゲッティ……ではなくてタラべコスパ・ゲティが呟いた。
「では次、【ファイア】です。あの人形に向かって唱えてください」
光に少しうろたえていたものの、きっぱり言った。
あの人形が焦げていたのはこのせいか。と心温は気付いた。
心温は、右手のなんとなく人差し指と中指だけを立てて、人形を指さした。
「【ファイア】!」
思い切り、心温は唱えた。
直径1メートルはある火の玉が人形に衝突した。
人形は燃え、あっという間にその炎が絨毯に燃え移った。
ボオッと、音を立てて燃え始める。
「ええええ!? 燃えちゃう!」
心温はめちゃくちゃ慌てて右往左往していた。
だがタラべコスパだけは、平然としていた。
「【ウォーター】」
タラべコスパが、呪文を唱えた。
水の球が、炎へと向かって行く。
シュワアと音がして、一部だけ炎が消えた。
「全部消えてない!?」
心温は、どれだけ炎の威力が高いの!? と驚いていた。
自分で出したものだというのに。
「心温様! 【ウォーター】と唱えてください!」
タラべコスパが、必死になって叫んだ。
もう、心温が命綱のような存在である。
心温は、深呼吸をした。
(やる! 絶対に!)
心温は、そう決めた。
そして指先に意識を集中させ――
「【ウォーター】‼」
大量の水が川のようになって、火に向かって行く。
シュウウウウウウ‼
見事に火を跡形もなく消し去った。
「お、お見事です、心温様。次は扱いが難しい【ウィンド】の練習に移ります」
「【ウィンド】!」
心温は、そう唱えた。
奥にあった箱が風によって運ばれ、手元に渡った。
しかし、ホコリも運ばれてしまった。
「へ、へ、へっくしょん!」
服装だけは女子力がついたというのに、手で押さえないでクシャミをしてしまう。
心温には、女子力がこれからも一切つかないのかもしれない。
「信じられない……。あちこち行ってしまってうまく操れない【ウィンド】をたった一回で成功させるなんて……」
タラべコスパは、先から同じことをぶつぶつつぶやいている。
当の本人は、【ウィンド】を一発で成功させる凄さを知らないのだが。
「これで基本はできました。光・炎・水・風。これらの呪文は少しアレンジもできるのです」
「アレンジ?」
言葉の意味が分からず、心温は思わず敬語を使うのをやめてしまった。
「ええ、そうです。例えば……」
タラべコスパは、手を前に出した。
「【ウィンドボール】」
風の球が、目の前に現れた。
タラべコスパが手をパッと払うと、それは消えてしまった。
「このように、【ウィンド】は本当の風のように流れていきますが、アレンジしてボールにしました」
なるほど! 心温はそう思った。
タラべコスパさんは、教え方が上手だとも思った。
「では、ジュリエット様がご依頼されたことをするため、場所を移動しましょう」
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