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終章 聖女=国の心臓

聖女の意味とは……《オマスペルマス王side》

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 「えっ!? 聖女を廃止なさった!? どういう事ですか! 国を亡ばせるおつもりなのですか!?」
今、わしは新しい宰相サミュエルに、改めてアンジュを指名手配することを伝えておったのだが――変なことしか言わぬ。
聖女など、ただの役立たずではないか。
廃止しただけで国が亡ぶわけなかろう。
「というか、この国に居るはずだから指名手配では無いか。よしサミュエル、ティラー伯爵家の屋敷に行け」
わしが気付いてそう言うと、宰相の顔が青ざめた。
 「陛下! 聖女は国の心臓と言っても過言ではないです! 聖女の張る結界で魔物の侵入は防がれ、災害などの亡びにつながることを防いでいるのです! 魔物の邪気で作物が枯れるのを防いだりなどもです!」
……は?
聖女の結界で魔物が来なくなる?
災害を防ぐ?
作物が枯れるのを防ぐ?
確かに、これらの事はこれまで起きたことが無かった。
が、膝をつくだけの仕事で止められるはずが無い……。
この宰相は嘘を吐くのが好きなのか。
それより屋敷に行けっ‼
わしが叫ぼうとしたが――
 「陛下! オマスペルマス農村部の作物が全滅しました‼」
農民の格好をした奴の声に遮られた。
!?
騒々しい! が、どういうことだ!
「農村部で育てていた作物が、黒い霧に包まれるとすべて枯れていたんです……」
「そっそれは魔物の邪気ではないのか!? 陛下! これも聖女廃止の影響です!」
「ティラー伯爵家の屋敷に行け。アンジュを捕まえろ」
わしはそう言い放つ。
アンジュを捕まえる方が先だ。
食糧問題は後で考える。
「分かりました……〖テレポーテーション瞬間移動〗」
そう宰相は唱えたが、すぐに戻ってきた。
早すぎるな。
「陛下! 屋敷がありません‼」
「戯言を言うな!」
屋敷が無いだと?
馬鹿な。あり得るはずが無い。
「もしかして、これを見越してティラー伯爵家は逃亡した――とかでしょうか?」
「ぬわんだとおぉぉお!!!!!!!!!!!!!」
わしは宰相の発言に絶叫する。
聖女のことは認めない。
だが、アンジュは捕まえる必要がある。
「アンジュは――アンジュはどこにいるっ!!!!!」
わしは叫ぶ。
堪忍袋の緒が切れた。アンジュはどれだけ極悪なことをするのだ!
目障りだ!
「彼女の事ですから、聖女のいない国で聖女でもしているのでしょうか? まあ、推――」
「どこにいるか調べろ‼」
推測だろうが何でもいい!
アンジュが捕まればいいのだ‼
食糧問題などもこの際全部、役立たずのアンジュに責任を背負わせればいい‼
 「はっ、はい。最近聖女が現れた国を調べます。〖シャッフシー検索〗……ペルミルンです」
「そうか。わしが直々に行ってやる‼」
検索結果にわしはそう宣言する。
宰相の顔がどんどん青ざめていく。なぜだ?
「陛下! こんな国民が混乱しているときに王が国を離れたらもっと混乱します‼ それに陛下は〖テレポーテーション瞬間移動使えず、二日はかか……」
宰相の言葉に、わしはまたブチ切れた。
「『も』とはなんだ! わしを馬鹿にしておるのか‼ それに混乱しているのはなぜだ? 食糧か? 貴族や平民の分際なら、その辺の草でも食ってろ! わしは行く!」
ブチ切れていつもより貴族や平民を中傷したがこれがわしの考えだ。
今までこれを言わないですこし中傷を弱めていたのはわしの優しさと言える。
「いや、聖女を廃止したことが広まり、混乱する輩や国王を排除しようとする輩が――」
「その輩は武力で片付けろ‼ 騎士団を出動させて止めるのだ‼ 死者は何人出ても構わん!!!!!!!!!!!」
「ですが――」
口答えする宰相に、わしは前の宰相より酷い処罰を与えることにした。
「国王に逆らうのか! 宰相を解任の上、爵位剥奪だ! それと屋敷を売れ! わしの別荘565個めにするのだ!」
この処罰に、宰相はとぼとぼ帰って行く。
 それをみたわしは、城の裏口からペルミルンの方向へ歩き出す。
ふと、頭の中に言葉が響いた。

――あらあら、その結論でいいんですか? 確かに私はペルミルンに居ますが……国が亡びますよ?

聞こえてきた言葉に、わしは答えるように一人でつぶやいた。
「だれがお前などの脅しに屈するか‼ わしはこの国のためにお前を捕まえるのだ‼」
高々と言い、わしはまた足を進ませた。
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