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1章 黒魔術の勉強不足ですよ?

私のほうが発言力は大きいのですが?

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 「〈オブレビアン〉」
とりあえず記憶を消して。
でも、ウィルソン様はどうして知っているのかしら?
まわりに広めていないかしら?
うーん、広めてそう……。
でも、きっと平気……!
そう確信して、帰路についた。
 「アディラ様、アディラ様が黒魔術を使えるなんて本当ですか?」
「アディラ様って黒魔術を使えるのです?」
「黒魔術、使えるのかしら?」
ニースファン王立学園の2年B組で、私は女子三人に質問攻めにされる。
あー、やっぱり広めたのね、ウィルソン様。
親しい友には話しているかも。
でも私にはあなたに無いものがある……。
「皆さん黒魔術についてしっかりご存じ? 呪うだけではないのですわよ。例えば作物を急成長させたり、天候を変えたり……国に役立つものもあるのですわ」
私がそう話すと、周りを取り囲んだ女子三人の顔が明るくなっていく。
「やっぱり、アディラ様はアディラ様ですわ!」
「まー、あの侯爵令嬢の話なんて正直信じる気なんてしなかったわ。ウィルソン卿の妹だからかしら」
「最初から全然信じてないわっ! 勉強部門首席のアディラ嬢のほうが信じやすい!」
……この三人に慕われておいてよかったわ。
全員私より爵位も上だし。
勉強って報われるものね。
 私は黒魔術以外にあまり魔法が使えなかったから、勉強に力を入れたわ。
まあ、武術部門も首席だけど……。
魔法の知識、薬学の知識、魔草と言われる魔力を持つ草の知識など。
おかげで「勉強部門」で三年生を上回って首席を取れた。
 それで、凄くクラスの注目を集めて、質問攻めにした三人に慕われたわ。
逆に、ウィルソン様はワースト一位。
言っていることは、首席のほうが信じやすいわよね。
あれ、妹って言ったかしら!?
結局妹も、「勉強部門」ワースト3位だけれど……。
確かに、ウィルソン様なら家族に喋っていそう。口が軽いのよね……。
前に妹であるレイラ様にあったけれど、今思えばウィルソン様とよく同じ行動をとっていたわ。ブラコンでもあるせいもあるだろうけど……。
問題で同じミスをしたり、魔法の強さが同じところで弱まったり。
兄が悪魔の事を言いふらしたら、レイラ様も真似するでしょうね。
 「アディラ様~」と一人だけ呼ぶのがグレース・エルナンデス伯爵令嬢。
おしとやかで、魔法部門の次席。オリーブ色のカールした髪は、私も欲しいわ……。
「妹だから信じない」と言っているのはアメリア・フィリップス侯爵令嬢。
スタイルが良くてオシャレで、魔法部門の首席。
私を「アディラ嬢」と呼ぶのはイライザ・モルガン公爵令嬢。
ウィルソン様より爵位が高くて、正義感がずば抜けている。
「「悪魔の誤解は解いておくから‼」」
アメリア様とグレース様はクラスの中に散らばった。
あれ? イライザ様は?
「あたくしは、学校中に黒魔術の情報を広めてきますわ!」
学校中! さ、さすがイライザ様ね!
 やっぱり、持つべきは信頼できる友ね。
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