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第4話 渚のダイダラぼっち その3

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それから、遅くまでみんなは語り合った。途中で未来ちゃんやクーさんも現れた。

貝合わせに因んで、貝の話となった。
未来ちゃんが懐かしいシェアリングごっこをしましょうと提案して、簡単にイントロを話した。
「茨城県には大串貝塚というのがあって、ダイダラボッチが海辺の貝を食べて、それを捨てた場所だと言い伝えられています。ダイダラボッチとは大太郎法師と書き、国づくりの神様、山や湖沼を作った神様ですね。」
「では、次の方どうぞ。」

「HIROの分かち合い」
貝合わせはハマグリでします。
殷王朝で最初に貨幣に用いられたのはタカラガイでした。
財であり、装飾品であり、安産のお守りでした。
現代の貨幣とはまた違う、貝が寶であった時代、
それは子どもや女性が寶であった時代でした。
そして又、朋という字も、貝が何個もひもでつながれた状態を表し、友達や仲間とのつながりを指します。
人とのつながりもまた寶でした。
現代の貨幣とはまた違う、貝が寶であった時代、
全ての豊かさを表していた貝、
その偉大さを思います。

「貴和子の分かち合い」
櫻と言う字の中で、貝が二つ合わさっているのが気になったのです。
タカラガイは子安貝ともいい、これを首飾りにしたのが貝二つで表されている部分ということです。
そして大地に踏ん張る左の偏「木」のそばで、この装飾を身に着けた「女」性がかしづいている姿を表したのが「櫻」という字というわけらしいの。
貝が二つ合わさっているのは私にはツインレイを連想させました。
私たちは、心の中で豊かさやソウルメイトを求めながら、ここ護持の元町の櫻並木に行き着いた感じがするのです。


「比呂乃の分かち合い」
クニちゃんとしていたあの浜辺での棒倒し。
砂山を作りながら二人遊んだ。
まるであれは国づくり。
砂の山を作り、山を分けるために水を通す。
振り返れば、砂には砂金が混じっており、
黄金の国ジパングを表すかのようだ。
それぞれが、思い描いた自分の国を作っていた。
山や川や湖を定めていった。
私たち自身がダイダラボッチ、大いなる創造主だった。
貴和子の書いたかごの鳥で、朋が鸞である自分に気づき、「鸞は仁ある為政者」ということだったけれど、
自分の魂の中に眠る仁ある為政者は、あの浜辺に居た。
あんなに幼く頼りなかった私。
それでも私の魂は、クニちゃんと国づくりを夢見ていたのだ。
今そのことを思い出した。



第5話最終話につづく

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