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ラスト・コンテクスト Part1

大文字の夜に(12)

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“円”の外周、もう片方の端ではムサシとフランシスが、円の外にでようとするパクスの一行を追っている。
ムサシの弾丸とフランシスの投擲は、逃げるパクスの面々を徐々に“削りつつ”あった。

「うあっ……!」

カトリーヌはムサシの弾丸の一つを拳で弾こうとしたが、角度と力が不十分であったために、なんとか弾きはしたものの、弾丸が命中した手の部分に強く鈍い痛みを感じた。
その痛みに体勢を崩したカトリーヌをノワールがカバーするが、ソコをフランシスの放った岩が襲う。

岩をハイキックで崩すノワールだったが、ノワールも力が不十分で、脛にダメージを負った。
二人よりも先に進んでいるミサトとブレーズは、走りながらもこのままカトリーヌとノワールに殿を続けさせるべきかを逡巡している。

完全に、パクスは追い詰められつつあった。

「もうちょいだな」

「ああ、フランシス」

フランシスが続けての投擲を構え、ムサシが弾倉を交換した、その時だった。

「あああああああ!!! もう面倒っ、くさいですねぇ!!」

カトリーヌは逃げるのを止め、追手の二人と完全に向き合った。
ノワールも振り返る。
しかし、カトリーヌに合わせて振り返ったのではない、カトリーヌと同様の苛立ちを湛えた表情のノワールがソコにはいた。

カトリーヌはその場で向き直っただけだったが、ノワールはそのままフランシスに突っ込んできた。

「やべっ、ムサシあっちは頼んだぞ」

「マジかよ」

フランシスは急遽前方への勢いを殺して、後ろに後退した。
後退しながら、マジックのように両の手の指の間に四つずつ、ドコからともなく小ぶりな石を挟んで出現させた。
ソレを器用に手のひらの中に転がすと、即席の散弾としてノワールに放つ。

ノワールは素早くソレらを捌くが、続いて第二投めが到来する。
ノワールはソレも捌いた。降り注ぐ無数の高速の石礫に、ノワールが疲弊するかソレともフランシスが追いつかれるかの勝負となった。

対して、カトリーヌはムサシに歩いて接近する。
ムサシは距離を保ちつつ、二丁拳銃を準備した。

「一気に来なくていいのかい?」

「追われる恋も嫌いじゃあないですが、じっくり近づいていく恋も好みなんですよねぇ♪」

「なんだ? 好きな恋愛マンガのジャンルの話か? ソレならオレはNTR……」

カトリーヌの纏う魔力オーラがぞわりと変わった。
気持ち、髪の毛も逆立っている。
どうやら図星だったようだ。実戦経験ではない。

「いやっ、オレも実戦はないけどさあ……早めに始末しよ」

ムサシは銃を構えると、引き金を引いた。
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