204 / 262
United Japanese tea varieties of Iratsuko(13)
暗黒山脈(29)
しおりを挟む
ノワールは自らの実力について自信があったが、ムサシの二丁拳銃の銃口からはただならぬ気配を感じた。
先手を撃つためにムサシへと駆けだす。
ムサシは二丁拳銃を背後から前方へと、曲芸のように投げて両手で同時に受け取った。
どちらが普通の銃で、どちらが“変わった銃”なのか、わからなくなる。
ムサシとノワールの距離が半分になった。この間僅か1~2秒。
ムサシが右手の銃の引き金を引いた。
“普通の”弾丸が射出される。
ノワールは難なくソレを左拳で弾いた。
が、ノワールはすぐに違和感に気づいた。
弾丸が空を切って自らから離れていく音が“止まった”からだ。
そしてその空切り音は、またノワールへと帰ってきた。
ノワールは左腕で防御した。
弾かれた弾丸がムサシの左手の拳銃へと戻っていく。
「おわかりいただけただろうか。じゃあ、チュートリアルはココまで」
ムサシは二丁拳銃を連射した。
ノワールは弾丸たちを両手足を使って弾くも、四方八方に弾かれた弾丸は、様々な軌道と距離を描きながら戻ってくる。
ノワールはコレ以上、ムサシに近づくコトができなくなった。
「その踊りがいつまで保つかな?」
ノワールによって二度弾かれた弾丸は、全てムサシの左手の銃に戻っていく。
左手の銃のマガジンが満たされると、ムサシは右手の銃の空になったマガジンと交換した。
その交換も、手首を勢いよく捻りながら遠心力を利用してマガジンを射出するコトで、空中にて瞬時に行われる。
「……アンリミテッド・バレット・ワークスってトコロですか?」
「キミ、ネーミングセンスいいね。採用」
ノワールは弾丸を弾きながらムサシに言ったが、その顔には余裕はない。
ムサシは、後は時間が解決する問題だと思った。
その時だった。
衝撃波が森の木々を払いながら、ムサシに向かって飛来した。
ムサシは勢いよく、背後に吹き飛ばされる。
「くっそ! 何だ!?」
その一瞬をノワールは逃さなかった。
ムサシが体勢を立て直した時には、ノワールの姿は地上にはなかった。
ムサシが顔を上げる。
ノワールは一瞬の隙に地面を蹴って、ムサシとの距離を一気に詰めた。
ノワールの拳の射程距離に、ムサシが入る。
彼女の拳の連打を、ムサシは弾丸で受け止めた。
拳と弾丸が超至近距離で互いに鎬を削る。
次は、ムサシが少しずつ圧される格好となった。
◇◇◇
そのムサシを狙う影があった。
戦闘が展開されている地点からは遠方の樹上、ブレーズがソコにはいた。
ブレーズは大きく息を吸い込んだ。
その時だった。
ムサシたちの後方から、岩石が飛んできた。
精密な照準によって真っすぐに飛んできたソレを、すんでの所でブレーズは避けた。
◇◇◇
「三人めはあそこか」
フランシスの投擲は、初球からブレーズを完全に捕捉していた。
カトリーヌからのダメージさえなければ、よりスピードの乗ったソレは、確実にブレーズを撃ち抜いていただろう。
「ちょっとマズい状況だな」
フランシスは全体を見渡しながら呟いた。
その視線が終着点として、アサヒの顔を捉える。
アサヒの目は決意を湛えていた。
先手を撃つためにムサシへと駆けだす。
ムサシは二丁拳銃を背後から前方へと、曲芸のように投げて両手で同時に受け取った。
どちらが普通の銃で、どちらが“変わった銃”なのか、わからなくなる。
ムサシとノワールの距離が半分になった。この間僅か1~2秒。
ムサシが右手の銃の引き金を引いた。
“普通の”弾丸が射出される。
ノワールは難なくソレを左拳で弾いた。
が、ノワールはすぐに違和感に気づいた。
弾丸が空を切って自らから離れていく音が“止まった”からだ。
そしてその空切り音は、またノワールへと帰ってきた。
ノワールは左腕で防御した。
弾かれた弾丸がムサシの左手の拳銃へと戻っていく。
「おわかりいただけただろうか。じゃあ、チュートリアルはココまで」
ムサシは二丁拳銃を連射した。
ノワールは弾丸たちを両手足を使って弾くも、四方八方に弾かれた弾丸は、様々な軌道と距離を描きながら戻ってくる。
ノワールはコレ以上、ムサシに近づくコトができなくなった。
「その踊りがいつまで保つかな?」
ノワールによって二度弾かれた弾丸は、全てムサシの左手の銃に戻っていく。
左手の銃のマガジンが満たされると、ムサシは右手の銃の空になったマガジンと交換した。
その交換も、手首を勢いよく捻りながら遠心力を利用してマガジンを射出するコトで、空中にて瞬時に行われる。
「……アンリミテッド・バレット・ワークスってトコロですか?」
「キミ、ネーミングセンスいいね。採用」
ノワールは弾丸を弾きながらムサシに言ったが、その顔には余裕はない。
ムサシは、後は時間が解決する問題だと思った。
その時だった。
衝撃波が森の木々を払いながら、ムサシに向かって飛来した。
ムサシは勢いよく、背後に吹き飛ばされる。
「くっそ! 何だ!?」
その一瞬をノワールは逃さなかった。
ムサシが体勢を立て直した時には、ノワールの姿は地上にはなかった。
ムサシが顔を上げる。
ノワールは一瞬の隙に地面を蹴って、ムサシとの距離を一気に詰めた。
ノワールの拳の射程距離に、ムサシが入る。
彼女の拳の連打を、ムサシは弾丸で受け止めた。
拳と弾丸が超至近距離で互いに鎬を削る。
次は、ムサシが少しずつ圧される格好となった。
◇◇◇
そのムサシを狙う影があった。
戦闘が展開されている地点からは遠方の樹上、ブレーズがソコにはいた。
ブレーズは大きく息を吸い込んだ。
その時だった。
ムサシたちの後方から、岩石が飛んできた。
精密な照準によって真っすぐに飛んできたソレを、すんでの所でブレーズは避けた。
◇◇◇
「三人めはあそこか」
フランシスの投擲は、初球からブレーズを完全に捕捉していた。
カトリーヌからのダメージさえなければ、よりスピードの乗ったソレは、確実にブレーズを撃ち抜いていただろう。
「ちょっとマズい状況だな」
フランシスは全体を見渡しながら呟いた。
その視線が終着点として、アサヒの顔を捉える。
アサヒの目は決意を湛えていた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
毒小町、宮中にめぐり逢ふ
鈴木しぐれ
キャラ文芸
🌸完結しました🌸生まれつき体に毒を持つ、藤原氏の娘、菫子(すみこ)。毒に詳しいという理由で、宮中に出仕することとなり、帝の命を狙う毒の特定と、その首謀者を突き止めよ、と命じられる。
生まれつき毒が効かない体質の橘(たちばなの)俊元(としもと)と共に解決に挑む。
しかし、その調査の最中にも毒を巡る事件が次々と起こる。それは菫子自身の秘密にも関係していて、ある真実を知ることに……。
【完結】『人気ユーチューバー「HIRO」の「大激論バトルロワイヤル2024!桃太郎・金太郎・浦島太郎の三太郎総選挙勃発」!』
M‐赤井翼
現代文学
突然ですが「新作」スタート!
今回の主役は「日本昔話」の人気者の「三太郎」さんです!
「桃太郎」、「金太郎」、「浦島太郎」の三人の「英雄」を「歴史大好き」な赤井目線で取り上げていきます。
まあ、演出上「三太郎総選挙」というユーチューブ番組で3人の「素性」を紹介していく(※暴いていく?)話です。
おちゃらけた「都市伝説」や「ユーチューブ番組」がネタ元ではなく。「歴史書」や「地方の伝承」を元に「まじめ」に「コメディー」を書いてます。
まあ、「諸説あり」の昔話ですがその中でも「信憑性の高い」ネタを元に小説化していますので、ゆるーくお読みいただきたいと思います!
「全28チャプター」の長丁場ですが、読み聞かせをしているお父さん、お母さんや保育園、幼稚園の先生から、真面目に地方伝承の歴史を追いかけている方まで読んでもらえると嬉しいです!
では、皆が知っている「昔話」と事実は何が違うのかお楽しみくださーい!
よーろーひーこー!
(⋈◍>◡<◍)。✧♡
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
【超短編】不倫の代償
ぱぱちょん
恋愛
私はある違和感をもっている。
それは、私は父とまったく似ていないということ。
それどころか母と父のどちらも黒髪だというのに私の髪は茶色いのだ。その違和感をずっと持って今まで過ごしてきた。でも私が20歳を迎えた頃に運命は動き出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる